左:『私の本棚』新潮社【編】/ 13年8月刊/新潮社/ 1,365円 Amazonで購入
右:『石原慎太郎を読んでみた』栗原裕一郎、豊﨑由美【著】/ 13年8月刊/原書房/ 1,890円 Amazonで購入

読書の秋。普段は読まない本に挑戦してみませんか? たとえば『石原慎太郎を読んでみた』。評論家の栗原裕一郎と書評家の豊﨑由美が石原作品を対談形式で丁寧に読み解く。子どもに「石原さんってどういう人?」と聞かれたときにも役立つ一冊です。

日本の大人で石原慎太郎を知らない人はあまりいないでしょう。毀き誉よ褒ほう貶へんの激しい政治家であり、昭和の大スター石原裕次郎の兄であり、『太陽の季節』で一世を風靡した芥川賞作家。八十代になった今も意い気き軒けん昂こうな発言でメディアを賑わせていますが、小説は絶版が多く、新作を発表しても話題になりません。戦後日本の象徴とも言える重要な文学者なのに、なぜか語る人がほとんどいない。栗原さんも思い入れはなかったそうです。豊﨑さんはむしろ〈嫌いな作家〉と公言。

ところが、デビュー作から現在に至るまでの代表作を追っていくうちに、二人は作家としての慎太郎の知られざる魅力を次々と発見してしまうのです。人間の行為や肉体を描くと光る文章、時折あらわれるナイーヴな感性、慎太郎のような地位にある人物しか知りえない事実を語っているノンフィクション・ノベル。『太陽の季節』の障子破りシーンのイメージしかなかった人は驚くことでしょう。

自分の思い込みを覆し、視野を広げてくれるから読書は楽しい。たまっていく本の収納に悩むこともひとつの楽しみなのかもと思わせてくれるのが、新潮社編の『私の本棚』。著名人の本棚にまつわるエッセイをまとめたものです。家の経済的事情で大学に進学できず書店員になった頃の切ない思い出を綴る赤川次郎、本の置き場所をいかに確保してきたか格闘の歴史を嬉々として語る児玉清、雑多なジャンルの本をバラバラに並べる「超不整理法」が若さの秘訣という小泉武夫……。読書を生業にする人々の本棚に対する想いが軽妙な文章で書かれています。

中でも印象的だったのが都築響一の「本棚が、いらなくなる日」です。かつては立派な書斎に憧れたが、最近は蔵書に埋もれて一生暮らしたいという気持ちがすっかり失せてしまったという都築さん。たった一冊の本しか持っていなかった稲垣足穂のエピソードを紹介します。豪華な図書館に住むより、一冊の本を繰り返し味わう生活の方が贅沢なのかもしれません。




『代表質問 16のインタビュー』
柴田元幸【著】
13年7月刊/朝日新聞出版/ 1,029円 Amazonで購入

リチャード・パワーズ、ケリー・リンク、村上春樹、古川日出男、内田樹など、国内外の文学者に小説について話を聞くインタビュー集。過去の発言をもとにした、ジョン・アーヴィングの架空のインタビューがユニーク!




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