和田 孫博先生
1952年生まれ、大阪府出身。灘高等学校を卒業後、京都大学文学部に入学。その後、母校に英語科教諭として就職。同校教頭を経て、2007年から校長を務める。

子どもの努力を見逃さない
これまでに数多くの生徒たちを指導してきた和田孫博先生。その長年の教師経験も踏まえて、「上の子と下の子を比較するのは絶対によくない」と力説します。
「親が兄弟姉妹を比べてしまうと、後れを取っている方は必ずいじけてしまいます。ほめられた方も"よい子でいなくちゃいけない"と、強いプレッシャーを感じるでしょう」
和田先生自身、その点を肝に銘じて、子どもたちに接してきました。
「我が家には年子の息子と娘がいますが、二人への接し方を変えたことはほとんどありません。それぞれのよいところはほめて、悪いところがあれば、その都度叱っていました」
二人のお子さんの性格について尋ねると、「割と正反対な性格だと思う」という答えが返ってきました。
「娘は幼い頃から社交的で、思ったことをはっきり言うタイプ。反対に息子は、どちらかと言うと引っ込み思案な性格。何かほしいものがあっても、すぐにその場では言えず、後で"あれがほしかったのに……"と拗ねることがよくありました(笑)。そんなときは、残念がっている彼の気持ちに寄り添うように心がけていました。どんな性格であっても、それが子どもの個性であり、まずはその違いを認めてあげることが大切なのではないでしょうか」
和田先生は子育てをする上で、二つの点に気をつけていたそうです。
「一つ目は、子どもが興味を示したことは、何であっても認めてあげるように心がけました」
そして二つ目として、「基本的にほめるようにしていた」と語ります。
「しかし、無闇やたらにほめるだけでは、子どもは不自然に感じることでしょう。私は、子どもたちが何か上手にできた瞬間を見逃さず、積極的にほめるようにしていました。その中で印象深いのが、息子が小学2年生のときに探偵が登場する推理小説を書いたことです。単純なストーリーでしたが、彼が一生懸命書いたことに感動して、"よくできたな!"と声をかけました。そのとき息子が見せたうれしそうな笑顔は今でも忘れられません」
子どもをほめるだけでなく、しつけの面も疎かにはしていませんでした。
「あいさつができない、または人に迷惑をかけたときなどは、厳しく叱っていました。ただ、息子は自分の意志をしっかりと持っている子なので、怒られてもなかなか詫びないときがありました。彼が頑固な態度を見せると、私もつい叱り方が厳しくなってしまって……。そんなときに妻が、息子が反省するまで粘り強く諭してくれたので助かりました」
しつけには厳しかった反面、子どもたちのいたずらは寛容に受け入れていたそうです。
「子どもたちが小さい頃から、私は家で仕事をすることが多かったのですが、あるとき、子どもが英語の辞書に赤ペンで丸を書いてしまって。きっと家でテストの採点をしていた私を見て、真似をしたんでしょう。当時の子どもたちにとっては勉強をしているつもりだったと思うので、怒る気にはなれなかったですね(笑)」


受験勉強のサポートを姉弟で変える
和田家は夫婦揃って読書家。その影響を受けて、子どもたちも読書好きになったと言います。
「息子が3歳のとき、"恐竜はジュラ紀にいた"と言い出したのでびっくりして。どこで習ったのか尋ねると、近所の人がくれた人気漫画シリーズに書いてあったと言うんです。姉を真似て漫画のページをめくるうちに、内容まで読めるようになっていたようです」
教育については「私も妻も私立中高一貫校の出身だったため、できることなら二人とも私立で教育を受けさせたいと考えていた」と振り返ります。
「息子は小さいときから、私が働いている灘中高の文化祭や体育祭に遊びに来ていたので、自然と灘を志すようになりました」
いざ受験勉強が始まると、学習面のサポートは、主に奥さんが担当していたそうです。
「息子は発想力が豊かな子どもだったのですが、ケアレスミスが多くて。三角形の面積を求めるときに2で割るのを忘れるなど(苦笑)、いつも同じようなミスをしていました。勉強は、できなかった問題をしっかり克服することが大切です。妻もその点を理解して、彼が自分の弱点に気づけるようにいろいろと工夫していました」
一方、娘さんが受験するときは、塾のアドバイスが役立ちました。
「中学受験では、ひとつも合格を手にできないと、親も子も大きなショックを受けます。しかし、合格を狙える学校ならどこでもいいわけではありません。当時娘が通っていた塾の先生は、彼女の性格を理解した上で志望校選びのアドバイスをしてくれたので、とても参考になりました」


個性を尊重し社会性を育む 
二人の子どもは高校卒業後、ともに理系の学部へ。
「私も妻も文系なので、子どもたちがどうして理系に進んだのか、未だにわかりません(笑)。子どもは親の予想通りには育たないものですね。しかし、二人とも責任感を持って楽しそうに仕事に打ち込んでいます」
子どもたちが現在、充実した人生を送っているのは、それぞれの個性を大切にした子育ての成果なのかもしれません。
「兄弟姉妹が持つ個性の芽を摘み取らず、その子にしかない強みを発揮できるよう、環境を整えることが大切だと私は思います。たとえば、アインシュタインは変わった人物として知られていますが、個性を生かせたからこそ、歴史に残る発見をできたわけです」
その一方で、「将来に向けて、社会性を身につけさせることも重要」とアドバイスします。
「当校をはじめ、多くの私立中高一貫校は自由な校風が魅力で、個性が強い生徒も生き生きと過ごしています。しかし、ずっと同じ環境にいられるわけではありません。高校や大学を卒業した後は、世間の荒波にもまれる時期が必ずやってくる。子どもが社会に出た後のことも見据えながら、さまざまな環境や進路を提示してみてはどうでしょうか?」


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