■海城中学校・高等学校
 立川 和平先生
 社会科教諭。同校の卒業生でもある。
 現在は高3の学級担任。

 ■吉祥女子中学・高等学校
 渡辺 麻里先生
 国語科教諭。キャリアは吉祥女子一筋。
 進路指導も担当している。

男子は競争心 女子は協調性を見せる
――男子校と女子校では、学校の雰囲気や生徒の特徴などが随分異なると思います。まずは、おふたりが教えられている学校の雰囲気について教えてください。
立川 海城の生徒は、とにかく元気です。10分しかない休み時間にも、中庭に出て野球やサッカーを始めます。「男の子は女の子に比べて、ゆっくり成長する」とよく言われますが、新入生を見ていると特にそう感じますね。「小学7年生」といった感じで、まだ多少の幼さを残している生徒が見受けられます。
――男子校の生徒たちは入学後、すぐに女の子がいない環境に慣れるのでしょうか?
立川 そうですね。多くの生徒は、「女子がいなくてほっとする」と思っているようです(笑)。小学生の間は、女の子のほうが成長が早いので、勉強や学校行事などでリードされることが多いのでしょう。小学校時代より積極性が増す生徒も多いようです。
渡辺 吉祥女子の生徒たちも、かなり元気だと思います。海城の生徒さんと同じように、休み時間に外で遊ぶ生徒が少なくありません。ただ、「女子は"らしく振舞う"のが上手いな」と感じます。新しい制服を着て入学式を迎えると、「中学生」のスイッチに切り替わるんです。
立川 なるほど。それは、男子との大きな違いですね。
渡辺 ただ、吉祥女子は女子校のため、生徒たちが異性の目を気にすることは、それほど多くありません。そのため、普段の学校生活では、皆、伸び伸びと過ごしています。
――定期試験の取り組み方については、どうでしょうか?
立川 海城の場合だと、「一発勝負!」という感じで、短期集中で勉強する生徒も中には見られます。吉祥女子の生徒さんは、どうですか?
渡辺 やはり、女の子は早い時期からコツコツ取り組んでいる子が多いですね。生徒同士は、ライバルというより仲間として認め合い、「勉強ができる子がいたら、自分も見習おう」とする空気があります。勉強だけでなく、学校生活全般に関して、お互いに支えあう姿勢が見られます。
立川 男子の場合は、もう少しライバル意識が強いかもしれません。定期試験のときは競争心が強まり、テストの結果を比べ合ったりしています。体育祭などの学校行事についも、同じことが言えますね。海城の体育祭では、中学3学年のクラスを縦割りにして、ひとつの団を編成します。本番が近づくと、上級生が下級生に競技の必勝法などを伝授して盛り上がっています。また、応援やデコレーションも得点に加算されるため、応援団やデコレ班の生徒も各自の個性を生かして練習や制作に熱心に取り組みます。
渡辺 体育祭は、吉祥女子も盛り上がります。うちは女子校には珍しく、騎馬戦や棒倒しがあるので(笑)。
――学校行事に関して、女の子ならではの特徴はありますか。
渡辺 行事が行われる当日はもちろんのこと、その準備段階から楽しむ生徒が多いのが、ひとつの特徴だと思います。その際も、「グループの中心になって皆をまとめる子」「リーダーを下支えをする子」など、役割分担が自然とできてスムーズに準備を進めます。女子校の場合、ときには力仕事も自分たちでやらなければいけません。そのため、「何でも自分たちでやろう!」という意識が芽生えやすいようにも感じます。

部活で活躍する生徒はあこがれの的
――部活動の取り組みについて、男女の違いはあるのでしょうか? たとえば、運動部と文化部を選ぶ生徒の比率などはいかがでしょう?
立川 海城では、運動部を選ぶ生徒が圧倒的に多いです。ただ最近は文化部の活動も目立っています。野外観測を行う地学部やジャグリングなどの奇術部、落語を実演する古典芸能部など、部活動の幅も広がっています。部活動は、生徒の間でひとつの評価基準となり、活躍している生徒は周りから一目置かれます。その半面、上には上がいることを知って、落ち込む生徒も少なくありません。中学や高校の部活動でレギュラーとして活躍できるのは、ほんのひと握りです。親は子どもの気持ちを汲んで、日頃のがんばりを認めてあげてほしいですね。
渡辺 吉祥女子は、運動部の生徒と文化部の生徒の人数を比べると、運動部のほうが少し多いでしょうか。運動部と文化部を掛け持ちでやっている子もいて、ほとんどの生徒が何らかの部活に取り組んでいます。あと、女子校の特徴としては、先輩に対して強いあこがれを抱く生徒が多いことが挙げられます。特に、部活で活躍する先輩は後輩から大人気。ファンがつくこともあるんですよ。
立川 それは、男子校ではめったに見られない光景ですね。
――男子校における、先輩・後輩の関係はどうでしょうか?
立川 男子校の場合、先輩と後輩の間には、いい意味での緊張感があるように感じます。仲はいいのですが、互いにライバル意識を持っているというか。たとえば、「先輩たちの代まで続いたしきたりを、自分たちの代で変えてやろう!」といった話題が挙がることがよくあります。
――なるほど。では、男子は「競争心を持って切磋琢磨」、女子は「皆で一緒にがんばる!」という大まかな傾向があるということでしょうか。
渡辺 もちろん、学校や部活動によってケース・バイ・ケースだとは思いますが、全体的な傾向としては当てはまると思います。

思春期のタイミングは男女とも同じ
――生徒と先生の関係についてはどうですか? 先生への接し方に、男女の違いはあるのでしょうか。
立川 男子の場合だと、中1までは教員との距離が近いです。父親と接するように甘えてくると言うか。ただ、中2以降は思春期に入る生徒が多く、こちらが距離を縮めようとしても、敬遠されてしまう場合が目立つようになります。漠然とした苛立ちを感じる生徒が増え、生活態度や制服の着方などに変化が表れるケースがあります。ただ、これは大半の男子に当てはまることなので、親も「中学生の時期はある程度仕方がない」と考えて、冷静に接してほしいと思います。
渡辺 女子も同じくらいの時期に思春期が始まり、生活態度や教員への接し方に変化が表れます。特に、女子の思春期というのは心だけでなく、体の変調も伴っているため、非常にデリケートです。中2から中3の女子は、どうしてもトゲトゲしい雰囲気が表に出てしまうもの。ただ、そんな時期こそ、生徒の話をじっくり聞くことが大切です。吉祥女子でも、生徒が相談をしやすいようにいろいろと工夫し、どんな内容でも親身になって話を聞くようにしています。
立川 男子は女子に比べると、先生に直接相談するようなことは少ないかもしれません。教員と生徒の関係は、「父と息子」のようなところがあり、ここにもいい意味での緊張感があるので。また、口下手な生徒もいて、葛藤を抱え込んでしまうことがあります。そのため、教員のほうから生徒に積極的に声をかけ、できるだけ一対一で話す機会を設けています。
渡辺 中学に入学してから、子どもの生活態度や言動に変化が表れると、親は不安を抱くことでしょう。ただ、多くの生徒は高校に進学する頃から、自分の言動を客観的に捉えられるようになります。親も、自分の思春期を振り返るなどして、子どもを長い目で見守ってほしいと思います。
立川 海城でも「思春期を迎えた我が子に戸惑っている」といった相談が保護者面談などで多く寄せられます。しかし、それは子どもの心の中に「親や先生から自立していこう」という意識が芽生え始めている証拠です。その気持ちを尊重し、少し距離を置きつつ、見守ってほしいところです。

男女によって叱り方や褒め方が違う
――おふたりは普段、生徒を叱ったり褒めたりするときに、どんなことを心掛けていますか?
立川 私は生徒を叱る際、意識的に厳しい言葉を投げかける場合があります。ただ、それは瞬間的なことであって、その後には引きずらない。たとえば、帰りのホームルームで生徒たちを叱ったとしても、翌日は何事もなかったかのように明るく接する。このような叱り方のほうが、男子の心には響くように思います。
渡辺 女子の場合、教師や親が厳しい口調で叱ると、プイっとそっぽを向いて心を閉ざしてしまう生徒がいます。そのため、激しく叱ることはあまり多くはありません。まずは、生徒本人に悪いところを自覚させ、自分でそれをじっくり考えさせるようにしています。だから、とても時間がかかります。けれど、思春期を迎えた生徒が悪いことをしたり、先生や親に反抗的な態度を見せるのは、何かのサインだと考えています。娘さんを持つ親御さんも、「叱る」「注意する」というよりは、「カウンセリングをする」というようなイメージで接してみると、子どもが悩みを打ち明けやすくなるのではないでしょうか。
――生徒を褒めるときは、どんなことを意識されていますか?
渡辺 そのときの状況や生徒の性格によってさまざまですが、ほかの生徒にも伝わるように、少し大げさに褒めることが多いですね。女子は協調性がある子が多いので、ほかの生徒にも「あの子を見習わなくちゃ」という気持ちが芽生えやすいんです。結果として、クラス全体に好影響を及ぼします。
立川 同感です。一方で、私はできるだけ一対一で褒めるようにも心がけています。地道に努力している生徒には、さりげないタイミングでの個人的な会話で顕彰することで、派手に褒めるよりも生徒の自己肯定感が高まるように思います。
渡辺 叱り方、褒め方というのは生徒の個性によって異なりますから、一概には言えないところがあります。ただ、全体的な傾向として、親御さんには知っておいてほしいですね。

両親で役割分担をして子どもを支えてほしい
――子どもが中学に入学してから、親はどんなサポートを心掛ければよいのでしょうか。それぞれの立場からアドバイスをお願いします。
立川 私は、両親の役割分担がポイントだと思います。たとえば、父親も母親も放任主義であったり、反対にどちらも口うるさかったりすると、子どもにとってマイナスに働くことが多いでしょう。母親が子どもの生活面などを細かく見て指導するなら、父親はどっしり構えておおらかに接するなど、お互いを補完するような役割を意識してほしいです。また、親が「子どもの勉強をすべて管理しよう」とするのはお勧めできません。基本的に子どもに任せ、自覚を促すことが大切。その上で父親、母親、教員が役割分担し支えるのが理想でしょう。
渡辺 女の子の場合、思春期に入ると父親と距離を取る子が増えてきます。そうなると、必然的に母親の負担が増えるでしょう。ただ、私も立川先生と同じように、子どもの生活態度から学校の成績まで、すべてをサポートする必要はあまりないと思います。
――では、母親はどんなところに気を配ればよいのでしょうか。
渡辺 まずは、子どもが見せる細かな変化に目を向けてください。そして、子どもが自分から話しかけてきたときに、しっかり向き合ってほしいと思います。また、一時的に距離が離れたとしても、父親が果たす役割も大きいでしょう。高校2、3年で進路を考えるようになると、多くの女の子が毎日がんばって働いている父の姿を客観的に捉えられるようになります。そこで距離が再び縮まると思うので、気長に見守ってほしいですね。
――両親や先生のサポートを受けながら、男の子と女の子は、中高6年間でどう成長していくのでしょうか。
立川 中学・高校の6年間は、心身ともに最も大きく変化する時期です。中1を過ぎると、高1前後までの数年間は自我を確立する「産みの苦しみ」を迎え、家庭も学校も踏ん張り所。そして、高2以降は少しずつ毒気が抜けて、客観的な自己認識や広い視野が備わります。教員にとって高3はまさに「収穫期」だと感じます。
渡辺 中高の6年間を通じて、大きな成長を見せるのは、女の子も同じです。その様子は、さなぎから美しい蝶へと変身するようで、毎年、感慨深いものがあります。この人生に一度しかない劇的な変化を、親も楽しみながら見守ってほしいと思います。

男の子がここがすごい!
高い集中力で大人顔負けのレポートを作成
海城では、社会の授業で自分が興味を持つテーマについて、レポートをまとめます。ある生徒は、東京の高田馬場商店街で使われている地域通貨について、徹底的に調べ上げました。レポートの内容は学外でも高く評価され、その生徒は商店街の方々から広報活動や講演を頼まれました。やはり、つぼにはまったときの男子の集中力には、目を見張るものがあります。(立川先生)

女の子がここがすごい!
友だち同士で支え合い東大合格を果たす
数年前、吉祥女子では現役で7人の東大合格者を出しました。その生徒たちはとても仲がよく、早い時期から「全員で東大に合格しよう!」と、目標を共有していました。そして、受験本番まで一緒に勉強をがんばり、時には互いの得意科目を教え合ったりしていました。彼女たちは見事、全員合格を果たし、そのときに女子の団結力の強さを改めて実感しました。(渡辺先生)

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