母親の悩みや不安が尽きない受験直前期。
よく寄せられる相談と、それに対し、どんなアドバイスをしているのかを、受験のプロに聞きました。


話を聞いたのは
村松 靖夫校舎長
四谷大塚巣鴨校舎。国語の指導も担当。
福島 大輔校舎長
四谷大塚町田校舎。担当教科は算数。

第一志望校に過去問不安なのはみな同じ

村松靖夫先生は、「まず、大前提として言っておきたいことがある」と言います。「それは、どんなご家庭も不安を抱えていると言うことです。子どもの学力がどのようなレベルであっても、"この成績で本当に合格できるのか""入試当日、風邪をひいて実力が出せなかったらどうしよう"など、不安は尽きないものです。」 

同様に福島大輔先生も「最難関校にもなれば、"絶対大丈夫"という子どものほうがまれ。そういうレベルの戦いなので、不安に苛まれるのは仕方がないことです」と言います。 

子どもの学力や成績、志望校に関する不安では、やはり「第一志望校に受かるか」という声が最も多いそう。「受かるとか落ちるとかは、考えないこと。秋以降、学力的に合格が厳しそうでも、私は第一志望校は原則として変えない方向で指導します。第一志望校を変更すると、生徒の学習意欲に少なからぬ悪影響が出るもの。ただ、併願校は変えてもいいでしょう。1月入試で埼玉の学校に不合格となり、子どもがあまりに自信を失ってしまったため、ワンランク落とした千葉の1月校に志願変更して合格。自信を回復し、第一志望校に合格した、といった事例もあります」(村松先生)

「"第一志望校を変えたほうがいいでしょうか?"といった相談も多いのですが、本当の答えはお母さんの心の中にあるもの。ですから、あれこれアドバイスしたりせず、まずは聞き役に徹し、お母さんを勇気づけます」(福島先生) 

過去問で点が足りないことを気にするお母さんも目立つそうです。「過去問ができなくても合格した先輩の話などをすると、安心してくれますね。すべてに共通して言えることですが、お母さんたちには"ウチだけダメなのでは?"という思考に陥ったときに不安を感じる、というメカニズムが働いているようです」(福島先生)

「危険なのは、"偏差値的には足りないけど、過去問で合格点が取れているからOK"という考え方。偏差値60の学校というのは、偏差値60相当の学力をしっかり身につけるよう努力して挑戦すべきもので、最初から過去問の分析による小手先のテクニックだけで何とかしようというのでは、合格は覚束ないものです」(村松先生) 

過去問をやる時間がないという声もよく挙がります。「入試本番さながらに、4教科いっぺんにやろうとして、まとまった時間がとれないというケースが多いですね。過去問は、1日1教科ずつでも効果があります。必ずしも4教科を通してやる必要はありません」(福島先生)

"冬に風邪はひくもの"そんな心構えが重要

「子どもが勉強しない」という悩みは、入試直前になっても続きます。

「直前期になっても勉強しないというケースは珍しくありません。この場合、"家で勉強"にこだわらず、塾の自習室を活用するなどの方策を取りましょう」(福島先生) 

入試は真冬のさなか。子どもの体調面のケアも気になります。「風邪の予防も大切ですが、"真冬に風邪をひくのは当たり前"くらいのスタンスで、親がどっしり構えていることの方が大事。お母さんが慌てると、子どもも焦ります。入試本番で体調が万全な子なんて、そう多くはありません。重要なのは、精神的にどれだけ前向きでいられるかです。ただし、インフルエンザが流行しているときは、小学校を休ませることを検討してもよいでしょう」(村松先生)

「風邪で1週間休んでも、そこまで積み重ねた学力がゼロになるわけではありません。また入試本番は、受験生のほとんどが"お腹が痛くなってトイレに行きたくなったらどうしよう"などと考えているもの。みんな同じように不安なのです」(福島先生) 

願書の書き方や面接など、ささいなことで不安がる傾向も。「ちょっとした言葉遣いや書式の差などで迷うこともあるかもしれません。しかし、大人が迷う範囲内であれば、どれを選んでも不合格にはなりませんのでご安心ください。不安に思うぐらいなら、細かいことも恥ずかしがらず、すぐ塾に聞きましょう」(村松先生)

親が不安を表に出すと子の不安に直結する

秋以降にお母さんに心掛けてほしいのは、「親が自分の不安を子どもに見せないこと」と村松先生。

「先ほどの"風邪をひいてもどっしり構えてほしい"という話にも共通することですが、親の不安は子どもの不安を増幅し、焦る気持ちを生みます。しかし、知らず知らずのうち子どもに親の不安が伝わってしまうのはよくあること。模試の結果のあまりの悪さに顔がこわばる、などというのは隠し切れるものではありませんよね。受験を通して、"我が子=自分"という精神状態になってしまうお母さんも多いようです。それなのに、学力や成績面、そして入試本番では、自分はほとんど何もしてあげられない。"不安になるな。感情的になるな"と言われても、冷静でいられない気持ちはよくわかります」(村松先生) 

そんなときは、冷静でいられない自分を受け入れ、フォローしてくれる存在に頼るのもひとつの手だそうです。「お父さんがその役割を果たせるなら、お願いしましょう。それが難しいなら塾に頼ってください。お母さんの愚痴や悩みを聞くことは、直前期における講師の大切な仕事のひとつですからね」(村松先生)

「お勧めしたいのは、小さな目標を設定し、それを達成して子どもに自信をつけさせること。目標とは、塾で実施する漢字テストや計算ドリルで満点をとる、といったレベルで構いません。お母さんは漠然と不安を感じていることが多いのですが、具体的で目に見える成果を重ねることは、子どもだけでなくお母さんの精神状態の安定にもつながるはずです」(福島先生)

先輩お母さんの体験談
Q1 受験直前期において、子どもに対して特に気を遣ったことは何ですか?

● これまで以上に早寝早起きを心掛けた。(立教女学院)
● 食事の内容に気をつけ、体を冷やすものや消化の悪いものは避けた。予防接種、マスク着用、手洗い・うがいなど、体調管理を徹底させた。(聖光学院)
● お弁当の中身をバランスよくし、子どものテンションが上がるようなものをつくった。(東京女学館)
● 自分がストレスで身体を壊さないよう、勉強は塾に任せて、体調管理に気をつけた。(広尾学園)
● 子どもが前向きになれるように、マイナスなことは言わないよう気をつけた。(大妻)
● いつもと変わらない態度で接するように気を配った。(芝)
● モチベーションを高められるように、自分に自信を持てるように毎日話をした。(文化学園大学杉並)
● 誰かひとりでも体調を崩すと、健康面だけでなく、精神的にも負担になるので、家族全員の体調管理に気をつけた。(豊島岡女子学園)
● 風邪がはやる時期なので、体調管理を徹底させた。勉強面では、やり残しがたくさんあったので、弱点克服に時間を費やした。(明治大学付属明治)
● 生活リズムを崩さないよう、早寝早起きを心掛けた。(明治学院)

Q2 受験直前期を迎える前に「もっとこうしておけばよかった」と、後悔していることはありますか?

● 学校見学を小5までに済ませておくべきだった。希望校を早い段階で絞り、各校に合わせた対策を立てるべきだった。(広尾学園)
● 第三志望校までの願書は早めに取り寄せていたが、以降の併願校は直前になってしまい焦った。候補に挙がっていた学校の願書は、早めに取り寄せておけばよかった。(渋谷教育学園幕張)
● 面接のとき、娘にブラウスとセーターを着せたが、ほかの子どもが皆スーツだったので、用意しておけばよかった。(東京女学館)
● もっと早く志望校を定めて、過去問をみっちりやるべきだった。(大妻中野)
● 身近な時事問題を、もっと家庭で話題にあげるべきだった。(浦和実業学園)
● 娘への接し方などについて、もっと夫と話し合っておけばよかった。(文化学園大学杉並)
● 受験というものを、子どもにもっと自覚させておけばよかった。(桐蔭学園)
● 早い段階でいろいろな文化祭に足を運ぶべきだった。(大妻中野)
● 子どもがリラックスできるような時間を、たくさんつくってあげればよかった。(豊島岡女子学園)
● もっと早い段階で過去問に取り組んでおけばよかった。(新島学園)

Q3 受験直前期を乗り越えていくうえで、助けとなったものは何ですか?

● 同じ塾のお母さんたちとの交流。(成蹊)
● 同じ境遇にあるお母さんたちのブログや、塾の先生への相談。(渋谷教育学園幕張)
● 娘が第一志望校の制服を着ている様子のイメージ。夫の「大丈夫」のひと言。(東京女学館)
● これで人生が決まるわけではない。落ちたら公立に行けばいい。それも神様が子どもに与えた最良の人生なのだ、と自分に言い聞かせたこと。(横浜英和女学院)
● 塾の先生が親身になって相談に乗ってくれ、的確なアドバイスをしてくれたこと。(聖光学院)
● 中学受験に挑むお母さんとの情報交換。塾の先生からのフォロー。(順天)
● 夫の全面的なサポート。下に子どもがいたので助かった。(芝)
● 無邪気な弟の存在。(跡見学園)
● 子どもの強い意志。(女子学院)
● 普段どおりに接するよう心がけてくれた、家族全員のサポート。(豊島岡女子学園)
● 塾の先生のアドバイス。受験に対して、「口出しはせず、お金だけ出す」を貫いてくれた夫の存在。(広尾学園)
● 塾の先生の努力と励まし、経験に基づくアドバイス。感謝してもしきれない。(日本大学)

Q4 子どもを中学受験させてよかったかと思いますか?

【よかった】
● 子どもの学力、性格に合った落ち着いた学校に進学できたから。受験で子どもの成長した部分を感じ取ることができた。(聖光学院)
● 子どもが自分で決断して始めた受験。志望校も併願校も自分で決め、それに向かって学習に取り組んでいたので、精神的成長が著しかった。(渋谷教育学園幕張)
● 子どもの成長、挫折、友達との切磋琢磨、夏の合宿での決起集会。どれも今後の役に立つことばかり。(日本大学)
● 第一志望校の不合格に落ち込む私に、「明日は大丈夫」と言った娘を見て、大人になったと感じた。楽しそうに中学に通う姿を見て、心からよかったと思う。(東京女学館)
● 大変なことも多かったが、辛いことを乗り越えたこと、自分の力を信じて取り組んだこと。無駄なことは何もない。(湘南学園)
● この時期に基礎的な知識を身につけたことは、必ず財産となる。子どもの精神的な成長も感じられた。(明治学院)
【わからない】
● 正直まだわからない。大学受験の成功まではわからないと思う。(東京都市大学等々力)

>一番上へ

サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。