Interview1

柳谷 晃氏
数学者、作家。早稲田大学高等学院数学科教諭、同大学理工学術院兼任講師。専門は微分方程式とその応用。数学の魅力をわかりやすく伝える本も執筆。著書に『その「数式」が信長を殺した』(ベストセラーズ)など。柳谷 晃氏数学者、作家。早稲田大学高等学院数学科教諭、同大学理工学術院兼任講師。専門は微分方程式とその応用。数学の魅力をわかりやすく伝える本も執筆。著書に『その「数式」が信長を殺した』(ベストセラーズ)など。

苦手意識は持たせても大丈夫
克服の課程で、考える力が身につく

文理の壁をつくらず幅広く勉強しよう

 私は、子どものときから理系の分野に興味があり、絵本よりも図鑑をよく読んでいました。理系が好きになったきっかけは、父にあったと思います。父は俳優でしたが、もともと医者を目指していたこともあってか、考古学や探検記などの本を、よく読み聞かせてくれたのです。難しい内容の本でも、わかりやすい言葉に置き換えて、読んでくれました。 

数学は、高校生くらいから好きになりましたが、実は高校時代に一番成績がよかった科目は、古文と漢文です。意外に思われるかもしれませんが、数学者には、語学が得意な人が結構います。たとえば、近代の数学に大きな影響を与えた、ドイツの数学者ガウスも、ヘブライ語が堪能だったと言われています。 

理系の科目が好きだからといって、算数や理科ばかりを取り組ませるよりも、いろいろな科目や分野を学ばせたほうが、将来の可能性は広がるでしょう。とくに小学生のときは、文理の壁をあまり作らず、両方ともバランスよく取り組むようにさせたいですね。 私は、小学生が算数を学ぶ上で、意識すべきポイントは、問題の「事実関係」を押さえることだと考えています。方程式を使って機械的に解くのではなく、たとえば「つるかめ算」のように、問題文の中で書かれている事実を押さえ、そこに算数をどう当てはめればよいかを考える。それにより論理的思考が身につき、物事を考える「手順」も理解できます。 

ひとつの問題に対し、自分が持っている知識の引き出しから最適なものを選び、解決の手順を模索することは、社会に出てからもきっと役立つ力なので、子どもの頃から磨いてほしいと思います。

苦手を克服することで困難に立ち向かえる

小学生のときに、算数が苦手になる子どもが多いらしく、「算数への苦手意識を持たせないためには、どうすればよいか」というのが、教育現場のテーマのひとつとしてあるようです。ただ、私は、苦手意識は持たせてもよいと思います。 

と言うのも、乗り越える壁がまだ小さなうちに、苦手意識を実感し、克服する方法を学べるのであれば、それに越したことはないからです。 高校生になって「数学が苦手」と感じたのであれば、それはおそらく向いていないのでしょう。ただし、小学生の場合、「食わず嫌い」で、算数に苦手意識を持っている子どもも多いと思いますし、諦めるのは早すぎます。小学校で学ぶ「算数」は、中学や高校で学ぶ「数学」に比べて、やさしい内容が中心です。だからこそ、この段階で苦手意識を持ったとしても、親がサポートしたり、学習方法を見直したりすることで、苦手意識は克服できるでしょう。 

親がサポートすべきことは、まず子どもが苦手としている部分を、探してあげる手伝いです。「わからないところがわからない」というあいまいな苦手意識では、何を克服すればよいかもわかりません。どこが苦手か、どの知識が抜けているかを、基本的な問題を解きながら、チェックさせてみるのがよいでしょう。 苦手な部分が明らかになったら、その問題から逃げずに、深く考える姿勢を持たせることが大切です。最初は大変かもしれませんが、それを続けることで、人生の困難に直面したときに、その壁を乗り越える力も身につくはずです。

Interview2

鍵本 聡氏
作家、大学講師。教育関係の書籍を出版する株式会社KSプロジェクト代表。『計算力を強くする』(講談社ブルーバックス)などをはじめ、著書多数。関西学院大学などで講師も務める。

リーダーとしてチームをまとめる力は
算数力の高さに比例する

普段の遊びを通して算数の力が育まれる

私の親は、欲しいと思った本は、何でも買ってくれたので、さまざまなジャンルの本を、読み込んだ記憶があります。そして、算数や数学に興味を持ったのも、読書がきっかけでした。小4のときに、『ゼロから無限へ』(講談社ブルーバックス)という本を読んだのですが、そのときに、それぞれの数字にはおもしろい性質があることを知りました。そのほかにも、「ゼロはインド人が発明した」「6が完全数である」など、興味深い内容が盛りだくさんで、はじめて算数の魅力に気づいた瞬間でした。 

算数への理解力は、普段の遊びのなかでも磨かれたと思います。たとえば、私はトランプ遊びで、七並べやブラックジャックをよくやりましたが、勝つためには、次に自分が引くカードの確率を考えてみたり、カードの数字を計算したりしなくてはいけません。トランプの勝負に必死になる中で、自然と算数の力を駆使するようになりましたね。 

そのほかに、ジャングルジムでの鬼ごっこでも、同じようなことが言えます。たとえば、ジャングルジムの反対側に鬼がいる場合、「どう逃げたら、一番早いか」を考えますよね。これは、算数に出てくる図形問題を考える力に結びつきました。そう考えると、遊びの中に、算数への理解を深める要素は、たくさんあるのです。

普段の会話に気を配り算数力を磨いていこう

私はかつて、会社勤めをした経験があり、製品の開発を担当していました。そのときには、ひとつの機種を作るのに、「金型の値段はいくらか」「工事期間はどのくらいか」「売価はいくらぐらいで、どれだけの量が売れたら利益が出るか」など、さまざまな計算を毎日やっていました。まさに、算数の文章問題を、毎日解いている感じです(笑)。 

私は、算数の中で、文章問題を考えることが、一番大切だと思っています。なぜなら、文章問題の内容を理解しようとする中で、文章を読み解く能力が磨かれるからです。そして、幅広いタイプの問題を解くときにも、応用できます。また、問題集だけでなく、解説が書かれた参考書を読み込むことで、「こうだから、こうで、こうなる」という、理路整然とした考え方も身につくはずです。 

子どもの頃に身につけた「算数力」は、大人になってから、仕事をする上でも役立ちます。「算数力」には、論理的思考力や読解力、図形認識力など、さまざまな要素が含まれますが、私はリーダーとしてグループをまとめる力も含まれると思います。 

リーダーは、自分のグループをうまくまとめ、成果を出さなければいけません。さらに、「どうやって仕事を分けるか」「どのグループの作業を重視するか」など、さまざまな問題に直面するはずです。そんなときに、状況を判断して、適切なアプローチができる能力は、幅広い問題を考えられる「算数力」に比例してくることでしょう。 

これから、子どもの「算数力」を伸ばしていきたいと考えている家庭では、普段の会話を大切にしてみてください。私の経験上、会話の受け答えがちゃんとできる子は、問題の説明を聞いたときにも「こうだから、この答え。なるほど!」と理解し、算数の成績が伸びていきます。そして、会話の受け答えができるようになる第一歩は、毎日の挨拶が、しっかりできるようになることだと思います。

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