骨に残る過去の痕跡から新たな真実を導き出す

人とはどのような生物種なのか?、なぜこれだけ地球上に広がったのか?

私たち人類の進化と適応を「生物」という視点から考える自然人類学。米田穣先生の研究室では、この「自然人類学」に取り組み、遺骨などを化学分析することで、過去の人々の生活を探る研究を行っています。

「遺跡などから出土する太古の骨には、さまざまな情報が残っています。現代の化学的手法を使って、その情報を解析し、人類の進化を推理するのが、私たちの主な研究内容です。たとえば、人類の脳は、基礎代謝の4分の1を消費する燃費の悪い器官。その活動を維持するには、栄養価の高い食べ物を食べなければいけません。骨に残された同素体などの〝痕跡.から、栄養価の高い食物を食べ始めた時期がわかれば、進化の一端が類推できます。過去の無限の可能性の中から、自分が選びとった事実で仮説を考えるのは、推理小説のようなおもしろさがあります」

遺跡調査と言えば、考古学の分野。米田先生自身も、フィールドワークとして、シリア共和国のデデリエ洞窟などの遺跡発掘現場に、考古学者と同行して骨を入手しています。

「日本は考古学が盛んですが、本州は土壌が酸性であるため、2万年以上前の骨はまず出土しません。しかし沖縄は土壌がアルカリ性であるため、まれに太古の骨が出土します。沖縄は今、骨の研究をする者にとって、ホットな地域と言えますね」

研究の現場で磨かれる豊かなイマジネーション

米田研究室に所属している学生は、「人とは何かを自然人類学的に考える」というテーマのもと、それぞれが独自の研究を行っています。

「たとえば、昔の人の髪の毛のタンパク質を研究している学生がいます。髪の毛は1か月に約1センチ伸びますが、これはつまり、1センチ先の髪の毛は1か月前に食べたものでできているということです。タンパク質を調べると、食べたものの情報がわかりますから、長いスパンで調べられれば、1年間の過去の食生活を類推できるというわけです。ほかにも、馬の歯の化石に残った歯石から、人類の〝移動.を考察するなど、みんな自分のスタイルで研究しています。その自由さが、大学院の学びの魅力でもありますね」

大学院では、授業よりも先生との一対一のディスカッションがメイン。学生の仮説に対し、その解釈やロジックが、妥当かどうかを先生が判断し、指摘や確認を行います。

「研究者は、新しい研究をどのように発想するかが勝負。研究の現場では〝問題を見つける創造力.が日々磨かれます。これは企業で、新たな企画を立ち上げることと同じなので、私の研究室での経験は、どのような道でも役に立つと思っています。これからの日本に必要なのは、創造する力。海外でも勝負できるような人材が、育ってくれるとうれしい限りですね」

東京大学大学院 新領域創成科学
研究科 先端生命科学専攻
人類進化システム分野
米田穣准教授

1992年東京大学理学部生物学科卒業。
2002年1月東京大学博士取得。
国立環境研究所、英国オックスフォード大学などを経て、
2006年4月より現職。
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