私たち人間も、自然と関わりを持つ生物の一種。人間と自然との関わりに焦点を当てつつ、子どもたちの夏の思い出を知識の中で相対化できたらおもしろいのではないでしょうか。今回は、そんな人間と自然との関わりを含めた生態系をテーマに本を紹介します。

低学年におすすめしたいのが『いのちあふれる海へ 海洋学者シルビア アール』です。幼い頃から自然に親しみ、海洋学者になったシルビア・アールさんの姿を通して、ちっぽけな人間が持つ大きな力というものを感じ取ってもらえたらと思います。『追跡!なぞの深海生物』では深い海の底で生きる生物を図鑑的に紹介し、深海の世界に対する興味を引き出します。『海中記』は9月、10月と月ごとに魚や海の生物の写真を特集。口中で産卵する魚の連続写真など、ミクロな視点にこだわって海の中を見せてくれます。このほか『海』(加古里子著/福音館書店)は、海の深さごとに生態系や人間と海との関わりを描いているのでおすすめです。

高学年向けには『ガラパゴス』を挙げたいと思います。ガラパゴス諸島で繰り広げられる生態系の特別な進化。その理由や成り立ちを描くと同時に、淘汰されて滅んでいった生物についても言及しているので、よりイメージが広がると思います。『ブルーバック』は静かな入り江に母親と暮らす男の子が海洋学者になって、さまざまな人間の手による開発から海を守ろうとするお話。『生物の消えた島』では火山の大爆発ですべての生物が死に絶えたクラカタウ諸島で、どのような過程を経て植物や動物が再び住めるようになったのかを丹念に描いています。このほか、最後の秘境である海、海洋資源などの情報を通し、地球の営みのひとつとしての海と人との関係を描いた『小学館の図鑑 たんけん!NEO 海のひみつ』もおすすめしたいと思います。

新学期が始まり、気持ちを新たにする時期に入りました。夏休み中にがんばった子もそうでない子も、9月以降は、息切れに注意しましょう。ここでひと息つくのではなく、夏休みとは気持ちを切り替えて、学校と塾との両立など、生活リズムを整えていくことが大切です。そうした中で、いろいろな考え方の本に触れ、知識を深めたり、確かめたりしながら、上手に気分転換してこの時期を乗り切ってもらいたいと思います。

『いのちあふれる海へ
 海洋学者シルビア アール』

クレア A・ニヴォラ【著】、おびかゆうこ【訳】
13年刊/福音館書店/ 1,365円
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深海を自ら体感し
人に伝えるすばらしさ

小さな頃から自然に親しみ、成長してからは海洋学者になって900mの海底まで降りて深海の世界を体感し、それを多くの人に伝えたシルビア・アールさん。深海に降りること、自分で見たことを人に伝えること、両方のすばらしさが伝わってきます。

『追跡!なぞの深海生物』

藤原義弘、JAMSTEC、野見山ふみこ【著】
13年刊/あかね書房/ 1,575円
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暗い海の底にはどんな生物がいるの? 素朴な 興味を引き出し深海の世界へと誘います。

『海中記』

小林安雅、遠藤勁【著】
95年刊/福音館書店/ 3,465円
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海の魚や生物を月別に特集して紹介。ミクロな視 点にこだわって、海の中を見せてくれます。

『ガラパゴス』

ジェイソン・チン【著】、福岡伸一【訳】
13年刊/講談社/ 1,575円
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ガラパゴス諸島の進化と
自然淘汰に思いを馳せる

ガラパゴス諸島の生態系や生物の特別な進化の理由、成り立ちなどを丁寧に描いています。一方、淘汰されて滅びていった生物への視点もあるので、さらにイメージが膨らみます。知っているようであまりよく知らないガラパゴスのことがわかる一冊。

『ブルーバック』

ティム・ウィントン【著】、小竹由美子【訳】
07年刊/さえら書房/ 1,365円
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オーストラリアの自然を愛する作者があらゆる年齢層の読者に贈る、海の不思議と希望の物語。

『生物の消えた島』

田川日出夫【著】
87年刊/福音館書店/ 1,365円
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火山爆発によって全滅したクラカタウ諸島の生物が再生する過程を丁寧に描いています。

『まぼろしのノーベル賞
─山極勝三郎の生涯』

神田愛子【著】
12年刊/国土社/ 1,575円
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人工的にガンを発生させ
世界中から注目された男

第一次世界大戦中の1915年、世界で初 めて人工ガンを発生させることに成功 し、ノーベル賞最終選考にまで残った 研究者の生き様に迫る。

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