中学入学以降は、男女の差はどのように現れてくるのでしょうか?
私立中高一貫校の校長先生に伺いました。

男子校


知りたいという欲求
内発動機に目を向ける

 男の子でも女の子でも、中高で身につけてもらいたいことは基本的に変わりません。たとえば、女子校なら体育祭で騎馬戦をするわけにはいかないかもしれませんが、今の時代、女の子だからできないということは、ほとんどないでしょう。もしも、私が女子校の校長であったとしても、現在と同じ教育を行っていたと思います。

 この6年間は将来、社会に出て活躍するための土台づくりの時期です。いろいろなものを取り入れながらも、周りに流されない、しっかりとした自分を持つこと。「恃(たの)み」になる己をつくることこそが中等教育の意義です。これは男女に関係なく、女の子にも絶対必要なものではないでしょうか。

 巣鴨中学校は「文武両道」の男子校とよく言われますが、それは「勉強もスポーツも両方できる」という意味とは異なります。文武両道とは姿勢のこと。目の前の課題に対していやがらずに取り組もうという姿勢、本人にやる気があるかどうかです。

 また、この時期は年齢が上がるに従って、知りたいという欲求が高まってくるものです。そのとき適切な指導をしてあげることが大切。教え育む「教育」だけではなく、自分がどう感じ、どう考えるかに目を向けた教育、「内発動機」に重きを置いた「啓発」が必要になります。

 本校の創立者が唱えた「硬(こう)教育」はまさにこの内発動機を前面に打ち出した教育にほかなりません。自分の努力で何かをつかむ。つまり、自分からやる気を出して努力しなければものにはならないということです。ただ文字のイメージからか、巣鴨といえば硬派の学校だと思われてしまいがちなのがちょっと残念なところです(笑)。

伸びしろはまだ十分
成長を信じて見守ろう

 保護者の方、特に男の子のお母さん方には、もう少し子どもを放っておく度量を持ってもらいたいですね。親が手を出しすぎると、成長を止める恐れがあります。何かあったとき親にカバーしてもらえると、子どもが親の手を利用する可能性があるんです。学園祭でわが子を応援する様子などを見ていると、子どもが母親のアイドルになってしまっているかのような感じを受けることがあります。本当にわが子をかわいいと思うなら、“かわいい子には旅をさせろ”でしょう。

 反面、男の子は意外に弱い部分もあるので、その点にも気をつけてください。まず、母親は子どもの前では絶対に泣かないこと。模擬試験で成績が下がって、ショックを受けても陰で泣くように。一度下がればあとは上がるしかないんですから、とにかく落ち着いてください。男の子というのはお母さんの涙にすごく弱いものなんですよ。

 中学校に入ると、男の子はみるみる成長します。入学したばかりの頃は制服が歩いているような状態のヒヨッコだった子が、不思議なものでいつの間にか制服が板につき、一人前になって卒業していくのです。

 小学生の段階の成績で、有名大学に進めるかどうかなんてわからないもの。まだまだ十分な伸びしろがあります。それなのに中学受験の志望校合格を最終目標にしていると、子どもは伸びきったゴムのようになりかねません。目標はあくまでもその先、社会に出てどれだけ活躍できるかです。わが子の成長を信じ、見守りましょう。

女子校


かけがえのない存在と
伝える声かけが大切

  一歩一歩確実に成長していくことが女の子の特徴です。瞬発力のある男の子に対し、女の子には持続力があります。毎日、少しずつでも課題を与えると、どの子もそれに応えようとがんばってくれるものです。ですから、本校では小テストなどを通して、着実に力が着くように指導しています。

 その一方、女の子は感受性が強いので、感情で動く部分もあります。好きになった先生の教科はとてもがんばるけれど、嫌われてしまったらおしまい。女の子の間では、「あの先生はこんな人だ」などの噂もあっという間に広がります。一人だけヒイキしているように見られるのを避け、全員に同じように対応しなければいけません。一人ひとりに常に声をかけ、「きみはトレビアン、きみが大切だよ」というメッセージを伝えることが大切です。

 受験を終えて入学してきた子どもたちを迎え、いつも難しいなと感じることがあります。それは、彼女たちが“普通の子”になるのを受け入れられるかどうか。つまり、これまで周りから一目置かれていたとしても、トップクラスの優秀な子たちが集まるのですからこれまでの通りにはいきません。

 こういうときこそ、声かけが必要になります。自分は全体の中のひとりではなく、かけがえのない存在なんだと気づかせるのです。そのためにも、一人ひとりに役割を持たせるようにしています。クラスの係や委員、学校行事の役員などを任されると、女の子は真面目にきちんと取り組むものです。そこで「がんばっているね」と褒めます。優劣ではなく、役割の違いなんだと理解させることがポイントです。私は、生徒たちによくこう話しかけます。

「体育の先生と数学の先生に差がありますか? 音楽の得意な子と英語の得意な子のどちらが偉いなんてないよね。私たちは皆、違った能力を与えられているからすばらしいんですよ」

 子どもたちには中高の6年間で、彼女たち各々の違いを見つけてもらいたいと思います。そして、その与えられた能力を自分のために使うのではなく、他者との関わりを通して、どのように生かすか。ほかの人と関わることによって、その力は一層豊かなものになるでしょう。他者の喜びを自分の喜びとする人に成長してほしいですね。

ほかの子と比較せずに
がんばりを認める

 受験生の親は、どうしても成績に一喜一憂してしまうもの。子どもの結果を親の結果と捉え、内心では「少しでも上位の学校に行ってほしい」と思っていませんか。口では「あなたの自由にしていいのよ」と言っていても、子どもは本音と建前を見抜いています。親の気持ちを忖度(そんたく)し、その気持ちに沿いたいと思ってくれるものなのです。

 ところが、子どもが期待に応えようとがんばってクリアできそうになると、親はまたハードルを上げる。一生懸命に勉強すればするほどノルマが多くなるのなら、やってられないという気にもなるでしょう。子どもは適当なところで、自分の力を押さえてしまおうとします。親は励ましているつもりでも、子どもの成長には逆効果なのです。

 何よりやってはいけないのは、ほかの子と比べること。比較しても子どもは変えられませんし、一番かわいい存在はわが子に決まっていますよね。その子自身のがんばりを認め、「もし失敗しても親が支える」とメッセージを送り続ければ、子どもは自分で目標を作り、がんばることができます。

 子どもは親の未来への希望であり、光、喜びです。自分が愛される存在だという喜びを知っている子は、ほかの人にも喜びを与えることができます。自分の能力をいかに人のために使うかを、自ら考えるようになるのです。

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