予防接種は11月中加湿器が予防に有効

 直前期に最も神経を使うことの一つに、子どもの体調管理が挙げられると思います。毎年流行するインフルエンザや、ノロウイルスなどを予防するためにも、万全の態勢をとる必要があります。
 インフルエンザ対策としてまず挙げられるのは、医療機関でのワクチンの予防接種。ただ、どのタイミングでワクチンを打てば良いのか、迷う人も多いようです。
 「できるだけ早めに接種する方が安心ですね。遅くとも11月中に打っておきたいですと話すのは、小児科医の中野康伸先生。自身が院長を務める中野クリニックにも、毎年100人ほどの受験生が訪れると言います。
 「予防接種を受けておけばインフルエンザへの感染をある程度予防でき、もしかかってしまっても、重症化する可能性を抑えられます。近年、ワクチン接種量に関する規定が変わった結果、一度打てば長く効果を保てるようになりました。10月に打っても、4月くらいまでは効果が持続します。逆に直前過ぎると、ワクチンの効果が受験期に合致しないこともあります。ワクチンを打ってから、身体の中に抗体ができるまで1か月程度かかるため、なるべく早めに予防接種は済ませておきましょう。また、予防接種は家族全員で受けておくことが基本。試験直前に父親がインフルエンザにかかり、あたふたする、というようなケースも過去にありました」
 中学受験を控えた家庭でのインフルエンザ対策として、多くの家庭で実践しているのが、マスクの着用、手洗いとうがいの徹底、そして近年は空間のウイルスを除去するといった商品の使用も挙げられます。医師から見ると、これらにはどれくらい効果があるのでしょうか。
 「医学的に考えると、インフルエンザウイルスは非常に小さく、マスクではその侵入を阻止できません。手洗いでウイルスを落とすことは有効ですが、一度体内に入ってしまえばうがいをしてもあまり意味はありません。空間ウイルス除去グッズは、有効性を示す医学的データが今のところ乏しく、過信しない方がいいでしょう」
 これらの対策だけでは、やはり限界があるよう。ただし、まったく意味がないわけではありません。
 「感染者の咳やくしゃみで唾液などが飛散し、それを吸うことで感染する飛沫感染は、マスクで防ぐことができます。ただ、つけ方を間違えると効果が下がります。鼻筋に沿わせるように押しつけ、隙間をつくらないように装着しましょう。うがいは、ウイルス性ではなく細菌性の風邪の予防にある程度の効果があります。やって損はありません」
 そのほかに、加湿器をつけるといった対策をとる家庭もありますが、それは有効な対策のようです。
 「ウイルスというのは、乾燥した環境で活発になります。また、空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能(繊毛運動など)が低下します。それらを抑制することを考えれば、加湿器を使うのは正しい予防法だと言えますね」


特定の食材に頼らずバランスの良い食事を

 身体をつくる日々の食事。実際に食べることで風邪やインフルエンザを予防できるような食材はあるのでしょうか。
 「これを食べれば予防できる、と証明されている食材はありません。ただ、粘膜を強化するビタミンAや、身体の抵抗力を高めるビタミンCは、インフルエンザや風邪の予防に効果を発揮すると考えられますから、それらを含む野菜を食べるのは良いですね。ちなみに最近注目されているヨーグルトは整腸作用があり、免疫力を上げるというデータがありますから、これも結果的に風邪を引きづらくするかもしれません。ただし、過信は禁物。何か特定の食品に頼るのではなく、肉、魚、野菜をバランス良く摂るという基本的なことを毎日続けるのが一番でしょう。逆に、たとえばジャンクフードのような高脂肪食ばかりを食べていると、栄養のバランスが崩れて、場合によっては風邪を引きやすくなるかもしれません。やはり基本はバランスの良い食事なのです」
 インフルエンザに次いで注意したいのが、ノロウイルスです。
 「ノロウイルスは、かかると対処法がありません。ただ患者本人に体力があれば、かかっても重症化はしにくいものです。基本的には規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけましょう」
 自らも中学受験を経験している中野先生にも苦い思い出があるそうです。「試験前日、私の両親は激励の意味も込めて、豪華なステーキを振る舞ってくれました。ところがそれが良くなかったしく、当日はおなかを壊して……。青白い顔で試験を受け、結局不合格でした。第二志望の学校だったのが不幸中の幸いでしたが(笑)」
 〝焼肉〞で食中毒を起こすことは、実は多いそう。その一番の原因は、〝生焼け〞で食べるせい。たとえ牛肉であっても、きちんと火を通して食べるように気をつけましょう。
 しかし、こうした予防法を実施していたのに、不幸にも当日、体調を崩してしまった……。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。
 「私の患者さんでも、試験当日の朝に発熱した子がいました。そのときは強めの薬を出して、なんとか乗り切りました。万人向けにつくってある市販薬では急な症状改善は期待できませんから、近所に〝かかりつけ医〞を持つことが、いざというときの備えになります。あとは、受験する学校側に状況を伝え、別室受験をさせてもらうなど、まずはあきらめずに相談してみる方が良いでしょう」
 また、本人ではなく家族がインフルエンザにかかってしまう恐れもあります。その場合、生活空間を分ける必要があります。
 「受験が終わるまで、本人と接するのを我慢してもらうしかないでしょうね。可能ならば実家やホテルなど、別の場所で過ごしてもらうことをおすすめします」

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