6年生の夏まで 野球と塾を両立し 海城に合格

1994年2月4日午前7時20分、種子島宇宙センターから打ち上げられたH -Ⅱロケット。当時4年生だった伊海田皓史氏は、その様子をテレビで見て、大きな感動を受けました。
「美しい朝焼けの中を飛び立つロケットを見て、『宇宙っておもしろそう!』と心を動かされたんです。それから宇宙に関わる仕事をするにはどうしたらいいのだろうと考え続け、まずは進学校へ進み、いろいろな勉強をしなきいけない。そう思ったんです」
自ら親に「中学受験をしたい」と相談し、夢への第一歩を踏み出しました。「ただ、少年野球をやっていたので、塾に通い始めたのは5年生の夏から。最初は塾の勉強に全くついていけず、すごく焦りを感じました」
受験勉強に必死で取り組む一方、野球は6年生まで続けました。「チームの人数がぎりぎりだったので、やめるにやめられず(笑)。夏の大会が終わってから塾一本に絞りました。理科と社会は得意だったので、徐々に成績は上がりましたが、算数は最後まで苦手でしたね」
 つるかめ算や時間算など、小学校では習わない問題になかなか慣れなかったと言います。それでも野球に割いていた時間を、予習や復習にあてることで、算数の成績も少しずつ上向いていきました。
「最初はリビングで勉強していましたが、気が散るので自分の部屋に場所を移したんです。そうしたら、集中力が増しました。成績が伸び悩んだときも予習・復習を続けたおかげで、ねばり強く続ける姿勢が養われました」
 しかし、海城の合格ラインに届くか微妙な成績だったため、「最後まで気を抜けなかった」と振り返ります。「合格できたのは、入試当日の精神状態が大きく影響していたと思います。海城の入試を受ける前に、ほかの学校に合格していたので、海城の試験はリラックスした状態で受けられました。やっぱり併願校を受験することは大切ですね」

子ども時代の夢が実現。 好きだからこそ がんばり通せた

   晴れて海城に入学したものの、最初 の試験で手渡された順位表にガッカリ。 「真ん中より下の成績で、かなり落ち 込みました。でも、中学受験で身につ けたねばり強く取り組む姿勢を継続し、授業の予習・復習に努めました。おか げで、中2の頃から少しずつ順位も上 がりました。数学は相変わらず苦手で したが(笑)」
 その努力を高校でも続け、第一志望 だった東京大学理科一類に合格。3年 次からは工学部航空宇宙工学科に進み、 4年次からは航空機の自律飛行制御な どを専門とする鈴木真二先生・土屋武 司先生の研究室に所属しました。
「当時の研究テーマはヘリコプターが どのような経路で飛べば着陸するとき の騒音を抑えられるか。JAXAとの 共同研究で、私たちがプログラムをつ くり、それをヘリコプターに組み込んで北海道の飛行場で実験を重ねるとい う貴重な体験を積むことができました」
同大学大学院修士課程を修了した後、 JAXAへ入社。「7年間、ロケット構造の研究・開発 に携わりながら、将来的な改善策の立 案という仕事も同時に行っていました」  今年4月からは、第一宇宙技術部門 イプシロンロケットプロジェクトチー ムに配属。
「これまで培ってきた経験を生かし、 人工知能を搭載した小型ロケット『イ プシロン』の構造開発に取り組んでい ます」
イプシロンロケットは2013年に 試験機が打ち上げられ、2016年に 2回目の打ち上げが予定されています。 「ロケットの打ち上げは、ずっと憧れ ていた仕事なので、毎日が楽しいです。相変わらず数学を使う仕事は苦手です が(笑)、わからないことがあれば自 分で調べる、周りの人に聞く。そうす ることで理解が深まるので、まったく 苦ではありません」
夢をかなえるために、ねばり強く取 り組み続ける伊海田氏。最後に、子ど もたちに向けて温かなメッセージを贈 ります。 「中学受験では勉強も大事ですが、自 分の好きなことを見つけることも重要 です。好きなことが一つでもあれば、 困難を乗り越える原動力になりますから。『これは!』というものを追い求 め、大切にしていってください」

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