中学2年生で英検2級に合格、現在は準1級を持つ本橋将志君は、UWCという国際教育機関への海外留学試験を突破。2年間にわたりカナダで留学生活を送ることになりました。


集団生活での気づきを話して最難関の面接選考を突破

1 絵画の才能もある将志君。海陽学園の文化祭のパンフレットには、将志君の
描いた絵が採用された。
2 本橋3兄弟の凛々しい胴着姿。将志君は、次男・貴志君の影響で剣道を始
めた。現在、初段の腕前。
3 洋書もよく読むという将志君。アメリカの作家、ジョン・グリシャムの作品を読
んでいる。

この9月から、カナダで留学生活を始めた16歳の高校生がいます。2年生になった今年の春に、海外留学プログラムを実施するUWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)の選抜試験に合格した本橋将志君です。

UWCは、世界各国から選び抜かれた高校生を受け入れ教育を通じてグローバルな人材を育てることを目的とする国際的な民間教育機関。ここでの教育は世界中の数多くの大学で入学資格として認められている「国際バカロレア」のカリキュラムにのっとって行われています。生徒は2年間にわたって独自の教育課程を履修し修了することで、京都・筑波・上智など、国内の難関大学や諸外国にある有名大学の入学資格を手にできるのです。

それだけにUWC選抜試験の倍率はおよそ10倍と狭き門。灘、神戸女学院、筑波大学附属駒場といった進学校出身者が合格者の多くを占めます。選抜は筆記による英国数の学科試験、面接試験の2段階。面接では英語と日本語の2種類の面接に加えて、グループディスカッションも行われます。「英語の面接は、英語力を試すための質問。日本語の面接はどういう人間であるか確かめるためのもの。僕は中学生のときから寮生活を経験しています。それで、集団生活で感じたリーダーシップやチームワークの大切さを話しました」と、将志君は面接に臨んだときの様子を語ってくれました。

将志君が通う海陽学園は愛知県にある中高一貫教育の私立校です。全寮制の学校で「ハウス」と名付けられた寮で生活しながら、切磋琢磨できる環境がその最大の特徴。単なる寄宿舎や学生寮と違うのは、「ハウスマスター」と呼ばれるベテラン教員と「フロアマスター」と呼ばれる大手企業から派遣された若手社員が常駐している点です。彼らが生徒と密に接して生活全般のサポートや進路指導などにあたります。ハウスマスターが、自らの留学先で経験した英語によるディベートを提案し、「安楽死」や「喫煙」などのテーマについて、集まった生徒たちが真剣に意見を述べ合うこともあり、将志君はとても刺激を受けたと言います。「自分の将来について1対1で話し合う時間も設けられています。『自分の強みって何だろう?』『本当にやりたいことは何だろう?』と自分自身に問いかけたとき、中3の夏に学校でイギリスへ行って経験したサマースクールの思い出がふと思い浮かびました。あらゆる国の生徒と交流することができ、思ってた以上に楽しい日々でした。UWCのことを教えてもらってからは、だんだん留学を考えるようになりました」

自らの意志で積極的に行動する姿勢が身についた

仙台の実家から将志君を送り出したお母さんの智子さん。海外留学に対する思いを聞かされて、離れて暮らす息子の成長を感じたそうです。「一緒に暮らしている頃はまだ小学生でしたから、自らの意志を主張することもあまりなく、親が導く方へ歩みを進めている、といった感じでした。中学生になったら、自立してまわりを見回し、広く学びながら進む道を見つけていく人間になってほしいと願っていたので、本人の気持ちを尊重することにしました」英語教育の必要性を感じたご両親が将志君をインターナショナルスクールへ編入させたのは、小学4年生のとき。その後、「英語力だけでなく、日本人としての素養も備えた幅広い人間性を育んでほしい」と思い始めたときに出会ったのが、次世代リーダーの育成を建学の精神に掲げた海陽学園でした。将志君は学園創設の年に入学した第一期生にあたります。 「寮生活をともにするさまざまな友人たちから受ける影響によって、僕自身の考え方は大きく変わった気がします。たとえば、やりたいことがあれば積極的に提案し、率先してまわりに働きかける行動力を学びました」

ハウスでは生徒たちの自律的な活動も多く行われており、将志君はフロア長を経験しました。

1 とても賑やかな本橋一家が、リビングに集合。将志君が久しぶりに実家に帰って来たということで、三男・大志君は「まさちゃんと一緒に、自転車に乗って遊ぶんだ!」と、とても嬉しそうだった。
2 海陽学園のポスターには、将志君の姿も。ハウスマスターを囲んで、寮生たちが語り合っている。寮生活を通して、さまざまな人と出会ったことが、将志君を大きく成長させた。
3 家族旅行で訪れた、ラスベガスの水族館にて。
4 剣道部に所属している将志君。蒲郡市民総合体育大会に出場した。
5 ハウス行事として訪れた富士山。富士登山実行委員長を務め、体力づくりのため、参加者全員で1か月間トレーニングに励んだ。

「休日には、チーム対抗の料理対決などの行事が頻繁に開催されるんです。企画を練って実行までの段取りを進め、当日の実行委員を務めるのがフロア長の役割。学校の授業だけでは知ることのできない、人と力を合わせて何かをする大変さやおもしろさに触れられてよかったと思います。カナダへ行っても、ボランティアなどの活動を仲間を募ってやってみたいです。世界各国から集まった生徒が、それぞれの文化を披露し合う学校行事があるとも聞いています。世界中の人たちを巻き込んでソーラン節を踊ったら、絶対におもしろいですよね!」

海陽学園の教育環境と理念が、将志君たちの社会性、人間性の形成に寄与していると言えるでしょう。

2年間の海外留学が決まった将志君は、同級生たちと机を並べることはもうありません。同級生たちは思い思いの祝福の言葉をくれたそうです。もちろん仙台に住む智子さんも、新たな旅立ちのときを迎えたわが子に熱いエールを送ります。「小さいうちから、『自由』と『好き勝手』は似ていても異なるものだと言い聞かせてきました。選択の自由の裏には必ず選び取った責任があり、その覚悟をするよう教えてきました。中途半端に投げ出すようなことはしないと信じていますが、困難に道を阻まれたとしてもあきらめずに乗り越えてほしいです。10代のうちは感受性が豊かで可能性をいくらでも広げられるはずですから、多様な価値観に触れて自分自身を磨くことを願っています。本人が落ち着いたら、家族でカナダへ遊びに行くつもりなので楽しみです」

海外留学へのチャレンジを誰よりも応援していたお父さんは、昨年がんで他界しました。大切な人を亡くしたとき、将志君はひとりでも多くの命を救えるように、がんの専門医を目指すことを考えたそうです。「自分では気づけない選択肢が見つかるかもしれないので、今は将来を決めつけてしまわず思いきって飛び込んでみることにしました。イギリスのサマースクールでは、スペイン人の生徒と仲よくなれたのに、彼の母国語がわからなくて『もっとわかりあえたらいいのに』と、悔しい思いをしたことがあります。だから、スペイン語は履修して話せるようになりたいです」

将志君は新天地となるキャンパスで、見聞きするもの一つひとつに新鮮な感動を覚えるに違いありません。2年後、貴重な経験を栄養にしてひとまわりもふたまわりも成長した姿が、きっとそこにあることでしょう。

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