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タイトル
自ら一歩踏み出せない弱さが低迷する原因
――まず、偏差値70台に届く子どもと、60台前半の子どもの間には、どんな差があるのか教えてください。
高須  国語の記述で言えば、自分なりのこだわりを持って、なぜこの要素が答えに入るのかまで考えているかどうかが、両者の差だと言えます。"能力の差"というよりは、いかに自分で突っ込んで考え方の筋を確認し、書く練習をしているかどうかの違いだと思います。
永野  70台の子どもになると、テキストに載っていないこと、たとえばTPPと習った知識を結びつけられる。自ら求め、自ら考えられるという特徴がありますね。70に届かない子どもは、テキストに載っている太字の説明や背景に線を引き、覚えることはできていても、そこで留まってしまう。
蛭田  60台前半の子は丁寧に勉強していて、吸収はできているのですが、新しい問題や難解な問題に対して、"やってみよう"と一歩踏み出すところが弱いですね。70に届かない原因はそこにあると思います。70に近い子には、先生の説明は二の次で自分の考えが第一という子も多い。自分の考え、解き方に加えて、人の意見を聞けるようになれば70を超えられるはずです。
大川  60台と70台の差は努力して積み上げただけか、積み上げたものをうまく利用できるかの違いにあります。60台の子はそれを丁寧に積むことはできるのですが、利用する力が足りない。ただ、夏休み以降、その力を子どもに身につけさせていくことこそ、我々の仕事だと思っています。

蛭田先生

理社に関しては中堅校のほうが難しい
――実際に、最難関校の入試は偏差値60前後の学校の入試と大きく異なるのでしょうか。
大川 理科と社会に関しては、それほど差はありません。中堅校でも、難易度の高い出題をする学校はあります。基礎学力をしっかりと身につけ、積み上げたものを使える技術を身につければ、十分対応できるはずです。
蛭田 男子校・女子校でも違ってきます。女子校なら習ったことをきちんと定着させれば、どの学校でも対応できるはずです。男子校の開成・筑駒になると、それだけでは対応できません。算数に関しては、男子校のほうが難易度が高いと考えてよいでしょう。特に差がつくのは、答えが何通りかある問題。大抵の子は手が止まってしまいます。できる子はそれを丁寧に調べ切る力があるんです。あとは、問題の流れに乗れるかどうか。乗れなかったとしても突っ走って解き切る力があるか。そういう力強さが開成・筑駒の入試では必要になります。
高須 国語で言えば記述の量ですね。総じて難関校ほど、たくさん書かせる傾向にあります。女子学院だけは問題数の多いスピード勝負だったのが、ここ数年で方針が変わり、記述の量も増えてきました。これらの学校を受験するには記述の練習が不可欠です。
永野 最難関校に共通するのは、出題者が小学校の教科書をよく見て問題をつくっているということ。基本を重視して積み上げ学習ができているかという、学習姿勢に注目しているんです。教科書に載っている図版がそのまま出たこともありました。しかし、塾に通っている子は学校の教科書を軽視しがちなので、日頃からよく見ておくように指導しています。その一方で、初めて目にするような資料やグラフを出して、反応を見るという出題もあります。それに対し、なぜだろうと考える姿勢を持っているかが見極められます。

――偏差値70台に到達するために、壁となるのはどんなことですか。
高須 全体を見る力ですね。物語の読解で言えば、場面展開の中で登場人物がどのように気持ちを変化させていったか、さらには主題までしっかり掴めているか。近視眼的に部分だけを見る力ではなく、大きく内容を掴む力が必要になります。
蛭田 上位生には客観視する力があります。算数の場合は、まだ自分だけの世界で対応できる部分もありますが、習ったことを日常生活に置き換えられるなど、物事を客観的に捉える力が必要になってくると思います。
永野 社会科では、暗記すればいいだろうという意識で、ある程度対応できるのは60台まで。開成・筑駒を狙う子はさらに上のレベル。覚えているのは当たり前で、初めて見るような問題にも対応できます。ただ、難関校ほど基本重視ですから、非常に細かなことまで暗記しようとするのは間違いで、まずは穴をなくすことです。

高須先生

親子一緒にがんばれる家庭の雰囲気づくりから
――夏休み前に偏差値60前後の子どもが最難関校に合格するためには、何をすればいいのでしょう。親がサポートできることはありますか。
蛭田 最初に、その子自身が合格したいと思えるかどうか。親が合格を信じてあげて、一緒にがんばろうという家庭の雰囲気をつくることが第一です。成績を上げるのは一段一段ですから、まずは65くらいに向けて何が足りないのかを考えること。70で安定するためには、4教科のバランスが不可欠。理科・社会はとれて当たり前。それがとれていないなら、まだ70を目指す段階ではありません。夏休み中、どこまで成績を上げられるか、いきなりハードルを高くしないことが重要です。
大川 夏休みはとにかく知識を積み上げておくこと。70超の学校を受験する力を十分持っている子でも、積み上がっているものがないと利用できません。まず、偏差値60台の基礎学力を身につける必要があります。その基礎学力とは、知識を組み合わせることができるかどうか。バラバラに入っている知識をグループごとに分けて、紐づけできるか。ひとつの言葉から、連想していろいろなものを引き出せるような力をつけてもらいたいですね。
永野 難関校は知的好奇心のある生徒を求めているということを意識して、夏休みにはテキストに載っていないことまで、広く興味を持って目を向けてもらいたいですね。先ほど言ったTPPなどは賛否両論なので、自分の意見を書きなさいといった出題があるかもしれません。そのような事柄に対して、家族で話し合う時間を持ってもらいたいと思います。
高須 国語では、繰り返しになりますが一問一問を大切に、文章を理解し切ることが何より大切。親がサポートする場合は、どういう内容だったのかと問いかけるのが有効です。登場人物の心情の変化や論説文の主題を子どもに言わせるようにすると、よい刺激になると思います。ほかにできることと言えば、「知識系」の勉強を効率よくするための手助けをしたり、勉強がスケジュール通りに進んでいるかをチェックしたり、あとは、いいタイミングで励ましの言葉をかけてほしいですね。
大川 健康管理も大切です。夏は体力を消耗するので、グッタリしてしまう子が多いんです。女の子はちょうど体が変わる時期でもあるので、気をつけてもらいたいと思います。
蛭田 夏の間に底上げを図ることも大事ですが、逆転の発想で得意科目を大幅に伸ばして、そこに関しては可能性が出てきたとするのもありだと思います。60台の自分を変えなければいけないのですが、全体を上げるのは大変なので、好きなところを伸ばしつつ苦手なところをカバーする。凸凹があってもいいので、グッと伸びることで子ども自身がやる気になれるはずです。夏休みの取り組みとして、劇的な変化をつくり出すのもいいでしょう。

大川先生

戦う相手を知るために過去問を1年分解く
――具体的に、どのような教材を使えばよいのでしょうか。志望校の過去問にも手をつけたほうがよいですか。
高須 四谷大塚の場合、夏期講習でも20題近くの文章題を解きますし、夏期講習の選択講座、副教材の問題集なども合わせれば、分量としては十分だと思います。過去問については、講習の教材が、難関校志望者が今の時期にやるべきレベルのものになっていますので、取り立てて早くやる必要はありません。ただ、志望校が固まっている場合には、出題傾向だけは知っておいてほしいと思います。
永野 社会は難関校といえども基本重視ですから、まず満遍なく知識を拾える教材をやり遂げること。夏期講習のものだけで十分ですから、それ以外は必要ありません。過去問に関しては、1年分くらいはやってもいいと思います。学校によって出題形式が大きく異なるので、どれだけの分量をこなすのか、時事問題が出るのかなどを掴んでおいてほしいと思います。
大川 講習を受けているときは、その教材の復習をすることが第一です。自分の時間を使うときは、予習シリーズに戻ってもう1度見直すとよいでしょう。過去問は1年分くらいであれば、やってもいいと思います。自分がこれから向かっていく敵を知ることは大切。作図や記述があるのかを意識できるよう、必ず解答用紙に書き込んでください。ただ、この段階では、あくまで相手を知るためのものですから、本格的に取り組むのは秋以降にしましょう。
蛭田 難関校を目指す子なら7月に課題を提示すると、夏休み前に終わっている場合がほとんど。その上で、もう1冊課題を与えてほしいと思います。四谷大塚でいえば、実力完成問題集を夏の課題として終わらせるのを目標にすることです。過去問を1年分くらいやるのはいいと思います。ただ、やり始めるともっとやりたくなるんですよね。全部終わってしまっていたということがないよう、注意してください。
――では、最後に難関校を目指す親子に向けてメッセージをお願いします。
大川 壁はそれほど高くありません。まずは、自分のできないところをきちんと見つめて振り返ること。できないところをひとつずつできるようにしていけば、必ず乗り越えられます。
高須 難関校だからといって、特別な読解力が必要とされるわけではありません。やはり、大切なのは基本の積み重ねです。最後の最後まであきらめず、一歩一歩進んでいきましょう。
永野 子どもは子どもなりにがんばろうという気持ちを持って、夏休みに臨んでいます。結果がなかなか出ないこともあるかもしれませんが、がんばりを評価してあげてほしいと思います。
蛭田 もしも結果が悪くても、一喜一憂しないことが大切です。まだまだ先は長いと考え、とにかく合格を信じて進んでください。夏休みはそのための第一歩になるでしょう。

開成の入試って?
■国語
出題される文章の種類が年ごとに変わっていくので、ジャンルを問わずに対応できる力が必要。記述問題には下書き用紙が用意されているが、裏を返せば下書きできるほどの余裕があるということ。言葉を精選して、要点をまとめる練習をしておきたい。(高須)
■算数
試験時間は60分と長いが、面倒な計算も多く、正確にすばやく解く計算力が必要。基本事項の理解度を問うレベルの出題が中心になりつつあるが、数や規則性などの合否を分ける“調べて解く問題”は、設問の流れを意識して丁寧に考える学習が不可欠。(蛭田)
■理科
生物・地学が特徴的なので、重点的に取り組みたい。身の回りの動植物のつくりがどうなっているかなど、観察力やデータ分析力を問う問題が多い。一方、物理・化学については奇をてらった問題は出ず、基本を押さえておけば十分対応できる。(大川)
■社会
基本重視。ここ数年は特に、"正解して当たり前"の問題も多いので、まずは穴をつくらないことが大切。年ごとに難度の差はあるが、細かな対策は9月以降で十分に足りるはず。夏休みには、全体を満遍なくカバーする勉強を心がけよう。(永野)

筑駒の入試って?
■国語
40分間で3題解くためのスピードが要求される。「文章自体が難解で手が出ない」ということはまずない。要点を掴み、手際よく、的確かつ簡潔にまとめる力を鍛えておきたい。詩が出題されるのが特徴的。詩独特の表現技法に慣れておこう。(高須)
■算数
数の性質や規則性についての基本的な考え方を身につけておきたい。そして、与えられた条件や操作から、帰納的に考える練習が必要となる。解き方を覚えるのではなく、なぜそうなるのかを考えながら、丁寧に問題に挑む訓練をしておく必要がある。(蛭田)
■理科
物理、特に力学分野は込み入った細かな計算が必要となる問題が多い。対策としては解き方のパターンを暗記するのではなく、なぜそうなるのかという考えを身につけること。それ以外の分野に関しては、それほど難しい出題はない。(大川)
■社会
ほとんどが選択肢で記述問題は1題程度。簡単な形式のようだが、本物の力を問われる試験。正確な知識を身につけていないと正解にたどりつけない。選択問題のどこが間違っているかを必ず確認するなど、日頃の積み重ねが重要。(永野)

桜蔭の入試って?
■国語
最後に長文の記述が控えているので、負担感が大きい。書くことに対する慣れは必須。物語については、全体の流れを掴む練習をしておこう。論説文は文章自体が難解なこともあるので、普段から入試レベルの文章に親しんでおきたい。(高須)
■算数
傾向としては規則性、立体図形、条件整理の問題が多く出題されるが、計算力を問う問題も多く出題される。合否を分けるポイントは、“正確にすばやく解く力”。自分に厳しく、絶対にミスをしないという高い意識を持って、学習に臨むことが大切。(蛭田)
■理科
難問はほとんど出ないが、データの分析力を問う出題が非常に多い。夏休みくらいから、そういった問題に徐々に目を向けておきたい。数をこなすのではなく、数値が何を意味しているのかを考えながら問題に向かう姿勢を身につけよう。(大川)
■社会
近年、難度が高くなってきている。大人にとっては常識でも、多くの子どもは知らない、というような出題が多い。たとえば、郷土料理についての知識など、テキストの勉強だけではなく、幅広い興味や関心を持って世の中を見られるかがカギ。(永野)

女子学院の入試って?
■国語
記述の量が増える傾向にある。ただし、手際よく処理する力は相変わらず必要。論説的な随筆文の出題が多いので、読み慣れておこう。文章題の中で、文法を含めた言葉の知識も問われるので、そちらの勉強も怠らずにしておきたい。(高須)
■算数
短時間で正確に解くスピードが要求される。幅広い問題をカバーできるよう、課題をこなして苦手なところを確実につぶしておきたい。夏休みの段階では、スピードを意識するより、どんな分野にも対応できる力をつけることが第一。(蛭田)
■理科
40分で問題を解き終えられるかで大きく差がつくスピード勝負。そのための前段階として、問題を何分で解くという時間の感覚を身につけることが大切。たとえば、お風呂に入る前と後で時間を必ず確認するなど、常に時間を意識させたい。(大川)理科
■社会
問題数が絞られ、スピード重視から思考重視の問題へ変化してきている。歴史は政治・経済・文化などのテーマを設定した、通史の形式で出題されるので、慣れが必要。夏休み中に、通史形式になる2学期以降のテキストに目を通しておこう。(永野)





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