本番での得点力をアップさせるためには、入試で頻出の問題にチャレンジして、理解不足の分野をひとつでも減らすことが、カギを握ります。各教科の重要ポイントを押さえて、直前期の学習に取り組みましょう。


時期によって問題のレベルを変える

11月も下旬となる頃に、算数の学力が、志望校で求められるレベルに達していないと、多くの子どもは不安に駆られます。そして、苦手単元の克服に躍起になったり、難しい問題にばかりチャレンジしたりします。

しかし、残りの期間で、算数の苦手分野を完璧に理解するのは、なかなか難しいところ。それよりも、子どもが得意とする分野をさらに伸ばすような入試の頻出問題に取り組むなど、効率的な学習を心がけたほうがよいでしょう。

ただ、12月中旬くらいまでの時期は、少し難しいレベルの応用問題にチャレンジさせるのも大切です。なぜなら、問題のレベルを「見きわめる力」が、磨かれるからです。

多くの中学校の入試問題は、全体の7割程度を正解できれば、合格圏内に入ることができます。そのため、解ける問題と、解けない問題を見きわめる判断力を養うことが、合否を左右します。問題によって難易度に差がある算数のテストでは、特に「見きわめる力」が、カギを握ることでしょう。

どのレベルの問題までなら、自分が解けるのかを子ども自身が把握するためにも、レベルの高い応用問題にチャレンジさせることは欠かせません。さらに、難しい問題にチャレンジさせておくと、12月の後半以降に取り組む問題が、比較的簡単に感じられるというメリットもあります

冬休みが近づいてきたら、難しい応用問題に挑戦するのはなるべく避け、「少しがんばれば手が届く」範囲の問題に、取り組みましょう。この「少しがんばれば手が届く問題」とは、問題文を読んだときに、子どもが解き方の見通しをある程度立てられるレベルの問題を指します。これを1日に2、3題解くことが、ひとつの目安です。

入試が近づくと、ほかの教科の学習も忙しくなりますが、計算問題の練習を続けさせることも忘れないように。算数が得意な子どもでも、計算練習から数日間離れると、問題を解く感覚が鈍ります。1日に2、3問でよいので、入試当日まで練習を続けさせましょう。

グラフの問題を理解する

問:太朗君は、A町から12km離れたB町まで自転車で進みました。太朗君が出発してから6分後に、父が自動車でA町を出発してB町に向かい、B町で12分間休みました。その後、自動車は速さを1.5倍に変えて折り返し、A町にもどりました。右のグラフは、太朗君と父の進行の様子を表したものです。これについて、次の問いに答えなさい。

(1)父がA町からB町に向かうときの速さは時速何kmですか。
(2)グラフのアの値を求めなさい。
(3)太朗君が父とすれちがったのは、B町から何kmのところですか。

正解 (1)時速40km (2) 9.6 (3) 2.4km

解説
(1)48-12-6=30(分)……自動車で往復した時間 1/1:1/1.5=3:2……自動車の行きと帰りにかかった時間の比
30÷(3+2)×3=18(分)……自動車の行きにかかった時間
したがって、父がA町からB町に向かうときの速さは、12÷18= 2/3(km)→時速40km
(2)12÷48=0.25(km)……太朗君の自転車の分速
父が太朗君を追いこしたのは、父が出発してから、0.25×6÷(2/3ー0.25)=3.6(分後)
したがって、アの値は、6+3.6=9.6(分)
(3)父がB町から折り返すのは、太朗君が出発してから、6+18+12=36(分後)です。
そのとき、太朗君は、B町の手前、 12ー0.25×36=3(km)の地点にいます。
父の帰りの分速は(2/3×1.5)=1kmですから、太朗君が父とすれちがったのは、3÷(1+0.25)=2.4(分後)
したがって、1×2.4=2.4(km)


解けなかった場合は…
線分図を書いて視点を変える
「速さ」の問題で、グラフが出された場合、下のような線分図を書いてみるのがオススメです。問題内容を考えるときの視点が変わり、正解に近づくはずです。

相似を見抜いて答えを導く

問:下の図の長方形ABCDで、AE:EB=1:2、DF:FC=1:2です。これについて、次の問いに答えなさい。

(1)EG:GFを求めなさい。
(2)AG:GH:HCを求めなさい。
(3)三角形AEGの面積が15c㎡であるとき、四角形EBHGの面積は何c㎡ですか。

正解 (1) 1:2 (2) 5:4:6 (3) 66c㎡

解説
(1)AEとCF(=EB)の長さの比は1:2ですから、三角形AEGと三角形CFGの相似比は、1:2になります。したがって、EGとGFの長さの比も1:2です。
(2)GF:BC=2:(1+2)=2:3ですから、三角形GHFと三角形CHBの相似比は、2:3になります。
したがって、GH:HC=2:3
また、AG:GC=1:2ですから、AGの長さを1、GCの長さを2とすると、
AG:GH:HC=1:(2× 2/5):(2× 3/5)=5:4:6
(3)AE:AB=1:(1+2)=1:3
AG:AH=5:(5+4)=5:9ですから、
(1×5):(3×9)=5:27……三角形AEGと三角形ABHの面積の比
15÷5×27=81(c㎡)……三角形ABHの面積
81-15=66(c㎡)……四角形EBHGの面積

解けなかった場合は…
練習を重ねて「眼力を磨く」
直前期の学習では、テキストを見て「三角形の相似の条件は……」のように知識として覚えているよりも、さまざまなタイプの問題に取り組み、相似を見抜く力を磨いたほうが得策です。

解けた場合は…
補助線を引く問題にも挑戦
右の図ような正六角形に、補助線を引く必要がある問題も解けるようになれば、平面図形は万全。学習に取り組む際は、親が「ここに補助線を引けば、いいんだよ」と教えないように注意しましょう。

素因数分解がカギを握る

問:1/24、2/24、3/24、……、23/24の23個の分数のうち、約分すると分子が1となるものは、1/24を除いて何個ありますか。また、これ以上約分できないものは何個ありますか。

正解 6個、8個

解説
約分して分子が1になるのは、もとの分子が分母である24の約数のときですから、
1×24、2×12、3×8、4×6
より、1、24を除くと、{2、3、4、6、8、12}の6個とわかります。
また、24を素因数分解すると、2×2×2×3ですから、約分できない分数は、
分子が2の倍数でも3の倍数でもない整数のときです。
したがって、これ以上約分できない分数は{1、5、7、11、13、17、19、23}の8個です。

解けた場合は…
積に関する問題にチャレンジ
「1×2×3×……×N、1からある整数Nまで順にかけた積をAとします。これについて、次の問いに答えなさい」などといった問題にもチャレンジして、素因数分解を使いこなせるようにしましょう。

問題の条件を書き出そう

問:90個のお菓子を男子と女子に配ろうと思います。男子に4個、女子に5個ずつ配ると6個あまり、男子に5個、女子に4個ずつ配ると6個足りなくなります。このとき、男子、女子はそれぞれ何人いますか。

正解 男子:16人 女子:4人

解説
男子の人数を男、女子の人数を女とすると、
4×男+5×女=84(個)(=90-6)……1
5×男+4×女=96(個)(=90+6)……2
女子の人数をそろえると、16×男+20×女=336(個)25×男+20×女=480(個)
したがって、(480-336)÷(25-16)=16(人)……男子
(84-4×16)÷5=4(人)……女子

解けた場合は…
問題内容を視覚化する
問題内容を計算式にしてイメージできない場合は、右の図のように、問題内容をシンプルにまとめたほうが効果的です。「和と差」の問題では、条件を書き出して、問題内容を視覚可することを心がけましょう。

読解のルールを確認し「精読」を心がけよう

精神的にナーバスになっている直前期の子どもは、マイナス思考に陥りがちです。たとえば、国語の過去問を解いているときに、文章読解で、答えがわからない問題が、3問続いたとします。すると、それだけで「合格できないもしれない……」といった考え方に、とらわれてしまいます。

マイナス思考に陥ると、国語の学習が嫌いになったり、文章の読み方が雑になったりします。そんな時は、「重要ポイント1」で紹介している知識問題にチャレンジさせて、子どもに自信を持たせるのも、ひとつの方法です。

ただ、国語の学力は、読解力がベースとなるため、やはり物語や論説文などの長文を正確に読みこなす練習から、逃げることはできません。読解問題は、1日1題ほどで構わないので、入試当日まで継続して取り組みましょう。

国語に強い苦手意識を持っている子どもの場合は、必ずしも問題を解く必要はありません。なぜなら、文章の基本的な読み方が、マスターできていない恐れがあるからです。その状態のまま、問題をたくさん解いても、正解を導くことは難しく、国語の得点もなかなかアップしないでしょう。

直前期には、「重要ポイント2」で紹介している文章読解の基本ルールを再確認して、細かいところまで丁寧に読み込む「精読」を行なうように努めてください。

小説や物語文を精読するときは、頭の中で、情景を映像化することもポイントのひとつ。たとえば、登場人物はどんな髪型をしているのか、どんな服を着ているのか、類推しながら読み進めてみましょう。もちろん、子どもの勝手な思い込みは、禁物です。必ず文中に示されている根拠をもとに、イメージさせましょう。

こうしたトレーニングを毎日少しずつでも積み重ねていけば、入試までに読解力は、アップさせられるはずです

ミスを減らして得点源とする

1. 同音異義語・同訓異字

読み方が同じで、漢字が異なる同音異義語や同訓異字は、入試では頻出の問題です。多くの中学校で出題される代表的な問題は、確実に正解できるように練習しましょう。
例)
好意: 厚意 収集: 収拾 謝る:誤る など

こんなミスに注意!
「事態を[しゅうしゅう]した」のような形式で出題されると、どちらの漢字を答えればよいのか、子どもは頭を悩ませます。問題練習を通じて、漢字の意味を理解することも肝心です。

2. 対義語・類義語

入試では、文章読解の中の小問として、出題されることもあります。「具体」と「抽象」、「原因」と「結果」などの対義語はしっかり理解すれば、読解力アップにもつながります。
例)
【対義語】具体と抽象 原因と結果
【類義語】立身と出世 消息と音信 など

こんなミスに注意!
対義語や類義語の問題でも、書き間違いをする子どもがいます。「原因」の「因」を「困」と書いたり、「複雑」の「複」の部首を「しめすへん」にしてしまうミスが目立つため、注意させましょう。

3. 四字熟語

四字熟語の問題では、穴埋めや書き取り問題のほかに、意味を問う問題も出されます。「絶体絶命=ピンチ」「自画自賛=自慢」といったシンプルな覚え方で十分なので、四字熟語の意味も理解させましょう。
例)
絶体絶命、自画自賛、付和雷同、など

こんなミスに注意!
四字熟語の問題でも、漢字の書き間違いが目立ちます。「付和雷同」を「不和雷同」、「自画自賛」を「自我自賛」と書いたりしないように、日頃の学習から心がけましょう。

4. ことわざ・慣用句

ことわざや慣用句を得意とする子どもは多いため、練習を疎かにすると、得点に差が出る恐れがあります。同じ意味、または反対の意味のことわざをセットにして、効率的に学習しましょう。
例)
【同じ意味】猿も木から落ちる と 弘法にも筆の誤り
【反対の意味】急がば回れ と 善は急げ

こんなミスに注意!
ことわざの問題では、「ことわざの空欄部分には、動物の名前が入ります。その動物をひらがなで答えなさい」など、ひとひねり加えて、出題されるケースもあります。そのため、問題の条件をしっかり読む姿勢が欠かせません。

5. 敬語

敬語の問題では、「『言う』の尊敬語と謙譲語を答えなさい」という問題と、「文中の表現は、尊敬語、謙譲語、丁寧語のどれでしょうか」という問題の両方に対応できるようにすること。
例)
「言う」 尊敬語:おっしゃる 謙譲語:申し上げる

こんなミスに注意!
敬語の問題は、子どもにとって身近な表現の仕方ではないため、学習を疎かにしがち。ただし、第一志望だけでなく、併願校の入試のことも考えて、対策を怠らないようにしましょう。

論説文と物語の基本をチェック!

論説文・説明文の読解ポイント

1. 本文を読んでいく上で、「しかし」「だから」「なぜなら」のような接続語をチェックすることが大切。これにより、文章の展開が把握できます。また、「具体」と「抽象」のような対義語が文中にある場合も要チェック。設問に関わってくるケースが多々あります。

2.「この考え方は……」「あの意見は……」のように、文中に出てくる指示語が指す内容が何なのか、意識して読み進めましょう。右の図のように、設問の傍線部から指示語が外れると、意識が向かなくなる子どもが多いので、気をつけさせましょう。


3. 筆者の考え方、またはその根拠を述べている部分は、論説文や説明文の読解において、最も重要なポイントです。比喩や具体例を交えながら、繰り返し述べられることが多いので、見落とさないようにしましょう。

物語・小説の読解ポイント

1. 小説や物語を読み解くためには、「主人公は誰なのか」「どんな話なのか」を意識することが肝心。物語の読解が苦手な子どもは、物語の場面を頭の中でイメージしたり、登場人物の行動や特徴を書き出すなどの工夫をしてみましょう。

2. 小説や物語では、登場人物の感情について問われる問題が中心です。そのため、登場人物の感情を表す言動や風景描写を見落とさないように注意させましょう。

3. 登場人物の感情の変化については、必ず原因となる出来事が文中に書かれています。また、その感情が行動に表れることもあります。「原因」→「感情」→「行動」の流れを把握できれば、記述式問題に強くなるはずです。

解けた場合は…
設問の条件を見直そう 説明文や論説文の読解がスムーズにできるようになったら、設問の条件を見直す習慣を徹底させましょう。それにより、抜き出し問題で写し間違えをする、字数制限を守らない、などのケアレスミスを減らせるはずです。

解けなかった場合は…
物語の展開を図にする
「速さ」の問題で、グラフが出された場合、下のような線分図を書いてみるのがオススメです。問題内容を考えるときの視点が変わり、正解に近づくはずです。

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