第36回
姿勢がよい人は集中力が高い

空間認知能が働くために重要なのは正しい姿勢

皆さんが子どもの頃、「姿勢をよくしなさい」と言われませんでしたか?

その教えを、わが子にも伝えているでしょうか。 なぜ、よい姿勢が大切なのか。姿や所作を美しくするという意味合いもありますが、実は脳科学的に考えても、大きなメリットがあるのです。

結論から言いましょう。常に姿勢がよい人は、集中力が高く、脳の力を最大限に発揮できるのです 脳には、「空間認知能」という知能があります。その名の通り、空間内の形や位置などを認識する知能です。空間認知能は、空間認知中枢というところで、その機能が担われていますが、そのほかにも、言語中空間認知能が働くために重要なのは正しい姿勢枢を始めとした、さまざまな脳の部位に空間認知能を持った細胞が存在していることがわかっています。

物事の認識、記憶、判断……。空間認知能は、脳全体の機能に関わる、大切な知能であると言えます。この空間認知能が正常に機能するために必要なのが、「よい姿勢」なのです。正しい姿勢を保ち、視線を水平にコントロールすることで、空間認知能がしっかり働き、物事を判断したり、理解したりする能力が高まります。

いつも同じ環境で勉強することで集中できる

空間認知能と関わる脳の力に、集中力があります。集中力が高ければ、勉強の成果が上がるのは言うまでもないでしょう。

集中力と関連して、「ゾーン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。野球のイチロー選手など、一流アスリートが「ゾーンに入っていた」などと、話すことがありますね。「ゾーン」に入ると、脳は一気に集中力を高め、自分の力以上の、最高のパフォーマンスが発揮できます。

ここで言うゾーンとは、自分が無意識に集中できる空間的な範囲のことです。具体的には、目を開けていても、閉じていても解る、物事を正しく判断する基盤となる「統一・一貫性」の本能が、無意識に働く範囲の事です。受験生ならば、勉強机に座って、目を閉じても解る範囲の中で、勉強に集中することです。

そのゾーンに入る為には、水平目線でバランスのよい姿勢になり、左右の空間認知中枢をフルに使える様にする事が大切です。空間認知能は、物事の変化を正しく捉えるために必要ですが、目に見えない考えや物事の推移を捉える為にも必要なので、「統一・一貫性」の本能と組み合わせて、脳を働かせると、判断力や正しい理解力が高まり、学習効果も抜群に上がります。

皆さんのお子さんは、どこで勉強をしているでしょうか?

リビング、自室、キッチンのテーブル……。家庭により、さまざまだと思いますが、そこに、子どもだけが使う小さな机やスペースを作って、「これがあなただけの秘密基地よ」と、一定環境で勉強させると、子どもはわくわくしながら勉強を始めます。

その為には、秘密基地はいつも一定にきちんと整理整頓させておく事が、同時に大切になります。

脳の本能を生かすことで勉強効率が上がる

逆に避けたほうがいいのが「毎回、違う場所で勉強をさせること」。

とある企業が、自分の机を決めずに、必要な場所の空いている席で仕事をするという「フリーデスクシステム」を導入しました。しかし導入後、成績ががた落ちしたため、私のところに相談にやって来たことがあります。だから、フリーデスクシステムをやめるようにアドバイスすると、すぐに成績が回復したそうです。

もうおわかりかと思いますが、仕事をする場所が毎回変わることが、「統一・一貫性」の本能に反していたので、集中できなかったのです。

もっとも、これはあくまで平常時の話です。スランプが来て、なかなか勉強に集中できないような時には、あえて場所を変えてもいいでしょう。それまでの「統一・一貫性」を外すことが、スランプ脱出につながるかもしれません。

よい姿勢で、いつも同じ場所で勉強すること。そんな簡単なことで?と思われるかもしれませんが、この方法は脳の力を引き出し、集中力も高めます。ぜひ実践してみてください。

林 成之
1939年富山県生まれ。日本大学医学部卒。マイアミ大学の脳神経外科などに留学し、93年に日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に。2006年に日本大学の教授へ就任。 脳低温療法など世界的な発見で知られる脳科学の第一人者。『困難に打ち克つ脳とこころの法則』(祥伝社)など著書多数。

取材・文/國天俊治 写真/石井和広 イラスト/岸潤一

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