長期間にわたり続いている問題

 地中海東岸に面するパレスチナという土地では、イスラエルに住むユダヤ人と、ヨルダン川西岸地区やガザ地区などに住むパレスチナ人の間で紛争が続いています。国際政治学者の高橋和夫氏は、この問題の発端は、簡単に言えば〝土地の奪い合い〞だと話します。
「パレスチナ問題は、ユダヤ教とイスラム教の宗教対立と捉えられることが多いのですが、実際は、住む土地をめぐっての対立、ということが一番大きいです。19世紀末にヨーロッパから追い出されたユダヤ人が、パレスチナの土地に入ってきたことによって、もともと住んでいたパレスチナ人との間で争いが起き、それが現在まで約120年間続いています」
 それでは、なぜ、ヨーロッパに住ん“パレスチナ”という国はどこにある? 下の中東地域を表す地図から探そう。中東の地図はとても複雑!でいたユダヤ人は、パレスチナに移り住むことになったのでしょうか。これには、当時ヨーロッパに広まっていた〝民族主義〞が関わっていたと高橋氏は言います。
 「キリスト教徒が大多数を占めるヨーロッパでは、ユダヤ教を信じるユダヤ人は少数派。19世紀末になると、ヨーロッパ各国では、民族ごとに独自の国家を持つべきだという民族主義の気運が高まったため、ユダヤ人への迫害が激しくなりました。そこで、ユダヤ人は自分たちの国をつくろうと考えました。その先に選ばれたのがパレスチナです。パレスチナは、ユダヤ教の聖地であるエルサレムがあり、ユダヤ人にとって重要な意味を持つ土地です」
 

周辺国を巻き込んでの大きな国際紛争へ

 しかし、当時、パレスチナにはパレスチナ人が住んでいました。そのため、両者の間に対立が起きたのです。
 「ユダヤ人はパレスチナへの移住に際して、武力に訴えて土地を奪ったわけではなく当時パレスチナを支配していたオスマン帝国の統治者であるスルタンを説得し、移住を開始しました。移住する土地も、パレスチナ人の地主から買って、農業などをして暮らしていました。ただ、ユダヤ人居住者の増加にしたがって、もともと住んでいたパレスチナ人を追い出すことになり、摩擦が起きていました。さらに、第二次世界大戦時には、ドイツでナチスが台頭したことにより、ヨーロッパでのユダヤ人への迫害がますます激しくなり、多数のユダヤ人がパレスチナにやってきました」
 その後、パレスチナ人とユダヤ人との対立は、さまざまな国を巻き込んだ国際紛争に発展していきます。
 「第二次世界大戦後に、国連によりパレスチナの分割が提案されます。この国連決議により、パレスチナの半分以上の領土がユダヤ人のものとなり、イスラエルが建国されました。イギリスをはじめとした国際社会はどちらかというとユダヤ人に同情的だったのです。もともと住んでいたパレスチナ人にとっては、この決議は納得がいくものではなく、イスラエル人とパレスチナ人の対立は激化。ここから中東戦争など周辺国を巻き込んだ国際紛争に発展していくのです」
 現在はイスラエル建国当時よりも、パレスチナ人の居住地区はさらに少なくなり、住む場所を追われて各国に散らばったパレスチナ難民の数は、400万人以上となっています。国連などの仲介により、停戦に向けた動きもある一方で、武力衝突は途切れず、解決にはまだ時間がかかりそうです。

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