10の361乗――。これは、理論上考えられる囲碁の打ち手のパターン数を表したもので、囲碁の難解さを表現する際によく引き合いに出される数字です。その囲碁の世界で活躍しているのが、湘南白百合学園高校3年の谷麻衣子さんです。
「囲碁を始めたのは5歳のとき。人気マンガの影響で、2歳上の姉と一緒に囲碁教室へ通い始めたことがきっかけです」
 谷さんの上達は速く、小学1年生でアマ初段に認定されるなど、すぐに頭角を現します。
「当時の目標は、学年数と同じ段位に到達することで、1年生で初段、2年生で二段に上がるという具合に、1年で一段ずつ昇段することを目標にしていました。その目標は達成でき、6年生でアマ六段に昇段できました」
 神奈川県在住の谷さんは、当初は地元の碁会所で対局を重ねていましたが、谷さんに太刀打ちできる相手がいなくなったのを機に、強豪が集う都内の囲碁道場で腕を磨くようになります。
 初めて全国大会に出場したのは小学5年生のときで、女子では7年ぶりとなるベスト8進出を果たして話題に。中学進学後は、「もっと強くなりたい」という思いからより厳しい環境を求め、プロ志望者が集う名門道場の門を叩きます。「毎年参加していた1か月間の夏合宿では、朝9時から夜21時まで詰碁や対局に明け暮れました」
 そうして囲碁漬けの毎日を過ごし棋力に磨きをかけた谷さんは、高校1年で出場した全国高校囲碁選手権大会の女子個人戦で念願の優勝を手にし、さらに翌年も準優勝に輝くなど、名実ともにトップアマの仲間入りを果たしました。

  そんな谷さんは囲碁のおもしろさについて、「正直、よくわからないんです。小さい頃から慣れ親しんできたので、囲碁は生活の一部という感じですね」と笑います。
 むしろ「囲碁を通じて得られる知己や精神面の成長に魅力を感じる」と強調します。「学校では出会えない多くの囲碁仲間と話すのは楽しいし、刺激にもなります。また、囲碁をやってメンタル面が鍛えられたと思います。対局では未知の局面に連続して直面するため、打つ手が見えずに動揺することがありますし、格上の相手と戦うときには萎縮しそうになることもあります。囲碁では、そういう〝弱い自分〞に克てなければ、相手にも勝てません。自分に自信を持つことが大切で、その自信を支えるものが何かと言えば、やはり日々の練習です」
 また、囲碁は学業にも大きなプラスになっているとか。「囲碁の場合、正解手だと思って打った手でも、本当に正解かどうかわかりませんし、努力しても勝てないことすらあります。ただ、一筋縄ではいかない囲碁の世界での経験は、粘り強く勉強に取り組む姿勢につながっているところがあります。これは、正解の見えない囲碁に打ち込んだことで身についた姿勢だと思います。もちろん、学校の勉強も受験勉強も言うほど余裕はない、というのが本音なのですが(笑)」
 現在高校3年生の谷さんは、受験勉強に専念するため、一時的に 囲碁と距離を置いています。「大学に合格したらまた囲碁に取り組むつもり。同じアマ強豪の姉が囲碁を通じたボランティアに携わっているので、私もその活動に参加し、囲碁の普及に貢献したいです。もちろん、プレーヤーとしてももっとがんばるつもりです」


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