「大切なものは、目に見えない」皆さんもご存じの通り、これはサン・テグジュペリの『星の王子さま』に出てくる有名な言葉です。今回はこの言葉を思い起こさせるような本を紹介したいと思います。目に見えない、もしくは自分にないもの、もしくは失われてしまったからこそもたらされるものの、秘められた力について考えてみたいのです。

       

まず、低学年におすすめなのは『じめんのうえとじめんのした』です。とてもシンプルな構成で、読み飛ばせば数分で終わるかも。しかし、あえてゆっくりとページをめくることで、この本の狙いが立ち現れてきます。『どん なかんじかなあ』は低学年に留まらず、高学年にもインパクトを与えるはず。さまざまな立場を、疑似的にでも体験することで、心の世界がはるかに広がり、深まることを教えてくれます。。『天使たちのカレンダー』は、小学校の特別支援学級に貸し出された、てっぺいくんという人形の視線から描かれた本。いろいろな人間の有り様、そのすばらしさを素直に感じさせてくれる一冊です。

       

高学年向けには、まず『アリスは友だちをつくらない』を。誰かを失うことで、不思議なことに新しい出会いが生まれます。今までとは違うものの見え方、感じ取り方に慣れることを通じて、傷んだ心の治し方を発見していくのです。『ミシェルのゆううつな一日』は、ツイていない一日を過ごしたミシェルですが、実はその背景には……。自分の不幸を別の視点から眺めること で、心にゆとりが生まれることを教えてくれます。『一年後のおくりもの』は、お父さんの誕生日に、お母さんを交通事故で亡くしたキャリーという女の子のお話。心を閉ざしたキャリーは、目と耳の不自由な友人サム、ホームレスのおじさんと触れ合うことで少しずつ心を開いていきます。ほかに、村に疎開してきた女の子と村の子どもたちを通じ、戦争の残酷さを大きな視点で描いた『あのこ』(BL出版)もおすすめ。

       

世の中にはさまざまな「無」と「有」があります。この春から、いろいろな道に進み始めた子どもたちにとって、これらの本がその背中をそっと押すようなエールになってくれたらと思います。

『じめんのうえとじめんのした』

アーマ E.ウェバー【著・絵】、藤枝澪子【訳】
68年刊/福音館書店/ 1,000円+税
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植物は地面の上と下で
どんな違いがあるのだろう

私たちが見る世界は、普段は地面の上ばかり。ところが地面の下を覗いてみると……。目に見えない地中の様子を絵と短い文章で適切に説明してくれる絵本。生態系や食物連鎖などにもつながる、 広がりのある内容です。ポイントはじっくり読むことです!

『どんなかんじかなあ』

中山千夏【著】、和田誠【絵】/
05年刊//自由国民社/ 1,500円+税
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目が見えない、耳が聞こえないってどんな感じ? 主人公の男の子に、世界はどのように映るのでしょう。

『天使たちのカレンダー』

宮川ひろ【著】、ましませ つこ【絵】

12年刊/童心社 / 1,500円+税
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小学校の特別支援学級にやってきた人形のてっぺいくん。さまざまな人間の有り様を温かく描いています。

『アリスは友だちをつくらない』

グニラ・リン・ペルソン【著】、松沢あさか【訳】、陣崎草子【絵】

08年刊/さ・え・ら書房/ 1,600円+税
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さまざまな家族の形と
子どもたちの心の成長

心を閉ざしたアリスと、どこか陰のある転校生のジコルカ。傷ついた鳥の世話をすることで、二人の心は次第に近づき、温かさを取り戻します。鳥が癒える頃には、それぞれが新たな出発点に立てるよう に。さまざまに多様化している家族の形を描いた一冊です。

『ミシェルのゆううつな一日』

マルティナ・ヴィルトナー【著】若松宣子【訳】
10年刊/岩波書店/ 1,000円+税
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ツイていないのは、私のせい? それとも……? 不幸を別の視点から見ると、心にゆとりが生まれます。

『一年後のおくりもの』

サラ・リーン【著】、片山若子【絵】、宮坂宏美【訳】
14年刊/あかね書房/1,500円+税
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一年前に母親を亡くし、誰とも口をきかなくなったキャリー。一年後、彼女が心開いたその先には……。

『世の中への扉 ピアノはともだち奇跡のピアニスト 辻井伸行の秘密』

こうやまのりお【著】
11年刊/講談社/ 1,200円+税
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見えない世界で人と
心通わす音楽の力

全盲で生まれた辻井伸行さんの生い立ちからヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝するまでを描いた作品。勇気をもらえます。

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