メガシティの研究を通じ
地球環境の保全に貢献

現在地球上には、メガシティと言われる人口1000万人以上の都市が、20以上あります。村松伸先生は、よりよいメガシティの在り方を模索中です。「メガシティは、食糧やエネルギーの供給、建築、川や緑といった自然環境、昔ながらの町並みの保存など、さまざまな専門領域にわたる問題が、複雑に絡み合って存在しています。今後、アジアを中心とした開発途上国では、メガシティが増加すると考えられていますが、多くの人が集まるメガシティで、無計画な都市づくりを行えば、地球環境全体に大きな負荷をかけることになります。そこで、“開発と環境保全をどちらも踏まえた都市づくり”という私の研究が応用できればと考えました」

現在、人口2000万人を超えるジャカルタ(インドネシア)で、都市のさまざまなデータを収集しています。「人口分布や、住宅地や商業地の分布などは、人工衛星から撮影したデータや国税調査の結果などからわかりますが、数字だけで都市は語れません。その都市の歴史や文化まで理解することが重要です。たとえば、現地の人の食生活の移り変わりなども大事。魚をよく食べていた地域の人々が、経済的に豊かになり、鶏肉を食べるようになった場合、そこには、鶏の飼料の確保や鶏の流通、鶏インフルエンザへの対策などの課題が生まれてくるのです」

他分野の専門家と組み世界をまたにかけて学ぶ

都市を調査・分析するのは、具体的にどのように進められるのでしょうか。「街を歩いて写真を撮ったり、建物や道の距離などを測ったりして、それらをいったん、地図に落とし込んで分析します。そして、現在の都市の姿と過去の歴史との因果関係など、見えてきたことがあったら、過去の文献や資料にあたり、自説の論拠を探すのです。前にも述べたように、都市の問題は数え切れないほどあり、すぐに答えを得ることはできません。今は、その評価の手法を確立している段階です」

学生の研究も多岐にわたっています。「岩手県の大槌町という被災地について、過去の災害からの復旧の歴史を調査している学生がいます。渋谷のネコの生態に着目した学生もいました。ネコにGPS装置をつけて、ネコが集う場所や、通り道などを調査し、そこから渋谷の都市像を探っていましたね。ジャカルタにおける、伝統的な空間と、経済的な開発空間の共生を研究テーマとしている学生は、インドネシアに1か月近く滞在することもあります」

世界に広がったネットワークの中で学べる点も大きな特長だといいます。「ジャカルタのほか、インド、韓国、タイ、トルコ、中国、ベトナムの人々とも提携して、研究を行っています。異分野融合の学問である点も魅力です。“災害と建築史”というテーマで講座を開催した際は、歴史家のほか映画監督や写真家も招きました。学生には、さまざまな分野の専門家と一緒に学び、自分を向上させていってほしいです」

総合地球環境学研究所
東京大学生産技術研究所(兼務)
建築史家
村松伸教授
村松伸教授

東京大学建築学科卒業、清華大学(北京)などを経て、現職。
著書に『上海 ─ 都市と建築』(パルコ出版)など。
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