子どもの得意・不得意には遺伝の影響がありますが、親が環境を整えることで、変化が生まれる可能性も十分にあります。
普段の生活から、学習への興味をアップさせる工夫をして、子どもが自ら学ぶ姿勢をサポートしてみましょう。

算数:四谷大塚高田馬場校舎 井上幸治 先生
国語:四谷大塚所沢校舎 岡崎純也 先生
理科:四谷大塚あざみ野校舎 中久木智和 先生
社会:四谷大塚渋谷校舎 齊藤啓 先生

毎日の生活の中に計算を取り入れる

四谷大塚高田馬場校舎で算数を教える井上幸治先生は、「子どもの興味をアップさせるためには、学習内容を実生活と結びつけて、教えることが大切」と話します。

「算数の場合、子どもが計算する機会を増やすことが、苦手意識を克服させる、ひとつの方法です。親子で買い物へ行ったときは、商品の値札に目を向けさせたり、購入する商品の合計金額を計算させたりしてみましょう。それにより、数の感覚が磨かれ、計算するスピードもアップするはずです」

店に置かれている商品の中に、「2割引き」や「15%オフ」などの表示があったときは、子どもの学力をアップさせる大きなチャンスです。

「算数が苦手な子どもの中には、『2割引きだと、商品の値段が(もともとの値段から)8割になる』ということをしっかり理解できていない子どもがいます。買い物の機会を通じて、子どもの理解力をチェックしてみるとよいでしょう」

子どもと一緒に買い物へ行く機会が、なかなか持てない親には、こんなアドバイスも。

「親が買い物したレシートを子どもに見せる方法でも、効果はあるでしょう。合計金額の部分は隠して渡し、子どもに計算させてみてください」

選択肢を与えて子どもを見守ろう

生活の中で、子どもに計算をさせる機会を増やす方法は、買い物以外にも応用できます。

「たとえば、電車に乗るときに、目的の駅に着くまでの運賃を子どもに計算させる方法が挙げられます。普段は、SuicaやPASMOを使っている人が多いと思いますが、ときには子どもに現金を渡し、運賃を計算させてみましょう。このような経験を通して、計算を楽しむ気持ちが、少しずつ育まれるはずです」

このように、子どもの行動にある程度の自由を与える環境が、学力をアップさせる上で、プラスとなります。

「算数の学習では、時間をかけて問題の解き方を考えたり、問題を考えるプロセスを楽しめる子どもが伸びていきます。普段の生活でも、子どもの行動や選択肢にできるだけ幅を持たせて、子どもが自分で答えを出すのを待つように心がけてください」

考える時間をしっかり与えることは、家庭学習をサポートするときにも、カギを握ります。

「算数の学習では、『解ける』感覚を養うことが、何より大切です。子どもの家庭学習をサポートするときも、まずは、子ども自身に問題の解き方を考えさせましょう。そして、子どもの解き方をチェックする際も、間違えた箇所だけを指摘して、もう一度チャレンジさせること。とても根気のいる作業ですが、この繰り返しが、苦手克服や学力アップにつながります」

子どものやる気や態度に、あまり変化が見られない場合は、算数の学習を別のものにたとえて話してみるのが、オススメです。

「私は子どもたちに、よく『算数はスポーツだよ』と伝えています。スポーツ選手は、練習を繰り返してから試合に臨み、その結果を踏まえて、また練習を繰り返します。この一連の流れは、算数の学習にとても似ていると思います。スポーツが好きな子どもや、問題練習を嫌がる子どもに話してみては、どうでしょうか」

理系のお父さんが算数嫌いの原因かも

算数の学力アップを目指すためには、考える時間を十分に与えることが、第一です。しかし、親は、つい解き方や正解を、子どもに教えがちです。「実は、理系出身のお父さんや、仕事で理科や数学を使っている親に、『教えすぎ』の傾向が見られます。親が、問題の解き方から正解まで教えてしまうため、子どもは『解ける感覚』を身につけるチャンスを失ってしまいます」

自分の頭で深く考える習慣が身についていない子どもは、伸び悩む傾向が見られるようです。

「親から解き方や正解を教わることで、一時的に、テストの点数が伸びることはあるかもしれません。しかし、学習内容のレベルが上がるにつれて、親がすべてを教えることは難しくなります。すると、子どもは学習内容が理解できなくなり、算数の学習が、嫌いになってしまいます」

では、理系のお父さんが、子どもを算数嫌いにしないためには、どんな工夫をすれば、よいのでしょうか。井上先生は、「子どもの現状をしっかり把握することが大切」と、アドバイスします。

「子どもに解き方を教える前に、まずは、塾や学校で使っているテキストに、目を通してほしいと思います。そして、『子どもが、どの程度のレベルの問題に取り組んでいるのか』『どんな解法を使って、答えを導き出しているのか』を確認してください。そのステップを踏むことで、子どもの学力に寄り添った教え方を考えられるのではないでしょうか」

学力アップのヒントは家庭の外にある

国語が得意な子どもの中には、読書好きな子が多くいます。そして、「読書好きの子どもの親も、読書家であることが多い」と、四谷大塚所沢校舎で国語を教える岡崎純也先生は話します。

「ただ、これは遺伝というよりも、家庭環境の影響が大きいと思います。親が読書家なら、家には本がたくさんあり、親子で図書館や書店に足を運ぶ機会も多いはず。生まれたときから、そんな環境で生活をすれば、ほとんどの子どもは、自然と読書に興味を持つのでは、ないでしょうか」

本を読むか、読まないかは、各家庭の文化とも言えるでしょう。ただし、国語の苦手意識を克服させるのであれば、家庭の文化とは異なる、「外の文化」に触れさせる必要があるようです。「子どもは、その家の文化で育ち、親と似た行動を取るようになります。一方、国語の学習では、物語に登場する人物の感情を理解したり、論説文に出てくる難解なテーマを読み解く力が、求められます。このような幅広い学力を身につけさせるとき、家の中の環境だけでは、どうしても限界があるように感じます」

新聞を読ませることで「外の文化」がわかる

子どもの語彙力をアップさせたり、文章の読解力を磨くためには、家の中にはない文化や情報を、子どもに与えるサポートが欠かせません。

「『外の文化』に触れさせる方法として、一番手軽なのは、新聞を読ませることでしょう。『家庭』という小さな社会にいた子どもが、新聞を読むことで、親子の会話には出てこなかった言葉や話題を知ることができます」

新聞を読ませることで、語彙力がアップすることも、期待できます。

「たとえば、新聞のスポーツ面に『なでしこジャパンの劇的な勝利!』という見出しが、載っていたとします。その見出しと記事の内容を読むことで、『“劇的”という言葉は、こういう時に、こんな風に使うんだ』と、理解できます。国語は、生きている言葉を使う教科です。そのため、感情と一緒に、言葉の概念をインプットする体験は、子どもの語彙力を大きく伸ばします」

新聞を子どもに読ませるときは、記事のセレクトから任せましょう。

「親が、子どもに読ませる記事を選んでしまうと、『家庭の文化』と似てきてしまいます。小学生向けの新聞でもよいので、どの記事から読むのか、子どもに考えさせてみましょう」

ほかの人の感情に目を向けさせよう

子どもを「外の文化」に触れさせるために、博物館や美術館などに連れて行く方法も、効果があります。ただし、「展示物や美術作品を見せるだけではなく、ある工夫をすることがポイント」と、岡崎先生は話します。

「大半の子どもは、基本的に自分のことしか考えていないものです。子どもの意識を変えるために、大勢の人がいる場所に行ったときは、周りの人の表情に注目させてください。自分以外の人に意識を向かせることも、『外の文化』に触れさせる方法のひとつです」

周りの人の表情に注目させるときは、必ずしも明るい表情の人だけに、目を向けさせる必要はないようです。「たとえば子どもが、つまらなそうにしている人に目を向けたとします。すると、『自分は、この作品をすごいと思うのに、どうして、隣の人はつまらなそうにしているのかな?』などと、考えるきっかけができます。つまり、自分とは違う感じ方があることに、気づけるわけです。この経験は、物語の読解で、登場人物たちの感情を理解させるときに、とても役立つはずです」

子どもに「外の文化」を体験させ、視野を広げていく一方で、普段の会話にも、気を配る必要があります。「一番いけないのは、『算数に比べて、国語が苦手だよね』のように、できないと決めつけるような言葉です。また、『お母さんも、国語が苦手だったの』という言葉も、やる気をダウンさせるので、控えてほしいと思います」

すべての教科に共通することですが、やはり親が子どもを褒める姿勢は、必要不可欠なようです。

「たとえば、子どもの書いた作文が、全体としてはよい出来ではなかったとしても、上手に書けたところを探してみてください。そして、『ここの文章は、すごいね!作家になれるんじゃない』ぐらい、大げさに褒めてみましょう」

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