知識問題の蓄積が 長文読解にも活きる

直前期の国語の学習は、大きくふたつに分けられます。 

ひとつは、基礎の確認。予習シリーズなどの基礎教材を解き、汎用的な問題への対応力に磨きをかけます。もうひとつは、過去問。志望校の問題傾向や文章量などを知るのはもちろん、各学校に特化した合格力をつけていきます。国語に魔法はありません。直前期でも、日々、絶え間なく努力を続けられる子どもが結果的には強いのです。漢字練習などの知識問題対策は、空き時間を利用したり、教科の気分転換として取り組むようにしたいものです。また、一日一題でいいので、長文には毎日触れましょう。全問解く余力がなければ、集中して読み、全体が把握できるような問いだけを選んで解くこと。ふさわしい問いがなければ、長文の内容を口頭で要約してもいいでしょう。

知識問題に関しては、得点源だけでなく、長文読解の手掛かりになることもあります。たとえば、文章中に対義語が登場すれば、逆説的な展開になっていくことが見抜けるわけです。 

物語は、主人公はだれで、どのような話なのかを常に意識しながら読み進めます。登場人物の感情が描かれている部分には特に注意を払って見落とさないようにし、その感情に至る原因や行動もあわせてチェックしましょう。 

論説・説明文でもっとも重要なのは、著者の考え方や根拠を述べている部分です。具体例を交えつつ何度も述べられている場合が多いので、しっかり把握しましょう。「しかし」「だから」のような接続語や、「原因」「結果」といった対義語も、設問に関わることが多いので意識を向けましょう。

母親は女優になって子どもに笑顔を

国語での親のサポートは、まずは採点とデータ管理です。 漢字は、子どもが採点すると、必ずミスを見落とします。親が客観的に採点してあげてください。反対に記述問題は、親でも採点が難しいところ。ここは塾で採点をしてもらうのがベストです。 データ管理は、たとえば過去問を1年分ごとにクリアファイルに分け、その表紙に「できなかったところ」「できたところ」をまとめ、ひと目でわかるようにしておきます。こうすると、子どもがあとで効率的に復習できます。ファイルがずらりと並んでくると、達成感も生まれます。 

試験では、「6000字を10分で読む」スピードが必要であるとされています。子どもが国語の問題に向かう際は、親が時間を計ったり、声掛けなどをしたりして、時間に対する意識をつけさせてあげるといいでしょう。 

しかし、なんといっても親のサポートで一番重要なのは、メンタル面です。国語に対して苦手意識を持っている子どもは特に、勉強しているつもりでも、一向に成績が上がらず、やる気が失われがち。そういった場合は、まず実際の解答用紙を見て、どんな些細なことでも、できている部分を探します。そして「接続語ができているね、勉強の成果が出たね」と、具体的に褒めてあげます。それを繰り返すことで、子どもは「国語、意外にできるじゃん」といい意味での勘違いをします。それが苦手意識を軽減する近道。 

直前期、お母さんは「女優」になって、自分の心配を笑顔で隠しながら子どもに接してあげたいところ。直前期の緊張から、自分がくたくたになっている姿を見せられるのは、子どもにとって親しかいません。ときには親に当たったりするでしょう。しかしそれで子どもは心のバランスを保っています。親の「私だって辛い」は禁句にして、笑顔で支えてあげましょう。

国語に近道はなし!
知識問題を解きつつ長文には毎日触れよう

「同音異義語」や「同訓異字」は、入試では定番の問題です。
例:移動・異動・異同、暖かい・温かい、冷める・覚める
POINT 同音異義語では「訓読み」を考えることで、同訓異字では、「その字が用いられている例文」を利用することで、意味とつなげ合わせることが大切です。

入試では、「『単純』の反対語を答えなさい」といった問題が頻繁に出題されます。
例:〈類義語〉意外・案外、寛大・寛容
〈対義語〉単純・複雑、短所・長所、陰気・陽気

POINT 単に熟語として覚えるだけでなく、意味まで理解しておくと、「文章題」を読み解く手がかりにもなります。

四字熟語は、穴埋めや書き取りの問題だけでなく、意味を問う問題が出ることもあります。
例:異口同音、有名無実、我田引水
POINT 意味を大まかに理解しておけば、漢字も書くことができます。「自画自賛」は「自分の絵を自分で褒める」という理解があれば「自我自賛」とは書かなくなります。

ことわざや慣用句は多くの子どもにとって得点源です。落とさないようにしましょう。
例:木に縁りて魚を求む、虻蜂取らず、玉石混淆
POINT 同じ意味や、反対の意味も理解しておきましょう。例:どんぐりの背比べ=五十歩百歩=大同小異

尊敬語、謙譲語、丁寧語などは日常ではあまり使わないため、意識して勉強しないと身につきません。
例:行く→いらっしゃる(尊敬語)、うかがう(謙譲語)、行きます(丁寧語)
POINT 他人の動作は尊敬語、自分の動作は謙譲語という風に、まずは主体がだれなのかを意識しましょう。

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

満場一致で決まるはずだった。自信はあった。発表したときのみんなの反応は、ばっちりだったし、担任の本宮先生も、いいぞ、というふうに大きくうなずいていたし、書記をつとめる川原くんは、 きみの発表した案をひときわ大きく黒板に書いてくれた。
〈信号は 渡る前にも 右左〉
交通安全の標語だった。来週から始まる秋の全国交通安全週間に向けて、全校でクラスごとに標語とポスターをつくる。五年三組の標語は、きみの考えた案で決まり-----のはずだった。
ライバルはいない。他の案はどれもつまらない。
〈雨の日は 傘を差すから 危ないよ〉だの〈気をつけよう ガードレールの ない道路〉だの〈行き帰り まっすぐ前見て 歩こうよ〉だの……。
標語の上手い下手なんて、ほんとうはきみにもよくわからない。みんなにもわからない。だから、おそらく、きみが勝つ。和泉文彦-----「ブンちゃん」が考えた標語だからというだけで、みんなの頭には、それが一番なんだ、というのが刻み込こまれる。
五年三組はそういうクラスで、きみは、そんな五年三組の、間違いなくヒーローだった。
「他に意見ありませんか?」
司会の細田くんが、教卓から教室を見まわして言った。
「決まりだろ、もう」
すかさず三好くんが言った。「ブンちゃんのでいいじゃん、サイコーだもん」とつづけ、きみをちらりと見て、へへっと笑う。
「だめだよ」きみは怒った顔で言った。「ちゃんと投票して、多数決で決めようぜ」
はっきりと「勝ち」がわかったほうが気分がいい。負けるはずがない。勉強でもスポーツでも、五年三組の男子できみにかなう子は誰もいない。
……(重松清『きみの友だち』)

問 傍線部「きみの発表した案をひときわ大きく黒板に書いてくれた」とあるが、字の大きさには川原くんのどんな気持ちが表れているか、答えなさい。

クラスのみんなや先生の反応が反応が良かったので、五年三組の標語はクラスのヒーロー的存在のブンちゃんの案で決まりだろうと確信する気持ち。

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

……要素還元主義と呼ばれる科学は、生じている現象について、基本的な要素に分解して分析することで、法則をより明確で純粋な形で取り出すことができ、より根本から理解できるという特質があります。確実な科学の知が得られるのです。要素還元主義の科学は大きな成果を挙げてきました。その結果として分析的な手法が高く評価され、専門分化がどんどん進みました。
□、要素還元主義では扱えない問題があります。複雑系と呼ばれる、多数の要素が関与しており、それらの間に複雑な相互関係がある場合です。基本的な要素がいくつもあって単純に分解することができず、要素の間に入り組んだ相互関係があるために、不確実な結論しか出せないことが多くあります。科学は万能ではないのです。気象や気候、環境問題、生態系、地震、人体や脳、経済など、私たちの等身大の世界は複雑系であり、不確実な知識しか得られていないのが実情です。このような問題には分析的な手法は通用せず、総合的に見る、全体を把握する、というような方法が開発されねばなりません。まだその方法が確立していない現代において、私たちは不確実な科学の知とどう向き合うかが重要な課題となっているのです。
……(池内了『生きのびるための科学』〈晶文社〉より)

問1 文章中の空欄に当てはまる言葉を選び、記号で答えなさい。
ア しかし イ したがって ウ すなわち エ または
問2 傍線部「分析的な手法」と対照的な内容を表す部分を二十五字以内で探し、はじめと終わりの三字を抜き出して答えなさい


問1: ア
問2: (始め) 総合的 (終わり) な方法

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