マーケティングと言うと、消費者の年齢や性別などを調査・分析し、広告戦略や販売戦略を考える学問というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、恩藏直人先生は「それはマーケティングの一部に過ぎない」と語ります。

「マーケティングとは、モノやサービスを売るための仕組みをつくることを指します。消費者調査や広告戦略のほかにも、商品の開発、価格の設定、商品の流通、販売する場所や時期などをマ考えることも重要であり、そのすべてが研究対象になります」 売れ筋商品や効果的な販売戦略が時代とともに変わるように、マーケティングの研究対象も変わるもの。恩藏先生の研究テーマも、時代とともに変化しています。「ブランド戦略や市場参入のための戦略など、いくつかの分野を研究対象としてきました。最近では、店舗内に広がる香りについて研究したこともあります」

幅広い研究成果をもとに、企業に提案やアドバイスをすることも。「たとえば、コピー機を販売する営業について、"このコピー機を導入すれば業務が効率化され、これだけの利益が上がる"といった具合にデータやロジックを駆使した方法を提案しました。今では多くの業界で一般的な営業スタイルとなっていますが、当時は前例が少なく、斬新な方法として受け入れられました」

恩藏ゼミでは、学生たちも幅広い研究テーマに取り組んでいます。「たとえば、食料消費の県民性について研究した学生がいます。彼は"鶏肉の消費量は○○県が多く、牛肉は○○県がトップ"といった具合に食品ごとに分析し、所得などの特性との関係を探りました。この研究内容を食品スーパーや外食産業の企業に提案すれば、大いに役立つことでしょう」

ほかにも、地域のブランド化をテーマにした学生がいます。「彼は、人口減少に悩む地方の町を多くの人に住んでみたいと思わせるためにはどうすれば良いかを考え、調査・研究に取り組みました。また、『外見と評価』という研究テーマを掲げ、"美人は得"ということをデータで実証した学生もいます」

マーケティングの基本的理論を学習。そして、3・4年からは学んだ理論が実際の企業でどのように導入されているのか、実例をもとに理解を深めていきます。

「企業との接点が多いことは、私のゼミの大きな特徴です。ある企業からは商品を販売するためのプラン作成を頼まれ、学生たちはグループをつくって話し合い、企業の担当者にプレゼンテーションしました」

最近では、恩藏ゼミの活動内容を聞きつけた多くの企業から依頼を受けています。「去年は、製薬メーカーの大正製薬や、製菓メーカーのロッテとワークショップを行いました。大正製薬からは『同社の主力製品である"リポビタンD"を若者層にどう売ればいいか』という依頼を受け、学生たちは3か月ほどかけてアイデアをまとめました」

ロッテの案件では、のど飴やチョコレートなどの商品ごとにグループを組み、販売戦略を考えたそうです。「のど飴を担当したグループは、カラオケ店で販売することを提案。ロッテの社員の方からは、"カラオケでのど飴を食べていたら、注文した食事と味が混ざってしまい、どちらも楽しめなくなるのでは?"という指摘がありました。それに対して学生たちは、"私たち大学生はお金がないので、カラオケで食べ物を注文することはほとんどありません"と説明。これが高評価を受けました」

大学生が社会人と意見をぶつけ合うことはハードですが、恩藏先生は「この体験を通して得るものは大きい」と語ります。「マーケティングの理論を学ぶだけでは不十分であり、ビジネスの現場でそれらを生かしていく力を身につけていってほしいと思います」



早稲田大学 商学部
恩藏直人ゼミ
恩藏 直人教授
恩藏 直人 教授

早稲田大学商学部卒業。2008年から2012年まで商学部の学部長を務める。日本消費者行動研究学会会長、商品開発・管理学会会長などを歴任。

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