2月号 特集

子どものがんばる姿を目にしても、塾の先生から励ましてもらっても受験生のお母さんの不安はつきません。そこで、すでに中学受験を経験した「先輩お母さん」3名に、直前期の乗り切り方について話を聞きました。

12月のテスト結果は「どん底」状態

――12月になると、いよいよ入試本番を意識するようになりますが、みなさんはこの時期にどのような不安や心配事がありましたか?

北倉:昨年受験をした次女は5年生から受験勉強を始めて、ずっと順調に来ていたんです。ところが、小6の2学期から少しずつ模試の成績が落ち始めてしまって。娘自身は決して怠けていたわけではないのに、12月に行われた最後の模試の結果は過去最低で、親子ともにどん底の気分でした。正直「ダメかも」と思いましたね。

安藤:ウチの息子も12月のテストでは、得意の算数で偏差値を大きく下げました。私はそれまで息子に対してネガティブなことは言わないようにしてきたのですが、この時ばかりはつい「この段階で言いにくいんだけど、(第一志望の)駒場東邦中学校は、ちょっと無理ないんじゃないかな……」と言ってしまいました。私のほうが相当焦っていたんですね。ところが、息子はあまり落ち込んでいる様子もなく「大丈夫、受ける!」と言い切りました。その言葉を受けて私も「過ぎたことは忘れて、前向きにならなきゃ」と考え直しました。

北倉:私も安藤さんと似たような気持ちでした。12月は受験生みんなががんばっているから、右肩上がりに成績が上がることを子どもに期待するのは酷だと思います。娘と私も「点数のアップダウンはある程度仕方がない」と割り切って、成績の悪かった算数の基礎からやり直すことにしました。ただ、毎週の塾のテスト勉強や志望校の過去問題の練習など、やるべきことがたくさんありすぎて、冬休みが終わるまではなかなか要領よく進められませんでした。

――その状況をどうやって乗り越えたのですか?

北倉:私には娘の成績不振の原因やそのための具体的な対策はわからなかったので、塾の先生に相談しました。娘も私の言うことはあまり聞かなかったのですが、自分の学力を客観的に判断してくれる塾の先生のアドバイスは素直に聞き入れて、実践していました。

森田:ウチの息子の場合も先生のアドバイスに助けられました。息子は現在、武蔵中学校に通っているのですが、小学生の頃は国語と社会が苦手でした。武蔵中学校は記述問題ができないと致命傷になるので、その点について先生に相談すると、読書をするようにアドバイスをもらいました。それからは塾の先生から借りた本を読んだり、家の近くの図書館に自分から通うなどして読書に励んでいましたね。勉強が行き詰まったときの息抜きも兼ねていたようで、おかげで国語の読解力も少しずつアップしていきました。

安藤:我が家では12月に入ってから、過去問題の練習を特に数多くこなしました。算数で延べ68校分。第一志望の駒場東邦については10年分を2回やったと思います。息子の通っていた校舎では、先生が過去問題の宿題を提出した回数をランキングにしていました。そのランキングで2位になったことも、本人にとっては励みになっていたようです。

親も子どももリフレッシュが大切

――受験の直前期に学習面以外で気をつけたことはどんなことですか?

森田:息子のサポートも大事ですが、私自身が精神的に一杯いっぱいにならないように気をつけました。12月は複数の学校に願書を受け取りに行くなどやることが多く、疲労が溜まっていました。そんなときに夫が「1日くらい、温泉にでも行く?」と提案してくれたので、クリスマスの頃に家族みんなで温泉に行きました。息子も私もよい気分転換になりましたね。

安藤:ウチの場合は森田さんの家庭とは逆で、受験前にリフレッシュのための旅行などは特に行きませんでした。息子にとっては、毎日学校に行くことが受験勉強の息抜きになっていたと思います。私自身は悩みや不安を1人で抱え込まないように心がけましたね。直前期になると受験生の親、特にお母さんは1人で悶々と考え込んでしまうのではないでしょうか。そんな時は、夫でも塾の先生でもよいので、相談したり愚痴を言ったりしたほうがよいと思います。

北倉:我が家では、昨年新型インフルエンザが大流行したこともあり、予防接種を家族全員で初めて受けました。それでも中学生の長女はインフルエンザにかかってしまって。受験にチャレンジする次女に対しては「どうせ病気にかかるなら、12月の今のうちに」と思いながらヒヤヒヤしていましたが、幸いにも本人は受験期間中ずっと健康でした。

森田:ウチでも健康面、特に食事には気をつけました。疲れを溜めないようにビタミンを多く摂ることを意識してニンニク入りカレーを作ったり、ビタミンドリンクを息子に飲ませたりすることもありました。インフルエンザ予防のために、うがい用の水を作って洗面所に置いておくなどの工夫もしました。男の子は言ってもなかなか自分からはやらないですから。あと、部屋に濡れタオルをかけて、室内が乾燥しないように注意しましたね。

安藤:生活面に関しては、できるだけ規則正しい生活をキープするようにしました。夜更かししても脳によいことはないので、息子を夜11時には必ず寝かせていました。テレビもほとんど見ませんでしたが、この時期だけのことなので、息子は大して苦痛には感じていなかったようです。

子どもの性格を見極めてサポート

――子どもへの接し方では、どんなことに気をつけていましたか?

北倉:長女の受験の時は私自身に気持ちにゆとりがありませんでした。その反省を踏まえて、次女のときは努めて「子どもの受験が私のすべてではない」と意識するようにしました。私は仕事をしていたので、会社で働いているときは受験のことは一切考えていませんでした。子どもは子どもで勉強をがんばっているのだから、私は「毎日の塾のお弁当を作る」「塾のお迎え」「受験校へ一緒に行くこと」に徹すればいいと。受験をしている次女のために「家ではテレビを点けない」などのルールを作ることもなく、受験生だからと特別扱いすることはなかったです。

安藤:我が家では息子をリビングで勉強させていたこともあって、その日の勉強の進み具合は私がチェックしていました。私と主人も静かに過ごすようにして、受験期の緊張したムードを演出していました。実は、息子は天性のお気楽な性格だったため、受験に対してあまり真剣な態度を見せていなくて。入試本番が近づいてもあまり緊張感が無いように見えたので、入試の5日前に「本当に駒東に入りたいの? 自信がないなら、入試はやめようよ」と喝を入れたほどです。その言葉で、息子の態度も少し変わりました。

好成績のテストがやる気を上げる

――子どものやる気をアップさせるために、何か工夫をしましたか?

北倉:次女は勉強内容について、「今日はこれをやろうね」と指示しないときちんとやらないタイプ。そのノルマが達成できなかったときは、理由を問い詰めるのではなく「じゃあ、明日やろうね」とサラリと言うなど、言葉遣いには気をつけました。ただ、それ以外に特別なことはしませんでした。

安藤:我が家では夫が写真好きなので、息子が志望校に合格するということを具体的にイメージできるように、志望校の正門の写真と息子の写真を組み合わせた合成写真を作って子どもに見せてあげました(笑)。それと、模試で上位だったときの成績表を勉強机の前に張っておきました。それを見ると、息子のやる気がアップしていたようです。

森田:それは我が家でもやりましたね。リビングのテーブルにさりげなく、点数が高かったときの成績表を出しておいたんです。そして、子どもが手に取ったときに「これだけできているんだから、自信を持って大丈夫だよ」と励ましたりしました。その成績表は、かなり長い間リビングのテーブルに「さりげなく」置いてありました(笑)。

中学受験を通して子どもの成長を実感

――中学受験を通して、子どもはどのように成長しましたか?

森田:息子は受験を通して、「達成感」があれば辛いことも乗り越えられるということを実感できたようです。毎日の勉強で疲れたり、寝不足になったりすることもありましたが、「この難問が解けた」「こんなにたくさんの問題をやり遂げた」という達成感があると、寝不足でも元気でいられるのです。受験勉強でそんな経験を繰り返すことにより、我慢することや、がんばり続けることの大切さを学んだのだと思います。

安藤:私が息子の成長を感じたのは、試験当日です。塾の先生から励ましを受けた後に試験会場の教室に向かう息子の後ろ姿がとても自信に満ち溢れていて、「この子、やってくれるかも」と思いました。

北倉:私は娘の底力に驚きました。次女の受験では、受かると思っていた1月の受験校に落ちてしまい、まさかの「黒星スタート」に。娘は相当ショックを受けていましたが、気持ちの切り替えも早かったです。塾の先生から「『受かっても行かない』って言ってた学校でしょ」と励まされたのをきっかけに、第一志望校の入試当日までの残り2週間でガムシャラに勉強したんです。そのときのがんばりを見て成長を感じました。第一志望に受かったから言えることかもしれませんが、「1校落ちたのもよい経験だった」と、今振り返って思います。

ここまで来たら強気で突っ走る

――最後に、これから入試本番へ臨む親子へメッセージをお願いします。

安藤:受験勉強はがんばった分だけ、結果がついてきます。ムダになることなんかひとつもありません。この時期に弱気になって志望校を変えるご家庭もありますが、少しでも可能性があるのなら強気で突っ走ってほしいですね。

北倉:12月に調子が悪くても、年が明けた1月からでも伸びるチャンスはあります。あくまでも第一志望校の入試当日にピークを持っていくつもりで調整すればよいと思います。入試の前日には「これだけ勉強をやったのだから、あとは自分を信じるしかない。大丈夫だよ」と子どもの背中を押してあげてください。

森田:受験が近づくと親のほうが焦って普段通りにできないこともあるかもしれません。でも、できるだけ子どもの生活リズムは変えないように。子どもがいつも通り気負わずに全力投球できれば、結果はついてくると思います。息子の受験のときは、入試当日に中学校へ来てくれた塾の先生が「楽しんでおいで」と、声をかけてくれたことが印象に残っています。入試本番は子どもが思いっきり楽しめるように親も見守ってあげてほしいですね。

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