巡検と模型制作で育む観察眼と創意工夫の心

毎年8月に開催される鉄道模型コンテスト。2014年は約120校が出場する中、共立女子高等学校・地理歴史部が、参加した部門で見事優秀賞(第2位)の栄誉に輝きました。

このコンテストは、男子校の鉄道研究部などが、鉄道中心の作品を出品するケースがほとんど。それに対して当校の地理歴史部は、あえて自然の景観を主役に据え、日本の原風景である棚田をテーマに、コンテストに挑んだのです。斬新な観点と作品自体の完成度が高く評価されての受賞となりました。

もともと地理歴史部は、同校の史学部と人文地理部が合わさってできたもの。それだけに模型制作に際しては、作品にしたい風景を実際に何度も野外調査し、構想段階から9か月もかけて制作に取り組みました。この野外調査のことを部員たちは「巡検」と呼び、部活動の要と捉えています。

部長の土田真緒さんは、巡検の魅力をこう語ります。「風景を記録して歩くだけでなく、お寺で座禅や写経を体験するなど、地域の文化に触れられるのも楽しいです」

部員の松崎友紀さんは、巡検によって変化した自分自身に驚いています。「地理は暗記中心の科目だと思っていたので、そんなに興味がありませんでした。けれど巡検で、それぞれの地形には理由があり、それが人々の生活にも関わっていることを知り、不思議と地図を見るのが好きになりました」

作品は、山梨県南アルプス市の棚田がモデル。その風景が醸し出す情緒的な雰囲気をできるかぎり再現するために、コンテストが迫る中、部員たちは試行錯誤を続けたと言います。

「棚田を何度つくっても本物と違う。写真と見比べるうちに、谷筋と尾根筋では棚田の幅を変えてつくると自然に見えることを発見しました。先生がヒントをくれましたが、謎が解けたときはうれしかったです」と振り返るのは、前部長の髙橋萌さんです。

部員の自主性を尊重する顧問の池末和幸先生は、部活動における二つの大事な目的を挙げてくれました。

「ものづくりによって創意工夫を凝らす姿勢が一つ。そして、地形から木々の枝葉まで、野外観察によって自然との共生について、理解を深めてもらいたいです」

模型で田植え直後の水田を表現するのは高度な技術。透明な樹脂を水に、浴室掃除用ブラシの毛を苗の代わりにして、本物らしさを追求。数日がかりで分担して「田植え」したそう。

模型用の各種素材、さまざまな塗料と工具を作品によって使い分ける。自然に見える枝葉の生え方にこだわり、既製品のミニチュア樹木に手を加えてひと工夫することも。

次回コンテストでの最優秀賞受賞が当面の目標。「先輩ががんばったのでプレッシャーですが、地理歴史部にしかできない作品づくりを目指します。」

取材・文/堀雅俊 写真/東京フォト工芸(桑原克典)

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