スポーツのジュニアチームの監督や習いごとの先生たちは、いわば子どもを育てるプロ。
親や学校の先生とは違った立場から子どもたちと接しています。
日頃、どのような褒め方や叱り方をしているのか。子どもの能力を高める方法を聞きました。

うちのチームに所属する子どもたちの目標はただひとつ、将来、プロサッカー選手になることです。そんな彼らの監督として大切にしているのは、人間性を高めながら、サッカーの腕を鍛えるということ。サッカーだけがうまくても仕方がない。人間性や社会性も含めた広い意味で、すべてのサッカーをしている人たちの憧れの選手になってほしいと考えています。 

そのために、僕は、日々よい習慣をつけることを大事にしています。すぐには身につきませんが、子どもたちと信頼関係を築きながら、何が大切か伝え、よい方向に促していくことで、少なくとも何がよい習慣なのかを認識してくれるようになります。 

褒めるにせよ、叱るにせよ、子どもと接する中で気をつけていることはふたつあります。ひとつはタイミングを逃さないこと。「ナイス!よかったよ」とか、「さぼらない!」とか、よいこと悪いことをその瞬間にわかるようにしてあげています。もうひとつは、子どもに意見を言わせること。ただ褒めたり、頭ごなしに叱ったりするのではなく、なぜ褒められ、叱られているのかの理由を子ども自身にも考えさせます。「なぜ、褒められていると思う?」「なぜ、そうしたんだ?」と聞いてしゃべらせるのです。もしわからなければ、「これがよかったんだよ」「○○したのがダメだったんだ」と伝えればいい。はじめはわからなくても、自分で考える習慣ができれば、だんだんとわかるようになってくるものです。 

「自分の意見をきちんと言いなさい」と日頃から言っていますが、自分の考えを口にしないと、自分の意志が合っているのか間違っているのかわかりません。実際、子どもの意見を聞いてみると、こちらが思ってもみなかったような考え方を持っていることに気づきます。僕が勉強になることもあるくらいです。子どもに教えながら、僕も子どもに教えてもらっている。一方通行ではない、そういう関係が築ければ、よいチームになっていくと思いますし、子どもの力を伸ばすには「どうして?」と問いかけ、自分の言葉で考えを言わせることが大事だと思います。 

最近は、褒めた途端に「褒められたからいいや」と満足してしまう子が多いです。だからこそ、なぜ褒めているのか僕も伝えますが、選手たちにも考えてもらう。叱るときも同様です。そういう積み重ねで、自立した、存在感のある選手、プレーはもちろん、周りから「こいつ、すごい」って言われる選手を育てるのが、僕の夢です。

褒めるときは、その場ですぐに褒めるようにしています。逆に、叱るときはじっくり話を聞いた上で理由を具体的に説明します。こうしないと周りにこんな影響を与える、そこを直せばこうよくなると話すんです。 

僕はトランペットのプロだったことはあるけど、教育者ではありません。指導を始めた頃は、自分なら簡単にできることを子どもができないと、ついカッカして怒ってしまっていたんです。ところが、あれこれ言っても子どもは動かない。ますます離れていってしまいました。そして、できないのは子どもが悪いのではなく、僕がちゃんと伝えきれていない、伝え方が悪いんだと気づきました。子どもに1、2回言ってもダメなんですよ。しつこいくらいに何回もくり返し教えれば、どの子もできるようになるんです。 

管楽器の中には、音を出すことさえ難しいものがあります。でも、コツを教えれば必ず音は出る。音が出ずに子どもがイヤにならないように、その子に合わせて、初めは細かいところから慎重に教えます。子どもたちは本当にさまざまで、精神的に大人の子もいれば、幼い子もいる。でも、誰でも必ず伸びます。背丈と同じで、ある時期ぐんと成長するんです。今は通過点なのだから、この子はこうだからと決めつけてはいけない。一人ひとりと向き合い、よく見て、接していくよう心がけています。音が出るようになれば、レベルの高い”ホンモノ”の指導者を呼びます。マーチングの本場・アメリカで、有名なバンドのインストラクターをしていた方に教えてもらうと急にうまくなる。力を伸ばすために、本物に触れさせることは大切なんですよね。 

できる子・できない子を分けても、バンド全体のレベルは上がりません。合唱でもきれいな声の子だけが大きな声を出すと、ハーモニーが生まれないでしょう。ですから、みんなで必ず一緒に練習しています。そうして同じ時間を共有し、子どもたちには皆で力を合わせれば、こんないいものができるんだという経験をしてもらいたいと思っています。

クラスのきまりは一生懸命に遊ぶこと。芝居はプレイ、遊びだと思っているので、いろいろなゲームをするんです。でも、ふざけて違うことをしたり、関係ないおしゃべりをしたりする子がいると叱ります。その場で解決してあげないと次に進めませんから、いったんレッスンを中断し、マンツーマンで徹底的に、納得するまで話します。 

褒めるのは約束をきちんと守ったり、友達の気持ちを考えてあげられたとき。がんばっているところが見えれば、必ず褒めます。ある女の子は、稽古で一度もセリフを言えなかったのが、発表会の2週間前になって初めて言えるようになったんです。思わず大声を出して「よかったね!」と褒めると、クラス全員が自分のことのように喜んでくれました。セリフを言えたこともうれしかったけれど、クラスのみんなが女の子の気持ちを感じてくれていたこともうれしくて、ウルッときましたね。 

芝居は自分じゃないものを演じるので、他人の気持ちを考えられなければなりません。そのために、稽古やゲームを通して、子どもたちにはいろいろなことを感じて表現してもらいたいと思います。すると、何らかの形でパカッと自分の殻が外れる。自分を破らないとほかの人にはなれないし、まずは、殻を破ることが大切なんです。 

ひまわりには役者になりたいという子ばかりではなく、うまく人前で話せないのでと、親が心配して入団するケースもあります。そういう子に対しては特に、結果をすぐに求めないこと。大人はどうしても返ってくるものばかりを期待しますが、中には時間がかかる子もいます。自分を表現できるようになるのを、とにかく待つことです。 

子どもたちと接していると、家で叱られているかいないかがわかります。「ダメだよ」のひと言で急に泣き出したり、かたまって何もできなくなったり。そういう子はたいてい言うことを聞かずにわがまま放題。親が叱っていないんだろうなと。自分の子どもがかわいいのは当然ですが、かわいいと思えばこそ一人で生きていく力をつけてあげなければと思うんですけれどね。

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