未来ロボット技術研究センター
家を変え、街を変え 新しい未来をつくる
日本のロボット技術の中核を担う「未来ロボット技術研究センター」には、ロボット界のリーダーが集結。日夜、ロボット技術に関する研究開発に取り組んでいます。そのミッションは「未来をつくること」。所長を務める古田貴之氏は、ズバリそう表現します。
「"あんなものがあればいいな"と思ったら、自分でつくればいいんです。ないものをつくり出すのが我々の仕事。見たいもの、触りたいもの、欲しいものはつくって手に入れることができる。つまり、未来をつくっているんですよ」
深刻な少子高齢化など、現代の日本が抱える数々の難問にも、ロボット技術の力でアプローチしています。
「今、メインに行っているのは家づくり、乗りものづくり、街づくりです。まず、家づくりでは家の中に生体センサーを組み込み、生活しながらいつの間にか健康診断ができる在宅健康管理システムを開発しました。そうして高齢者が元気になったら、今度は街に繰り出してもらおうということで、次は乗りものづくり。超小型の一人乗りの車をつくりましたが、いくら自動操縦でも、塀の向こうからいつ人や車が飛び出してくるかはわかりませんよね。そこで、街づくりと連動させます。街全体をコンピュータネットワークでつなぎ、各所に発信機を取りつけ、乗りものに情報を送るんです。車が自動操縦を行い、街と連動して危険を回避する。5年後、10年後には、皆さんもロボットテクノロジーを応用したこの技術を利用して暮らしているでしょう」
乗りものづくり、街づくりは国土交通省が推進する国家プロジェクトでもあります。システムの一部はすでに東京をはじめ青森、静岡など、日本各地に実装配備されているとのことです。一方、「ロボット」と聞いて、私たちがイメージするような二足歩行ロボットの開発にも取り組んでいます。
「小型の『ガンダム』もつくっています。小型と言っても4mはある、世界最大級の人型ロボットです。みんな"こんなのがあったらいいな"と思っても、"でも難しそう"と諦めてしまいますよね。でも、理系にはそれができる。ファンタジーをリアルにできるから、楽しいんですよ。家を改造し、街を改造し、世の中すべてをまるまる変えることができるんです」
古田氏の発する言葉の端々からは、ロボット開発という仕事の魅力が伝わってきます。まるで小学生たちに直接語りかけるような口調で、熱いメッセージを送ってくれました。
「今は算数も理科も嫌いでOK。それより"おもしろそうだな"と、ときめくことが大切。"これをやればおもしろそうなことができるかも"と思えた瞬間、君たちはがんばれるはずだから。"見てみたい!"と思うものがあったら、それを僕と一緒につくってみよう。理系人は現代の魔法使いだから、その力で世界を変えることができるんだ。今までにないものをつくり出して、新しい未来をつくろう」

■お話を伺った先生
古田貴之
古田先生 1968年東京都生まれ。工学博士。青山学院大学大学院理工学研究科から、同大学理工学部機械工学科助手に。その後、科学技術振興機構のロボット開発グループリーダーを経て、現職。
■先生の夢はなんですか?
ロボット技術で世の中をよくしたい。名前もお金も残すつもりはないけれど、“よい仕事”を残したいですね。

教えてください!
Q.どんな小学生でしたか?
体育と図工はずば抜けてできたけれど、ほかは全然ダメでした。もともとは文系で、算数も理科も大嫌い。ただ、それができないと大好きなロボットを動かせないんだ、ということに直面して、高校生くらいからやっと理系の勉強を始めました。

Q.ご両親は理系? 文系?
母親は文系でしたが、父親は趣味でオーディオを設計するようなバリバリの理系。その一方で“ド文系”でもありました。相撲や落語、歌舞伎などは誰より詳しく、いろいろなことを教えてもらいました。理系と文系、両方の影響を受けたと思います。

Q.現在の研究を志したきっかけは?
きっかけは『鉄腕アトム』です。7歳までインドに住んでいたのですが、3、4歳の頃、近所の偉いお坊さんと話をして気がついたんです。アトムもすごいけれど、それをつくった博士はもっとすごい。そんな想いを胸に、ロボット開発を志しました。


未来ロボット技術研究センター


夢の道具を自分の手で現実のものにできる
マントをまとえばたちまち透明人間に。ペーパークラフトは動き出し、ぬいぐるみが手を振ってくれる――。
子どもたちが体験すれば歓声を上げるにちがいない、まるで夢のような研究の成果生み出している慶應義塾大学大学院のリアリティメディアプロジェクト。これらの研究内容を「技術の力で"超能力"を実現すること」と、稲見昌彦教授はわかりやすく表現してくれました。
「人間の能力を拡張するための技術とも言えるでしょう。私たちが主に取り組んでいるのは、"人の五感を拡張する研究"です。最も知られている『光学迷彩』は、人間の"見る"能力を拡張したもの。背後に隠れている物体が見えるようになり、主語を逆にすれば、自分が消えることになります。この技術で、車を運転するときの死角をなくす研究をしています。スーパーマンはX線の目を持っていますが、あれを工学的に実現して、周りを透かして見ることができるようになるんです。安全面だけではなく、後部シートに座っていても景色を楽しむことができますし、開放感を楽しむこともできます」
現在、自動車関連会社との共同研究により実用化を目指しているとのこと。のみならず、医療や防犯などの分野でも応用が期待されています。
このほかにも、人々をあっと驚かせるユニークな研究が目白押し。高速で動くものをはっきりと見ることができる"ストップモーションゴーグル"や、印刷物の明暗の境目のような、本来触れられないものを指先で感知する"スマートフィンガー"など、アニメやマンガの世界が現実になったかのよう。
「この仕事の一番の魅力は、夢を自分の手で実現できること。誰かが実現してくれるのを待つ必要はありません。小学生の頃、私も中学受験を経験しましたが、勉強に疲れてくると『ドラえもん』が助けてくれないかな、とよく思ったものです。折りにふれて、机の引き出しを開けて確かめていました(笑)。でも、いくら待っても来てくれない。そこで、自分で"ひみつ道具"をつくる人になろうと研究者を目指しました。我々の使命は、みんなに『こういうのが欲しかったんだ!』と言われるものをつくり出すこと。まさに、未来をつくることだと思っています」
『ドラえもん』は、今でも稲見教授の愛読書とのこと。アイデアがなかなか湧いてこないときは手に取り、読み返しているそうです。
「新しい研究について考えるときは、10歳の自分だったらそれを欲しがるだろうか、あるとうれしいだろうかと、小学生の気持ちになって思い浮かべます。そこに立ち返ると、多くの人たちが欲しいと思うようなものができるんです。小学生のときにおもしろい、楽しいと思うことが、将来のオリジナリティにつながっていきます。ですから、小学生の皆さんには私の場合の『ドラえもん』のような、今のうちに自分が楽しいと思えるものを見つけて、大切にしておいてもらいたいですね」

■お話を伺った先生古田先生
稲見昌彦
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。東京大学大学院工学研究科博士課程修了。電気通信大学教授などを経て現職。アメリカ『TIME』誌で、Coolest Inventionsを受賞。
■先生の夢はなんですか?
“夢を実現すること”が夢。子どもの頃に憧れた『ドラえもん』の世界を、自分の手でつくり出したいですね。

教えてください!
Q.どんな小学生でしたか?
“つくる”と“調べる”が大好きな小学生でした。夏休みに“羽ばたく紙飛行機”をつくったり、都内にある水元公園で見かけた脚のない鳩について、その原因を調べて発表したり。原因は釣り針だったので、公園のクリーン作戦を実行しました。

Q.ご両親は理系? 文系?
両親とも、どちらかと言えば理系。工作好きな父からは、いろいろなもののつくり方を、母からは植物の名前や見分け方などを教わりました。工業高校の教師である父のところに遊びに行くと、いろいろな工作機械に触らせてもらえるのが楽しみでした。

Q.現在の研究を志したきっかけは?
一番のきっかけは、やはり『ドラえもん』。高校生のとき、自分で運転するフライトシミュレーターのようなゲームに出会ったことも大きかったと思います。コンピューターで“体験をつくる”ことができるのに感動し、これを研究しようと決めました。


メディアデザイン研究科


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