開成中学・高等学校校長からのメッセージ
理系文系の分け隔てなく「なぜ」を考え続けてほしい
"ほめる"ことが子どもの興味関心を育む

柳沢 幸雄 先生
東京大学卒業後、同大学工学部助手を経て、1984年よりハーバード大学准教授、併任教授に就任。シックハウス症候群などの世界的権威に。東京大学大学院教授を経て2011年より現職。
私自身、工学系の博士号を持つ理系の人間です。小学生の頃は社会と国語が好きだったんですが、忘れもしない中3の1学期です。物理の試験で赤点を取りましてね。作用反作用の概念がさっぱりわからないということで、物理の先生に質問に行きました。そのとき先生が紹介してくれたのが『高校課程物理』(著・原島鮮)という本でした。読むと「物理を勉強するときは赤鉛筆を持って、どう力が働いているか書き込みなさい」とある。途端に物理がスパッとわかるようになりましたね。こんなにおもしろいものはないと思いましたよ。これが理科に興味を持ったきっかけです。
ただ私は、「理系にする」あるいは「文系にする」と、あえて決める必要はないのではないかと思います。新しいことを知り、新しいことができるようになることがおもしろい。その点は、理系も文系も変わりはありませんから。何も子どものうちから、「理系ならではの魅力はこれだ」とか「技術力で社会の役に立ちたい」とか考える必要はないんですよ(笑)。
私が子どもたちに伝えたいのは、たったひとつだけ。自分がおもしろいと思うことをやればいいんです。それには理系文系の隔てなく「なぜ?」を考えてみることです。たとえば「なぜ太陽は夏は高く、冬は低いのだろう」「なぜ国会は二院制を採っているのだろう」。そういった疑問を抱いたらそのままにせず、立ち止まって「なぜ」と考えてみる。自分の頭で考えてもいいし、本を読んでもいい。物理で赤点をとった私がそうしたように、先生に聞きに行くのもいいんです。とにかく「なぜ」を考え続けてほしいと思います。新しいことを知るには、そんな思考回路が一番大切だと思います。
とは言え、自分が何に興味があるのか、どんな素質があるのか、子どもにはわからないことです。子どもの興味を見つけてあげるのは、親の役割。そこでポイントになるのは「垂直比較」です。今の子どもと以前の子どもを比較してください。必ず伸びている部分があるはずです。それを見つけてあげればいいんです。
新しいことを知り、おもしろいと思う、そんな機会をつくるために「餌をまく」のもいいでしょう。勉強でもスポーツでも何でもいい。何でもやらせてみて、どこに食いつくか観察するんです。もし子どもが夢中になるものがあれば、それは子どもが伸びるべき方向です。そして「ほめる」のも忘れないこと。「前はできなかったけど、上手になったね」と。ほめるというのは、親の価値観を伝える作業です。ほめないと、何が大切なことなのか子どもはわからないまま。ほめられることで、子どもはもっとほめられたい、もっと成長したいと努力するようになるのです。種を植え、芽生えた苗に水をやるようにして、子どもの興味関心を育ててあげてください。子どもにとって最も的確な比較は、過去から現在、ずっと子どもを見つめ続けている、親だけができることなんです。ほめられて、やる気を出した子どもの笑顔を眺める、親の特権を楽しんでください。
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