子どもの心に訴えるサポートが効果的

「子どもを理科好きにするためのサポート」と聞くと、どんな取り組みをイメージするでしょうか。

親の中には、「子どもを科学館や博物館へ、頻繁に連れて行く」「家でも実験にチャレンジさせる」などのサポートを思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかし、四谷大塚あざみ野校舎で理科を教える中久木智和先生は、「もっと身近なところに、ヒントはたくさんある」と語ります。

「理科の興味をアップさせる上で、心がけてほしいのは、子どもの『情緒』に訴えかけることです。理科の学習では、さまざまな原理原則を学びますが、その学習は、学校や塾でも取り組みます。一方、子どもの心に『すごい!』『こんなことができるんだ!』などの驚きや感動を与えられるチャンスは、どちらかと言えば、家庭のほうが多いはずです。理科を好きにさせるためには、子どもに驚きや感動をたくさん与えられる環境づくりを心がけてみましょう」

子どもの心に訴えかけるために、まずは、親子で感動を共有しようとする姿勢が、肝心です。

「最近は、理科の実験を取り上げたテレビ番組が、たくさん放送されています。そのような番組を親子で一緒に見る方法は、一番手軽に取り組めるのではないでしょうか」

番組を見る場合は、「一般の視聴者と同じ目線で楽しめば、大丈夫」と、中久木先生は言います。

「理科があまり好きでない子どもの場合、理科に関する番組の内容に興味を示すだけでも、大きな前進です。子どもの心に、少しでも引っかかるものが見つかれば、理科の学習に対する意識も、自ずと変わります。むしろ、『今の内容はわかった?』『これは、塾の授業でも、習ったんじゃない?』などと、親が質問を重ねてしまうほうが、子どもの興味をダウンさせやすいので、気をつけましょう」

子どもの興味をアップさせるために、テレビ番組や本などを活用する場合は、ひとつのものに固執しないことも、心がけたいところ。

「子どもが、あまり楽しそうでない場合は、ほかのサイエンス番組や本に変更したほうが、よいでしょう。さまざまなジャンルの番組や本に触れさせることにより、理科の幅広い学習内容を、子どもに実感させることもできます」

冷蔵庫の中にはヒントが満載

理科の学習内容に、子どもが少しでも興味を持ち始めると、自然と理科に関する質問や会話が、増えてきます。そこから、親が心がけるサポートとしては、理科に関するさまざまな知識を冷蔵庫の中にはヒントが満載結びつけて、子どもに教える方法が挙げられます。

「子どもの理解力を『拡張』させるような工夫をしてみましょう。具体的には、理科の学習内容を実生活と結びつける方法が、効果的です」

たとえば、植物の学習であれば、野菜に関する知識と結びつけて教えられます。

「植物の種類を覚える学習に苦戦する子どもは、多くいます。しかし、普段食べている野菜に置き換えさせてみると、もっとスムーズに理解できるのではないでしょうか。まずは、『イネ科の植物は、タマネギ』『ナス科の植物は、ピーマン』などの知識から、教えてみてください。そこから、『タマネギを犬や猫に食べさせると、お腹を壊してしまうから、注意しようね』『ピーマンと同じように、中に種しかない唐辛子も、ナス科の植物なんだよ』と、話の内容を広げてみる。このようなサポートで、子どもの理解力は、ぐんぐんアップしていきます」

さらに、口で伝えるだけでなく、子どもの視覚に訴える工夫も、心がけたいところ。

「野菜と結びつけて、植物の知識を教えるときも、できるだけ野菜そのものを子どもに見せて、話をしましょう。また、調理する前の野菜を見せるほうが、子どもの記憶に残りやすいと思います。なぜなら、調理された野菜を見ても、ほとんどの子どもは、『食べ物』としてしか、イメージできないからです」

家庭の中にある物に目を向けさせ、興味をアップさせる方法は、化学の学習にも応用できます。

「私たちが、毎日の生活で使っている食品や洗剤には、化学の仕組みを応用した商品が、たくさんあります。『家の中に置いてある、洗剤や食品の成分表示を見てごらん』と、子どもに声をかけ、自分の目で確認させてみましょう」

どのサポートも、家庭ですぐに実践できそうなものばかり。このようなサポートを繰り返し行うことで、理科に関する知識が、子どもの心に刻まれていくのです。

体験の記憶によりやる気が一気にアップ

さらに、理科の場合、子どもにさまざまな体験をさせることで、意識が大きく変わる可能性もあります。

「科学館の展示物を見せに行ったり、星の観察を親子で一緒にするなどの体験は、子どもの心に、大きく響くことでしょう」

日本全国の科学館では、毎週さまざまなイベントや展示会を行っています。その中から、子どもが興味を持ちそうなものを選ぶ際に、活用できるサイトもあるそうです。

「科学館を紹介するポータルサイト『日本の科学館めぐり』を活用してみてください。日本全国の科学館で行われているイベントが、随時紹介されているので、とても役に立ちます。このサイトでは、基礎自然科学、恐竜・化石、地球・宇宙、エネルギー、先端科学など、10分野の中から選ぶことができます。そのため、どんな子どもでも、少しは興味を感じる施設やイベントが、見つけられるのではないでしょうか」

ときには、親がヒントだけを与えて、子どもに行動させるような工夫も、心がけてみましょう。

「国立天文台のホームページでは毎年、その年に起こる天体現象などが、あらかじめ紹介されています。このサイトを活用して、『今年の5月21日には、日本の広い地域でも、金環日食が見られるみたいだよ』と、教えてみてはどうでしょうか。これにより、子どもの心の中に、『本当に、予告された日に見られるのかな』という疑問が、湧いてくるはずです。それをきっかけとして、天体の学習への真剣味が増したり、理科に関連するニュースに目を向ける可能性が、アップすると思います」

大人と話せる環境が子どもを伸ばす

社会の学習では、地理、歴史、政治国際の各単元で、さまざまな知識を理解しなくてはいけません。そのため、親もつい、「○○の内容をちゃんと覚えた?」という言葉を子どもに言いがちです。しかし、四谷大塚渋谷校舎で社会を教える齊藤啓先生は、「社会の学習をサポートするときは、『覚えなさい』『暗記しなさい』という声かけを控えてほしい」と、アドバイスします。

「子ども時代に、社会の学習が苦手だった親ほど、『社会は暗記教科だから、しっかり覚えようね』などと、声をかけてしまうかもしれません。ですが、親が『社会は暗記教科だから』と言うと、ほとんどの子どもは、『とりあえず覚えればいいんだ』と、思ってしまうもの。すると、学習内容に興味を持ちにくくなり、毎日の学習も、退屈な作業になってしまうことでしょう」

子どもの意識を変えるために、まずは普段の声かけから変えてみましょう。

「家庭で、社会の学習をサポートするときは、『日本地図をイメージしてみよう』『この戦いが起きたとき、歴史上の人物たちは、どんな気持ちだった大人と話せる環境が子どもを伸ばすかな?』などと、声をかけてみましょう。とにかく、『社会の学習=暗記』というイメージを、できるだけ持たせないことが、肝心です」

その上で、社会の学力をさらにアップさせるためには、「比較の目」を養うことが、カギを握るようです。

「地理で学習する北海道と沖縄は、作られている野菜の種類も、桜が咲く時期も異なります。歴史の学習でも、『人権』という概念は、時代ごとに移り変わっていきます。社会の学習では、このような違いに目を向けて、物事を比較できる子どもが、伸びていきます」

「比較の目」を養うための具体的なサポートとして、齊藤先生は「子どもが、大人と話せる機会を増やしてほしい」と言います。

「まずは、お母さんやお父さんが、自分の子ども時代の暮らしや、出身地の話をしてみましょう。近所に、祖父母が住んでいる家庭なら、子どもと祖父母が話す機会を増やしてほしいと思います。子どもが、自分とは違う時代を生きてきた人の話を聞くことで、今の自分の立ち位置が、イメージできるようになります。そして、自分が住んだことのない地方や時代について学習するときに、今の自分と比較できるようになるのです」

本でもテレビでも子どもの視野は広がる

大人と話す機会を増やすのが、難しい場合でも、「比較の目」を養うことはできます。

「たとえば、今よりも少し昔の時代を舞台にした小説を読ませてみるのは、どうでしょうか。一例としては、井上靖の『しろばんば』や、下村湖人の『次郎物語』などが挙げられます。これらの作品には、現在の日本ではあまり馴染みがない、里子や里親などが登場します。これらの知識を、小説の内容と絡めながら理解させることでも、子どもの視野は広がると思います」

また、地理の興味をアップさせる方法としては、テレビの天気予報を見せるのが、オススメです。「全国の気温や気象が紹介されるので、各地方の気候をイメージしやすくなります。天気予報を見せるときは、高地の部分にも、目を向けさせてみましょう。たとえば、富士山のふもと近くの気温は、平野部よりも、ずっと低いはずです。このような違いにも興味を持たせてみると、地理に関する『比較の目』が、磨かれるはずです」

違いを認める姿勢が将来につながる

ときには、普段とは少し違う環境を与えることも、重要なポイント。齊藤先生からは、「国会で審議している様子をニュースなどで見せるのがオススメ」と、少し意外なアドバイスも。

「もちろん、審議の内容を詳しく理解させる必要はありません。ただ、『今、日本の社会を動かしているのは、この人たちなんだ』という意識を子どもに持たせておくことは、とても大切です。政治国際の学習がスタートするときのハードルも、低くなるはずです」

このようにして、子どもの視野を広げる環境を親が整えることは、将来の成長にも、大きなプラスとなります。

「昔よりは目立たなくなりましたが、今の日本でも、貧窮にあえいでいる人たちは、少なからずいます。そして、世界に目を向けると、不条理なことは、毎日のように起きています。子どもの頃から、自分が暮らしている環境以外にも目を向けさせることで、他者との違いを認める姿勢が、自然と身につくのではないでしょうか。それは、子どもたちが将来、世界で活躍する上でも、とても大切なことだと思います」

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