世界中の人たちと触れ合う日々

私が所属していたカタール航空は120か国以上の就航地があります。そのため、乗務員も世界各国から集まっていて、国際色豊かな職場でした。仕事は基本的に英語を使いますが、カタールはアラビア語圏のため、入社時の研修ではアラビア語も勉強しました。
私は、アフリカ諸国やヨーロッパ、アジアなど、非常に多くの国への路線に搭乗しました。就航地により、搭乗するお客様の国籍はさまざまなので、接客の上での注意点も変わります。顕著なのが宗教の違い。たとえば、カタール航空は機内食でハラルと呼ばれるイスラム教の規則に従って処理した食材を使っていますが、ヒンズー教信者やユダヤ教信者のお客様であれば、食事に関する規則はまた異なります。また、イスラム教の断食の期間は、日没までは何も食べないのですが、飛行機の中だと、出発地と到着地に時差があり、いつを基準"日没まで"と捉えるかは人によって違います。出発地に合わせる人もいれば、聖地のメッカの時間に合わせる人もいますし、旅行中は断食自体行わない人もいるので、一人ひとりに合わせた対応が必要です。乗務員もフライトのたびに異なるメンバーなので、搭乗前には、毎回ミーティングをしました。
普段は、首都のドーハにある会社の寮にマレーシア人やインド人の同僚と一緒に住んでいました。それぞれが仕事で世界各国を回っているので、生活時間はばらばらなのですが、時間が合うときはお互いに自分の国の料理をつくり合ったりしていましたね。
多様な文化を持つ人たちと過ごして学んだのは、生活習慣や考え方は人によってさまざまで、世界に"普通"は存在しないこと。だからこそ、お互いを尊重しつつも、自分の考えはしっかり伝えるようにしました。それと、常に笑顔でいて、「Please」や「Thank you」など相手を気遣う言葉を忘れない。それだけで多少の失敗も許し合えたり、コミュニケーションがスムーズになります。

営業のやり方も国によって異なる

主に日系企業を相手に営業をしています。仕事では、ドイツ語も、日本語も、英語も使います。日系企業が相手なので、取引先の担当者が日本人であれば日本語で話しますが、ドイツ人と1対1で話すときはドイツ語。でも、現地で働く日本人にはドイツ語があまり話せない人も多いので、日本人もドイツ人も両方いる場では共通語として英語で話すなど、その場に応じて使用する言語は変わります。
日本とドイツでは、ビジネスのやり方がさまざまな点で異なっているので、驚くこともあります。たとえば、日本では契約書などは押印や手書きのサインがある原本を渡すことを徹底していますが、ドイツでは、メールに添付して送っても良い場合があり、「原本をください」とお願いすると、煩わしがられることも(笑)。そういうときは、こちらのやり方に固執せず、相手の主張をよく聞いて、柔軟に対応するようにしています。金融機関の営業は、お客様の要望を聞いて、いかに提案するかが勝負ですから。先ほどの契約書の例で言えば、手続きを素早く進めたいという相手の希望を踏まえて、ひとまずメールで送ってもらって進めた上で、安全のために、後日原本も郵送してもらうなど、折衷案を考え、納得してもらいました。
また、日本の営業職というのは、金融業界に限らず、お客様のところに日々通って、仲良くなろうとします。そうやってコミュニケーションを取る中で、お客様の考えを聞いたり、経営課題を探って、提案に結びつけていく。一方、ドイツ人は何事も効率良く進めることを重視しますから、日本ほど、営業が足繁くお客様のところに通うということはありません。どちらの方が良いということではありませんが、こうした日本のやり方に対して「日本の会社は親身になってくれて良いですね」と喜んでもらえることもあります。そのように、仕事を通して、海外の人に「日本っていいな」と思ってもらえるのは、うれしいです。


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