右:『用具係 入来祐作~僕には野球しかない~』入来祐作【著】/ 14年8月刊/講談社/ 1,400円+税Amazonで購入
左:『パリの国連で夢を食う。』川内有緒【著】/ 14年9月刊/イースト・プレス/ 1,500円+税Amazonで購入

「子どもには世界を視野に入れて夢を追ってほしい」と考えているお父さんお母さんに、ぜひ読んでいただきたい本が出ました。川内有緒さんの『パリの国連で夢を食う。』。国連機関で5年半働いた日本人女性の体験記です。著者の川内さんは東京の大手シンクタンクに勤めていた31歳のとき、ある国連機関に転職することになります。求人ポストに応募してから何の音沙汰もなかったのに、2年後に突然、面接の案内が届いたのです。約2000倍の倍率を勝ち抜いて採用された川内さんはパリで新生活を始めますが……。

世界にまたがる巨大な行政機構の舞台裏は驚くことばかりです。まず、国連といってもいろんな機関があって、仕事もさまざま。難民キャンプや紛争地域などの最前線で活動する部署もありますが、川内さんがいたのはプロジェクトの調整をする本部。基本的にはオフィスワークです。最初に与えられた仕事は大量の書類のコピー取りで、宅配便一つ送るにも上司の決裁が必要。各国から何人を採用するかという割り当てを厳密に定め、男女比も平等になるようにしているにもかかわらず、正規職員と非正規職員の給与格差は大きい。花の国際公務員の甘くない現実がユーモラスな筆致で描かれています。国際色豊かな同僚たちと友情を育み、波乱に満ちたパリ暮らしを楽しみながらも、川内さんはやがて国連を辞めるのですが、一人の女性が能動的に人生を切り拓いていく過程が本書の一番の読みどころ。やりたい仕事を手に入れるためには、偶然の出会いを逃さず、新しい世界に飛び込む勇気が必要なのだとわかるでしょう。

一つの夢をかなえた後に、挫折することもあります。でも、そこで終わりじゃないと教えてくれるのが『用具係入来祐作』。元巨人軍の投手で、現在は横浜DeNAベイスターズの用具係を務めている入来祐作さんの自伝です。缶コーヒーのコマーシャルで彼のことを知った人も多いのではないでしょうか。人気球団にドラフト1位で入団し、一時期はエースに近かった入来さんが、戦力外通告を受けても野球から離れられず、裏方の仕事に就くまでの経緯に胸を打たれます。入来さんはプライドを捨てて人に助けを求め、失敗してもあきらめず、誰かの役に立つ喜びを発見していくのです。こういうお父さん、かっこいいなあと思います。




『リタとマッサン 国産ウイスキーを育んだ夫婦愛』
植松三十里【著】/
14年8月刊/集英社/ 630円+税
Amazonで購入
NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』でも話題。国産初のウイスキー醸造を目指した竹鶴政孝とイギリス人の妻・リタの人生をテーマにした小説。異なる文化で生まれ育った二人の愛がロマンチックに描かれている。





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