この号が出る頃には、心地よい初夏の風を感じる日が多くなっているかもしれませんね。風というのは、そよ風から強風までさまざまです。また、「風を読む」は時流を読むことを指しますし、「風向きが変わる」はツキが自分にまわってきたり、離れていったりするときなどに使います。このように多角的な意味を持つ"風"をテーマに、今回は本を紹介していきます。

まず、低学年向けには『ジルベルトとかぜ』。風に揺らぐ洗濯物を見て、ジルベルトはいろいろな想像を働かせ、見えない風が見えてくる。小学生にも新鮮な視点を改めて提供してくれる一冊です。『風の谷のナウシカ』は、映画だとまだ難しいかもしれませんが、絵本ならわかりやすく伝わると思うので、ぜひ触れてみて欲しいと思います。『かみひこうき』はタイトル通り、紙飛行機のつくり方や上手な飛ばし方を紹介している名著。お子さんと一緒に、風を読んで紙飛行機を遠くに飛ばす楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。単なる気分転換に終わらず、何かの発見につながるかもしれません。いろいろな紙でチャレンジしてみてください。古典的な童話ではありますが『風の又三郎』(宮沢賢治著/偕成社)も、又三郎という存在の不思議さと山の自然が織りなす豊かな世界観があり、ぜひ読んでもらいたい本のひとつですね。

高学年向けには、ヨットに乗って島でひと夏を過ごす家族を描いた『すばらしいとき』を。自然への愛情や家族の愛に満ちた視点を感じ取ってもらえるのではないでしょうか。父親の視点という設定も興味深い作品です。『風の島へようこそ』は、デンマークのサムス島で実際に使用されている風力発電のお話。日本でも電力の供給源は喫緊の課題ですが、世界にはこういう島があることを知ってもらえたらと思います。『ツバメ号とアマゾン号』は私自身、読んでとてもワクワクしたことを覚えているほど、古典的な名著です。海、船、風という非常にシンプルな人間と自然の関係を示しています。

この時期になると高学年の子どもたちは、問題集と向き合い、頭をこねくりまわしていろいろと考えることが多くなると思います。そうした合間に、ぜひ本から"風"を感じ取り、リフレッシュしてもらえたらと思います。(私立麻布中学・高校国語科教諭 中島克治先生談)

『ジルベルトとかぜ』

マリー・ホール・エッツ【著】、たなべいすず【訳】
75年刊/富山房/1,260円
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子どもならではの想像力で
目に見えない風を見る

風にゆらぐ洗濯物──。大人とはまったく違う目線からジルベルトは風を見て、感じます。風船や風車、シャボン玉を使って風と楽しく遊びます。本書をヒントに、子どもたちは目に見えない風に対する想像力をかき立てられるのではないでしょうか。

『風の谷のナウシカ』(上)(下)

宮崎駿【著】
88年刊/徳間書店/各1,680円(※写真は上巻)
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映画の絵本版ですが、とても読みやすくできています。親子そろってぜひ読んでもらいたいです。

『かみひこうき』

小林実【著】、林明子【絵】
76年刊/福音館書店/945円
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上手に紙飛行機を飛ばす秘訣がわかる本。遊びを通じて風の流れを感じることができます。

『すばらしいとき』

ロバート・マックロスキー【著】
わたなべしげお【訳】
78年刊/福音館書店/1,575円
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海、空、風――。
美しい島の自然に心満たされる物語

ヨットに乗って、周囲を海に囲まれた島でひと夏を過ごす家族の物語。娘を見る父親の愛に満ちた視点や風の音や雨のにおい、日光に照らされた海の美しさなど、読み進むうちにさまざまな事柄を素直に受け取れると思います。美しい水彩画も印象的です。

『風の島へようこそ』

アラン・ドラモンド【著】、まつむらゆりこ【訳】
12年刊/福音館書店/ 1,365円
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たくさんの風車が立ち並び、風力発電のみで島の電力をまかなうデンマーク・サムス島のお話。

『ツバメ号とアマゾン号』(上)(下)

アーサー・ランサム【著】、神宮輝夫【訳】
10年刊/岩波書店/各798円(※写真は上巻)
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風といえばやはり白いマストに青い海。海、船、風を感じながら飽きずに最後まで読める内容です。

『さざなみ軍記 ジョン万次郎漂流記』

井伏鱒二【著】
86年刊/新潮社/546円
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風のいたずらで数奇な運命をたどる
国際人・ジョン万次郎の生涯

土佐沖で遭難後、異人船に拾われアメリカへ渡った少年漁夫。幕末の日米交渉で活躍したジョン・万次郎の運命を描く歴史小説。

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