クイズ感覚で親も中学入試問題に挑戦!
「わかるオモシロさ」「解ける喜び」を再発見してください。 

次の文章を読んで後の問いに答えなさい。

制限時間 15分 難易度★★★★★
麻布中学校(平成23年度 一部改)

地図中の計画は、実現したものと、実現 していないものがあります。現在の地図と比べてみましょう。

日常生活の中の“当たり前”に疑問を持ち、掘り下げて考えよう

カチ恵 

問1は何とか書きましたけれども、問2はどう答えていいのか……。

先生

確かに、ハイレベルな問題ですよね。でも、社会科の本質を突いた良問でもあります。では、問1の 答えをうかがいましょう。

カチ恵 

「首都高速湾岸道路を新たにつくることで、既存の高速道路の渋滞を緩和しようとした」としました 。

先生

それなら、丸をもらえますね。

カチ恵 

あら、良かった。実際にどんな事情があったかはよく知りませんでしたが、問題文に「問題を解決しようとしていた」とありましたし、瀬戸大橋などができた頃なので、渋滞の問題があったのかなと思 いました。

先生

そうですね。問題文に瀬戸大橋や青函トンネルの話が書いてあるのは、そうした時代背景を意識してもらいたいからでしょう。

カチ恵 

この地図の中には、実現しているものもあるんですわよね?

先生

ほとんどが実現していませんが、カチ恵さんが選んだ首都高速湾岸路(首都高速湾岸線)は一部、実現していますよね。あとは、東京湾横断道路。アクアラインのことです。

カチ恵 

そうでしたか。そんなことも知らずに恥ずかしい限りですわ。ところで、高速道路以外のものを選んだ場合の答えはどのようになりますか?

先生

それぞれ、実現した場合のメリットを考えましょう。たとえば、運河であれば船で大きな重いものを運ぶことができます。船は二酸化炭素の排出量が少ないので、環境問題を解決しようとした、という 答えも考えられます。

カチ恵 

確かに、そうですわね。

先生

地球サミットが開かれる前で、環境問題をどうにかしなければという声が上がり始めた時期ですから。

カチ恵 

当時の社会状況などを踏まえて考えるということですね。問2は自分の意見を書かないといけないので、さらに難しいですわ。恥ずかしいですが、まったく書けませんでしたわ。

先生

それぞれ、計画が実現した場合のプラス面・マイナス面を考えてみてください。

カチ恵 

答えは何通りもあるわけですよね。

先生

授業でこの問題を解かせたとき、実にさまざまな意見が出ました。たとえば、「新港ができれば貿易が活発になり、輸出入の拡大につながる」とか、「新島ができれば住宅地が増えて東京の土地の値段が下がる」、あるいは「運河に水を流すことで都市洪水の対策となる」というような防災の観点からの意 見もありました。

カチ恵 

「実現しない方がいい」というものについては、どうでしたか? 

先生

「埋め立てて新島をつくるのは環境破壊につながる」といった環境についての指摘がありましたね。あとは、コスト面に言及する子もいました。

カチ恵 

まあ、そんなことも。

先生

どの計画にも言えますが、実現するには財源の確保が難しいということです。これはバブルの時代ならではの構想なので、今の時代ではなかなか難しいでしょう。

カチ恵 

当時と、今の時代の違いなども考えないといけませんのね。

先生

そうですね。過去の時代のことを踏まえ(歴史)、現在の状況を理解した上で(地理)、これからの世の中のあり方について考える(公民)。地理・歴史・公民すべての要素が盛り込まれた、社会科ら しい問題と言えます。

カチ恵 

うちの子にできるかしら……。

先生

子どもたちは、運河や道路などの役割、それぞれのプラス面・マイナス面などは学びます。あとは、そうした知識をもとに、自分で考えて書けるようになることです。

カチ恵 

どうしたら、こういう難問にも対応できるようになるでしょうか?

先生

世の中の動きに関心を持つことです。社会では、身の周りのすべてのことが教材になり得るんです。日頃から、今起こっている出来事について家族で話し合ってもらいたいですね。

問1 1988年当時の社会の状況を踏まえて、考えましょう。
問2 環境面、コスト面、防災面など、さまざまな視点から、それぞれのメリットとデメリットを考えましょう。
解答解説
A. 問1:(例)首都高速湾岸道路の建設を中心とした、東京湾岸全体の交通網を整えることで、交通渋滞を緩和するとともに、物流を確保しようとした。
  問2:(例)新島を造成しない方がいい。自然との共生を重視している現在、東京湾の環境を破壊することは避けるべきだから。

社会は、「暗記しなければいけない」と苦痛に感じてしまう子もいますが、知識をもとに考える楽しさを味わってほしいと思います。

永野 太朗先生
四谷大塚高田馬場校舎校舎長。自宅では小4の娘に教えるため、算数と格闘中。

先生いわく、この問題は「未来の日本をどうしたいのか考えさせる問題」だそう。社会を学ぶ意義に通じるものですわね。

真堅カチ恵さん
何ごともカッチリ、キッチリ進める教育お母さん。子どもは中2と小6兄弟。

取材・文/西田知子 写真/アーク・フォトワークス(清水亮一)、石井和広 イラスト/ 曽根愛

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