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夏休みのがんばりが成果に表れなくても落ち込み過ぎないで

--いよいよ受験もラストスパートの時期を迎えました。この時期の親はどのような心境になるものでしょうか?
辻庸光先生(以下、辻) 10月から11月にかけては親、特にお母さんの不安感が一気に増す時期ですね。つい子どもに「そんなんじゃ落ちるわよ!」といったヒステリックな言葉がけをしてしまい、落ち込むお母さんもいます。
村治和也先生(以下、村治)  特に「夏休みにあれだけがんばったのに」と努力の成果が出ないことで、不安になるケースが多いです。
--がんばった実感がある親子ほど、成果が出ないのはつらいですね。その気持ち自体は仕方ないのでは?
村治 そうですね。私たちはこの時期に成績が上がらないことも想定して指導にあたります。最終的に1、2月にベストな状態になるように対策を考えればいいのですから、この時点であまり悲観的にならないでほしいですね。
辻 仮にお母さんが「うちの子は夏休みにがんばっていた」と思っていても、多くの子どもは「夏休みにもっとやっておけば良かった」と反省しているんですよ。だから親がさらに責めると、子どもを余計落ち込ませることになるんです。これは良くないですね。
--子どもの立場からすれば、たとえ反省していても、親に「反省している」なんてなかなか言えませんよね。
写真 辻 特に女の子は強がりがちです。以前、この時期の成績不振が原因でお母さんとケンカになり「受験やめたら?」と言われて、本当に受験をやめてしまった子がいました。「だってお母さんがやめろって言った!」の一点張り。レアなケースですが、残念ですよね。 秋以降、右肩上がりに成績が上がる子は全体の中でも少数派です。上がったり下がったりするのが普通と理解して、子どものがんばりを後押しする声かけや行動を心がけてほしいものです。この時期くらいから、お母さんが子どもの勉強のスケジュールをすべて決めるのではなく、子どもが自分自身のモチベーションを維持できるよう、上手に子どもに任せていきましょう

家族の中で受験校選びの意見をまとめておくこと

--この時期に、先生が親との面談で、困ったなと思うことは何ですか?
村治 学校選びで家族の意見がまとまっていない場合ですね。たとえば、「父親は付属校、母親は進学校に行かせたい」といった根本的なところで意見が食い違っていることもしばしばあります。そんなときは、現在の中学受験を取り巻く学校状況を、データも交えて客観的に説明し、丁寧にお伝えするように努めています。
辻 最は祖父母が金銭面を負担するケースもあって、「そんな学校ならお金は出さない」などと言われる場合もあるんですよ。それが義父母だと、お母さんは尚更つらいですよね。--そんなとき、お母さんにどのようなアドバイスをするのでしょうか?
辻 ご主人に関わってもらい、説得してもらうようにお伝えします。今の受験状況や子どもの気持ちを話して、理解してもらうのが一番です。その際、「受験のプロである塾の先生もこう言っている」と言っていただいても構いません。祖父母の要望をイヤイヤ聞き入れて望まない受験をする、といった状況は避けてほしいですね。

感情的な言葉は
子どものモチベーションを下げる

--結果的に、お母さんの心がけとしてはどのようなものが、受験の成功に結びつきやすいのでしょうか。
村治 子どもの成績に一喜一憂しないで、お母さんはいつも明るく前向きに子どもと接することを心がけている方が、うまくいくことが多いです。もし何かしらの悩みや不安を抱えていてつらい場合には、夫婦で話し合ったり、また、積極的に塾に相談したりして解消し、子ども本人には当たらないことが大事ですね。
写真 辻 それと、子どもを信じて、ある程度任せることです。たとえば模試で偏差値が5上がっても、次に3ダウンするとお母さんは不安になりがちですが、「最初より2上がった」と捉えてほしい。成績は「上がりが大きく、下がりが小さい」のが良いパターンですが、その上がり下がりを過度に受け止めてしまって一喜一憂しないことです。
--大きく下がったときは、どう対応すればいいのでしょうか。
辻 心では動揺しても、態度は冷静であることでしょう。数年前、武蔵コースの算数のテストで0点をとってしまった男の子がいたのですが、そのお母さんの行動はすばらしかった。すぐに相談にいらしたのですが、衝撃的な点数にも関わらず非常に落ち着いた様子でした。「志校を変えるべきですか?」とも聞かれましたが、答案を見ると白紙ではなく、まったくできない0点ではないのです。途中式の採点を厳しくつけられただけでしたので、「一つずつクリアしていきましょう」と今後の課題を出したところ、子どもはそれを忠実にやってくれて、最終的には合格を手にしていました。
村治 模試などの結果がとても悪いときは、パニックになる前に塾に相談に来てほしいですね。私たちはその子の合格の可能性を多角的に見て判断できますから。
辻 そして塾の先生のアドバイスはとりあえず実行してみてほしいです。ときどき、何度も同じ悩みを相談される親もいます。成績が伸び悩み「うちの子の何が悪いんですか?」と。同じ悩みなので毎回同じ内容のアドバイスになるのですが、結局言ったことをあまりやっていない様子なんです。だから次のテストでも結果が出ないという悪循環。アドバイスを聞いているだけでなく、ぜひ実行に移してほしいです。
写真 --この時期のピンチは特に動揺しますから、どうしていいかわからなくなってしまう親も多いと思います。仮にいい点数でも安心できなくて、心は常に不安定になりがちですよね。
辻 子どもはお母さんの笑顔が何よりもうれしいものなんですよ。だからちょっとでもほめられるところがあれば、心の底から喜んでほしい。喜んでいる「ふり」は子どもも見抜きます。長年いろんな家庭を見ていますが、お母さんが子どもの小さな成長を心から喜べる家庭は、受験も成功する傾向があると確信しています。

どんなに小さなことでも、ほめて、喜ぶことが大切

無理をしてまで朝型にする必要はなし。
体調管理はしっかりと

--生活面ではどうでしょうか。
村治 気分転換を上手に取り入れている家庭は、子どもの学習効率が良いように思います。散歩したりピアノを弾いたりと、本人が無理せずできることなら何でもいいので、上手にストレス発散させてあげるといいですね。
辻 親は家にいる子どもしか見ていませんが、子どもは学校と塾でがんばっていて、体を休められるのは家しかないということも忘れないでほしいです。 家でガムシャラに勉強していないからと言って、さぼっていると思ったら子どもがかわいそうです。
村治 そうですね。子どもの体調管理ができるのは親しかいません。子どももお母さんが体調面を気遣ってくれるとうれしいものです。夜遅くまで勉強していたら、たとえ「この時期なら当然」と思ったとしても、「無理しないでね」「がんばっているね」と子どものがんばりを認める言葉がけがほしいですね。それと、毎年この時期になると、子どもたちから「毎日R -1ヨーグルト食べてるよ〜」なんて話が出ます(笑)。体調管理が行き届くことで、直前期でも子どもが元気に過ごせるのではないでしょうか。
写真 辻 あと、よく受験前は「朝型に切り替えよう」と言われますが、私は無理して朝型にする必要はないと思います。夜型の子が急に朝型にすると、たいていの場合、学習効率が落ちるんです。夜型が習慣化しているのであれ ば、そのリズムのままで乗り切ってしまうのも一つの方法です。
村治 そうですね。特に、受験のためだけに直前の1、2週間のみ早起きするというのはやや心配です。それまでにできあがっていた生活リズムを崩すことになるわけですから。
辻 とは言え小学生ですから、やはりどんなに遅くとも12時頃までには布団に入ってほしいものです。お母さんには、子どもの体調と睡眠時間にしっかり気を配ってもらいたいと思います。

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