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では、実際に「論理力」はどのような訓練で磨かれていくのでしょうか?親子で実践できるトレーニングを、「話す」「読む」「書く」の3つに分けて紹介します。引き続き、野矢茂樹先生、樋口裕一先生、小野田博一先生に解説してもらいました。


日常生活から「論理」を意識しよう

将来も必要な論理力鍛えるなら早めに

「論理力は鍛えることができる」という見解は、3氏に共通したものでした。実は樋口先生も、論理力は訓練して身につけたと話してくれました。「高校までは、論理力は全くありませんでした。しかし、ものすごく論理的な友人ができて『君の話は論理的ではない』と指摘を受けたときから、論理を意識し始めました。読む、書く、話す、というあらゆる場面で、論理的であろうとする姿勢を持ったのです。論理力は人生を切り開く力となりますから、早いうちから鍛えるべきだと思いますね」(樋口先生)

では具体的に、どのように「論理力」を鍛えていけばいいのでしょうか。

「論理力というのは基本的に国語力なんです。日本語を論理的に使う、つまり、関連性が明確で、首尾一貫した言葉遣いができるということ。だから、論理というのは決して頭のいい人だけのものではないんです。とは言え、普段日本語を使っているからと言って、必ずしも論理的に日本語を使うことが得意とは限らない。そこで、外国語を学ぶようにして、もう一度日本語の論理的な側面を学び直すんです。外国語を学ぶときには反復練習がだいじでしょう? それと同じで、論理力を鍛えるにも反復練習が必要ですし、効果的です。つまり、論理的な日本語を読み、書き、話す経験をたくさん積むことです」(野矢先生)

まずは日本語とじっくり向かい合い、反復練習をすることが論理力を鍛える上で重要。しかし、題材とする作品や文章が論理的ではないと、訓練の効果は見込めないと小野田先生は話します。「身のまわりにある文章のほとんどは、論理的に書かれていません。論理的な文章とは、結論が書かれていて、なぜその結論になるのかの理由が読み手に納得のいくように書かれているもののことですが、身近な文章のほとんどは、そのように書かれていないのです。論理的な文章の参考になるものの筆頭は英語圏のコラムですが、子どもにはコラムの文章は難しすぎるでしょうね。子どもにとって参考になるのは、英語圏の小説です。会話の論理性が高いので、小説を読むことで得られるものは多いでしょう」(小野田先生)

加えて、日本の表現習慣の中で、子どもの論理力育成を妨げているのは、「理由を詳しく述べる習慣がないこと」と「察する習慣」だと小野田先生は指摘しています。「たとえば、『○○の値上げをすることになりました。皆様のご理解・ご協力をお願いします』と言って関係者が深々と頭を下げる発言はよくテレビで見ます。しかし、なぜ値上げをせざるを得ないか詳しい説明はなく、テレビを観ている人たちも『値上げをせざるを得ない状況なのだろう』と察して納得してしまうでしょう。このようなシーンを、親子で一緒に見た場合、親が『なぜ値上げなのか、理由がわからなければ、理解できるはずないよね』というようなコメントを、冷静に子どもの前で言ってあげましょう。そうすれば、子どもはちゃんと理由を考える子になっていくでしょう」(小野田先生)


論理的に話す


子どもの疑問と向き合い論理で親を説得させる

日常会話の中でも、会話の仕方を少し変えるだけで、論理力を鍛えることができると樋口先生は言います。「子どもがほしいものややりたいことを口にしたときがチャンスです。特に、子どもが説得のモチベーションを発揮するのは自らの欲望に対してですから、もしお小遣いがほしいと言い出したなら、なぜほしいのか、どうして必要なのかをしっかり語らせてあげましょう。実はこのプロセスこそが、論理力を鍛えるためのポイント。相手を説得することは、論理的でなければできませんからね」(樋口先生)

小野田先生は、子どもの「なぜ?」を大切にすることで論理力が上がると話します。

「子どもが『なぜ?』と聞いてきたら、しっかり答えてあげましょう。答えられないなら『なぜだと思う?』と聞き返し、考えさせたり、一緒に調べたりするといいですね。ここでうるさがって口をつぐませてはいけません。また、子どもが語っていない部分を察して済ませるのではなく、説明不十分な部分について質問して、子どもに説明させることが論理力につながります。このときには、質問をうまく挟んで、できるだけ詳しく、細かく話させるように導いてあげるといいですね。これは『理詰めに語る表現力』の基礎力となる、『詳しく説明するトレーニング』になります」(小野田先生)

親子でトレーニング例

〈お小遣いが欲しい〉
子:お母さん、今月からお小遣いを毎月最初にほしいの。
母:どういうこと?
子:今までは、必要なときに必要な分だけお金をもらっていたけど、ひと月のお金を決めて先にもらいたいの。
母:なるほど。どうして?(POINT1)
子:ひとりで出かけることが増えたから。塾とか、友だちと遊びにいくときとか、自分でお金を持っていたいの。
母:ふーん。でも出かけるときは前もってお母さんに言うでしょ?その都度必要なお金を渡すんじゃ、どうしてだめなの?(POINT2)
子:必要なときにもらったら、そのとき使いきっちゃうけど、最初に決まったお金をもらってたら、考えてつかうかなって。
母:ん?どういうことだろう?よくわからないな。もう少し説明して。(POINT3)
子:えっと、自分でお金の使い方を考えたいから。ほしいものがあるときのために、余ったお金は貯金しておいたりとか。
母:なるほどね。今までは余ったらお母さんに返してもらってたしね。じゃあ何にどれくらい必要だと思うか考えて、金額を決めてみて。

POINT1【理由を聞く】
頭ごなしに「だめ」と言わないこと。子どもなりの理由を聞いて。
POINT2【反論する】
親は感情的にならず、反論や質問に必要なことを淡々と述べる。
POINT3【察してあげない】
なんとなく意図は伝わっても、言葉で説明させるように誘導する。

こんなゲームもしてみよう!

・議論ごっこ
3人ひと組で行い、ある議題についてふたりが互いに逆の側から意見を述べ合い、残るひとりが、どちらの意見がよりもっともらしかったかを判定して勝者を決定する。たとえば、ひとりを遅刻した生徒役、もうひとりを教師役として、架空の状況で言い訳と反論の発言を述べ合い、理屈をより巧みに述べた側が勝ちとする。(小野田先生)

・継ぎ足し話
親子で、交代しながら物語を作る。話は起承転結の4部構成にして、たとえば親が起の部分「あるところに○○という・・・・・・」と始め、その後の承の部分を「○○は・・・・・・」子どもにつなげさせる。続いて親が転の部分を話し、最後の結は子どもに話させる。つじつまが合うよう考えさせながら話を進めていく。(樋口先生)


論理的に読む


次の文章中、「しかし」と「だから」を入れるのに適切な箇所をすべて答えなさい。(文に付けられた番号を利用して「(1)の前」のように答えること。)

 

(1)ロボットは心が持てないと考える人は多いだろう。(2)そう考える根拠の一つは、ロボットは決められたプログラムを実行するだけで、人間のような創造性を持つことはできないというものだ。(3)確かに、現在の技術では自分で創造的にものを考えたり作り出したりするロボットを作ることはできない。

(4) 技術の進歩は私たちの予想を越えている。(5)新しい発想を生み出したり、芸術作品を作り出したりするロボットが絶対に作れないとする理由はないだろう。(6) むしろ私は、人間も突き詰めれば物質から成り立っていることに注目したい。(7) 人間が心を持つ仕組みを解明すれば、それをロボットに応用することによって、心を持ったロボットを作ることができると思うのだ。

 

接続表現に注意してつながりを考える

「読むことで論理力を鍛えるには、言葉と言葉のつながりを意識することが大切」と野矢先生は話します。

「この文と前の文、この段落と前の段落はどういう関係にあるのだろう、と考える。そのためには、つなぐ言葉、つまり接続詞や接続助詞などの接続表現に自覚的になることが大切です。接続表現が明示されていなくても、文と文や段落と段落のつながりを明確にしながら、ときに自分で接続表現を補って読めるようになるといいでしょう」

論理力を鍛えるための具体的な例題とその解説を、野矢先生にお聞きしました。子どもと一緒にこの問題を考えるときのヒントは何でしょう。「まず、筆者が言いたいことは何かをつかみましょう。うまく考えられないでいる子には、『この文章で作者が一番言いたいことは何かな』と問いかけてあげてください。(1)で「ロボットは心が持てないと考える人は多いだろう」と述べていますが、読んでいくと、最後の[心を持ったロボットを作ることができると思う]が筆者の言いたいことだとわかります。それを確認したら、まずは[しかし]の入る場所を考えましょう。逆接の接続詞は、議論の流れを把握するためにとても重要です」

この文章で、筆者の言いたいこととそうではないことを区別してみましょう。筆者の言いたいことを赤で、そうでないことを青で色分けすると、次のようになります。

「(1)~(3)はロボットは心を持てないという考えについて述べ、(4)~(6)はロボットは心を持てるという方向で述べています。(3)と(4)の間に明確な区切りがあります。文章を読んでいるときに、論理的な力がないと、このような流れの変わるポイントがよくわからず、すべての文章が均質にただ並んでいるように見えてしまいます。それに対して、論理力がついてくると、赤と青で区別したのと同じくらい明確に、流れが変わっていることが見えてくるようになります」

(4)の前には [しかし]が入りました。次に、[だから]の場所を考えましょう。

「結論に対して根拠を述べているところを探します。(7)が結論だということは確認したので、どうして筆者は(7)のように考えるのか。その根拠は(6)で明示されていることがわかりますね」

ここで、子どもの力に応じて、さらに進んだ問いかけもできます。

「『人間も突き詰めれば物質から成り立っているということが、どうして心を持ったロボットを作ることができるということの根拠になっているのかな?』と聞いてみましょう。人間も物質から成り立っている。その点でロボットと違いはない。だから、脳を含め、人間と物質的な仕組みが同じであるようなロボットを作ることができれば、そのロボットは心を持つに違いない。筆者はそのように考えていることがわかります」

機械を分解するように文章を分けて役割点検


さて、これで終わりではありません。実はまだ、接続詞が入る場所があるのです。

「論理的な文章であればあるほど、無駄な部分はありません。ちょうど電気製品を組み立てている部品に無駄なものがないように、文章全体をひとつの製品だとすれば、すべての文はその部品としての役割を持っています」

では、(4)と(5)にはどんな役割があるのでしょうか。「(5)では[新しい発想を生み出したり、芸術作品を作り出したりするロボットが絶対に作れないとする理由はない]と言われています。[作れない]と相手が主張するのに対して、[作れないとする理由はない]と反論しているわけです。つまり、(5)は相手の主張に対する反論です。どうして心を持ったロボットが[作れないとする理由はない]と考えるのか。それは、(4)の[技術の進歩は私たちの予想を越えている]からです。ですから、ここにも、根拠と結論の関係があり、[だから]を入れることができます」

ただし、文体上の配慮によっては、この.だから.は省略することが考えられるそうです。

「実際、この文章の出典となった教科書の原文では省略されています。とは言え、ここが根拠と結論の関係であることに違いはありません。それを把握するために、ここにあえて[だから]を入れ、根拠と結論の関係を明示します。このように、機械の部品を一つひとつ分解してその役割を点検していくような作業を文章に対して行うことが、『論理的に読む』ということであり、それが論理力に直結するわけですね」 ときには親もじっくり文章に向かい合い、子どもが論理的に読む手助けをしてあげましょう。


論理的に書く

 

「遠足で行きたい場所」について論理的な文章を書いてみよう

子どもの「論理的でない」文章例
ぼくは今度の遠足では動物園に行きたい。前に博物館に行ったときには、月の大きな模型があっておもしろかった。動物園は遠いけれど、いろいろな動物がいる。きのう、図鑑でウサギカンガルーを見た。動物園にウサギカンガルーがいればいいな、と思う。


結論 (言いたいこと)は一つに絞る
結論は必ずひとつに絞り、一貫した意見を書くことが必須。ここでは「ぼくは今度の遠足では動物園に行きたい」。


理由をはっきり書く
「いろいろな動物がいる」ことと「動物園に行きたい」気持ちとの関係が書かれていないので、結論を支える理由にはなっていない。


接続表現を使う
文章としてくどく感じても、練習のため接続表現で文と文との関係を明示すること。この文章では文と文との関係が薄いので入れられない。


結論 (言いたいこと)は一つに絞る
「月の大きな模型がおもしろかった」「動物園は遠い」「きのう」は現段階では結論との関係が全くない。関係がない場合は不要。

「論理的な文章」完成例
ぼくは今度の遠足では動物園に行きたい。なぜなら、不思議な生き物に出会いたいからです。たとえば、ウサギカンガルー。それは、ウサギとカンガルーが合体したような不思議なかわいい生き物で、ぼくの図鑑にのっています。動物園にウサギカンガルーがいるなら、その生きて動いている姿をぜひ見たい。ほかにもいろいろな奇妙な生き物を見たい。というのは、ぼくは奇妙なかわいい生き物が大好きだからです。それらを見ると、自然の不思議に感動します。その感動を図鑑ではなく生で味わいたいから、ぼくは動物園に行きたいのです。


結論をハッキリ書き余計な部分を削る

「本当に論理的な文章は意外と少ない」という指摘が、先に小野田先生からありました。では、論理的な文章は小学生でも書けるのでしょうか?上の例をもとに、論理的な文章を書くためのコツを小野田先生に聞きました。「いくつかの鉄則を意識すれば、小学生でも論理的な文章を書くことができます。論理的な文章の前提は、はっきりした結論がひとつある、ということ。これは長めの小論文になっても同じことです。読者の『要するに何?』に答えられなければいけません。また、疑問形で終わったり、結論があいまいだったりする文は論理的とは言えません。つまり何が言いたいのかを、一文で伝えるようにすべきです。結論に至った理由や結論につながる事実は、できるだけ明確に書きます。ここで結論と関係のないことは書いてはいけません。上記の例では、『月の大きな模型がおもしろかった』ことが『動物園に行きたい』気持ちとどういう関係があるのかが書かれていませんね。関係がないのなら、書くのは余分です。もし、この部分を書きたいのなら、『今まで知らなかったことを展示で知るのは楽しかった。だから動物園で今まで知らない動物に出会うのも同じように楽しいだろう』くらいの説明が必要です。『どういう関係があるのかを書く』とは、そのような説明を書くことなのです」(小野田先生)

数学の世界を通して論理力を身につける

学問の基盤となるスキルを習得

 大学で学ぶための基礎スキルを身につけることを目的として、早稲田大学ではアカデミックリテラシー科目を開設。英語コミュニケーション力、学術的文章作成力の2科目に加え、「数学基礎プラスシリーズ」という数学科目を展開してきました。この背景には、学生の数学力の低下があると言います。「数学で身につく論理力は、あらゆる学問と社会生活の基本スキルです。しかし、経済学の先生方が自分の大学生のときと同じイメージで数学の講義をすると、理解できない学生が多く、非常に困っているという状況がありました。先生方の期待するレベルに学生が到達していないのです。しかし、高いハードルをクリアして大学に入ってきているわけですから、論理的な能力も当然持っているはず。本人も気づいていないその能力を、すくい上げようという狙いでした」(瀧澤先生)

2008年秋、最初に開講した「プラスα(金利編)」の副題は「金利でだまされないために」。「受講生に興味を持たせ、やる気にさせるために、知っておきたいと思わせるものにした」とのこと。フルオンデマンド授業の内容にも、ビデオ講義は見続けて疲れないよう1本20分程度に収めるなど、さまざまな工夫がなされています。

「数学から逃げてきた学生が対象ですので、高校数学の知識を前提とせずに授業を進めます。数の概念から集合や数列、最後に金利の計算までできるようにします。数学の基礎から教えますが、既存の教科書とは教え方も違います。公式に当てはめて計算するのではなく、公式がどのように作られるのかを、具体的な例を挙げながら説明しています。そのような訓練をすることで、論理的な力、筋道を立てて考える力が身につきます」(高木先生)

昨年、受講者数は累計で1万人を突破。受講した学生からは「最初は自信がなかったが、参加してみるとわかりやすく、考え方も論理的に変わった」「数学と(専門でやっている)法学の勉強が、論理性は全く同じだとわかった」などの声が聞かれ、反響が広がっています。受講後のアンケートでも、「論理的な思考能力が身についた」とする回答は全体の80%を占めているそうです。「数学が論理力を身につけるのに適しているのは、モデル化された世界だからです。経済学などの学問は、社会現象を抽象化して考えるという段階が複雑で難しいのですが、数学の場合はその段階を踏む必要はなく、どこが要点かがすぐにわかります。その扱いやすい世界の中で、考え方の訓練をしておけば、論理力は自然に習得できるでしょう。すべての学問の基盤となる力を、身につけてもらいたいと思います」(瀧澤先生)

「受験のためとなると、単に公式を覚えて当てはめがちですが、それでは計算力は身についても、論理力には結びつきません。なぜそうなるのかを、自分の頭で考えることが大事です。構造を知れば、このような結果になるのではという見通しがついて、自分で応用できるようになるもの。小学生の皆さんも、少しの時間でもいいので公式の成り立ちなどを考えるようにしてもらえればと思いますね」(高木先生)

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