右:『高山なおみのはなべろ読書記』高山なおみ【著】/ 14年11月刊/メディアファクトリー/ 1,500円+税Amazonで購入
左:『生き延びるための世界文学 21世紀の24冊』都甲幸治【著】/ 14年10月刊/新潮社/ 2,000円+税Amazonで購入

読書が好きなお父さん、お母さん。「本なんて読んで何の役に立つの?」と子どもに訊かれて困ったことはありませんか。都甲幸治さんの『生き延びるための世界文学』は、どうして人は本を必要とするのか、一つの答えを提示してくれるブックガイドです。翻訳家でもある都甲さんが、2000年以降に発表された英語圏の小説を、作者のインタビューを参照しながら丁寧に読み解いていきます。

英語圏だけといっても、ドミニカ共和国出身のジュノ・ディアス、ネイティヴ・アメリカンの血を引くシャーマン・アレクシー、訪米中に故郷のサラエボが内戦に巻き込まれ帰国できなくなったアレクサンダル・へモンなど、背景になっている歴史や文化はさまざまです。1983年生まれのタオ・リンから1925年生まれのジェイムズ・ソルターまで、作家の年齢順に紹介していく構成もユニークです。「自分と同年代の作家は何を書いているのだろう?」という興味をかきたてられます。そして住んでいる場所や使っている言語が違っていても、みんな抱えている問題は同じということに気づくでしょう。どこにいても将来は見えないし、暴力や抑圧もあって、居場所を探すのは難しい。孤独に押しつぶされそうになったとき、小説は助けになります。都甲さんが言うように〈言葉には、人の心を鎮める力がある〉から。登場人物の中に自分にもある感情を発見したとき、言いたかったことを代弁してもらったような感じがして、少しだけ気持ちが安らぐのです。

本は、静かなのに深いところでつながることができる友だち。視覚以外の感覚も使えば、もっと仲良くなれるかもしれません。『高山なおみのはなべろ読書記』は、料理家の高山なおみさんの本にまつわる文章とレシピを収めた一冊。高野文子『棒がいっぽん』に出てくる下町のドンペリ、湯本香樹実『わたしのおじさん』の主人公のお母さんになったつもりでつくったかぼちゃ入りカレーライス、『犬が星見た』で武田百合子が食べたかもしれないウズベク風雑炊。どの本も読みたくなるし、どの料理もつくってみたくなります。高山さんの好きな本は生活に自然と溶け込んでいて、読み方にもてらいのないところが素敵です。読書は大切な記憶を蘇らせ、暮らしを豊かにしてくれるのだなあと思います。




『安全な妄想』
長嶋有【著】/
14年11月刊/ 河出書房新社/ 680円+税
Amazonで購入

出版社のお歳暮に入っているまずいお茶。勇気を出してもう送らないでほしいと頼むが……。ありがた迷惑な贈り物との戦い、ジャパネットたかたの通販番組をめぐる考察など、日常を見る目が新鮮なエッセイ集。





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