和田
秀樹先生
1960年大阪府生まれ。灘中・灘高の中高一貫校を経て、東京大学医学部を卒業。現在は受験アドバイザー、精神科医、大学教授のほかに、さまざまな分野の評論活動までを精力的にこなしている。著書は『学力崩壊』『新受験技法・東大合格の極意』『小3までに勉強癖をつける法』など多数。
わが国は、ゆとり教育によって学習時間が大幅に削られていった結果、先進国の中でも授業時間の最も少ない国のひとつとなってしまいました。
小学生の学力は、首都圏や大都市圏であれば、中学受験を経験する子どもはこれまで以上に高い学力を維持できますが、逆に地方において私立中学が少ない地域では、学習時間やカリキュラムの削減により学力低下が深刻なものになっています。
私が、地方の学校の指導や講演会に行くたびに感じることは、地方と首都圏や大都市の学力格差がとても大きくなっているということです。
基礎学力をつけなければいけない小学生の時期に、きちんとした学習カリキュラムを与えられておらず、学習時間も少ないために、中学受験を経験する東京を中心とした首都圏や大都市の子どもに比べ、かなり秀才の子でも、東京の子には太刀打ちができない状況が続いています。
小学校の教育レベルがゆとり教育で地盤沈下してしまうと、当然その地域も地盤沈下していきます。
これは、地方の人材難の原因のひとつにもなっています。中学受験のない地方から東京大学に進学する人はごく少数です。本来持っている学力を出しきれず一流大学に行けない子どもが増えているのです。
一流大学に行く子どもの数が少ないゆえに人材難になっている一例が、地方に医者が不足しているという問題です。教育熱心でない県では、地元の大学の医学部にその地元の子どもたちがなかなか入学することができず、東京や大阪など大都市出身者が合格者の大部分を占めてしまう。地元の医療レベルを維持するための医学部に地元の子どもが入らないから、卒業して医者になっても大都市に戻ってしまう。それが地方の医者不足の原因のひとつなのです。このような学力格差を埋めなければ、地方分権もままならないでしょう。
これからの時代は、競争社会化、国際社会化がますます激しくなっていくとみられています。外国の同年代の人たちに比べて高い学力を維持していないと社会に取り残されてしまいます。
そういった中で、首都圏における中学受験指導の名門塾として、50年以上の実績を誇ってきた「四谷大塚」の教育システムを、そのまま地方にいながら享受できる『四谷大塚NET』の誕生は、学力格差の解消だけでなく、その地域の財産となる地元の子どもの学力向上、さらにはリーダー教育にとっても大変期待されることです。全国の教育関係者ならびに、子どもを持つ親御さんに向けて、私も是非応援したいと思います。