自分から受験を始めたと思わせることが大切
中学受験のスタート時は、子どもの 主体性を引き出すための布石を打つ大切なタイミングです。多くの子どもは「親がすすめる」という理由で塾に通い出しますが、このときの導き方が、その後の受験生活全般に影響を与えることも。子どもに"やらされている感"を持たせないために、親はどんなことを心がければよいのでしょうか。
4人に共通して挙がった意見は、「あくまで自分から始めたと思わせること」です。そのためには、親が受験について、上手に子どもに伝える必要があります。
「子どもに話すときは、いかにフェアに、かつ、うまく話を持っていくかがポイントです。そのためには、何となく切り出すのではなく、事前にきちんと準備をしておくことです。話す内容は子どもの気質によって違ってくると思いますが、子どものタイプを客観的に把握し、どう言えばわが子の好奇心が動くのかを考えておく必要があります。うちの子も中学受験を経験しているのですが、試されることが好きな性格で、知らないことに挑戦するのをおもしろいと感じる傾向がありました。私はそこを刺激するよう意識し、『中学受験ってなかなかやり甲斐がありそうだね。もしあなたが望めばチャレンジしてもいいけれど、どうする?』と切り出したところ、目を輝かせました。ただし、私はここで受験の代償や受験しなかったときの進路なども、合わせてきちんと伝えました。子どもはある程度納得した上で受験生活に入ったと思います。結果的に最後までやり抜きましたし、私が何も言わずとも主体的に勉強をしてくれました」(菅原氏)
いいことばかり並べ立てるのではなく、子どもにとってのデメリットまで明らかにした上で本人に考えさせましょう。そうすることで、納得して受験生活に入ることができます。
とは言え、デメリットを話すことで、受験を躊躇する子どももいるでしょう。そのような子どもの場合、どうやってやる気を起こさせればよいのでしょうか。
「まずはそれとなく『受験が必要な中学があって、その中にはさまざまなユニークな学校がある』ということを伝えると良いと思います。子どもの興味や将来の夢、憧れの人などと、中学のカリキュラムや部活などを結びつけて解説し、じゃあやってみようかな、と子どもが選んだ形にするのが理想ですね」(福島校舎長)
「受験が必要な中学校への進学に興味を持ってもらわなければいけません。そのためには、子どもの目線になって考えること。先輩や好きなスポーツ、趣味など、子どもが興味を持っていることをきっかけとして、『ここの学校に行けばそれがかないそうだね。でも入るには受験しなければいけないみたいだよ』と持っていくのがいいでしょう」(成瀬校舎長)

1 "なぜ受験をするのか"を話し合う
学びの楽しさを意識的に伝えよう
中学受験そのものだけではなく、勉強がいかに楽しいものかを伝えられると、それが主体性を育むための礎となります。
「小さい頃、怪我をして衣服に血がついたことがありました。それを母のところに持って行くと、『これは冷水で洗わないと落ちない』と教えられたんです。それが何だか不思議で、事典で調べたところ、血液は主にタンパク質で構成され、熱で変性する性質があることを知ったのです。こういった科学と生活が結びつく話は、いくつもあるはずです。算数にしても、ちょっと工夫すれば短時間で答えが出る計算方法など、日常で使える知識はあります。勉強を、日常の疑問を解決したり、生活していく上で役に立ったりするものだと位置づけると、世界が一気に広がり、学ぶことが楽しくなるものです。日常生活の中にあるちょっとした疑問や、子どもが抱く好奇心は、何らかの形で勉強につながっていることを、教えてあげてください」(小林氏)
では、反対に子どもの自主性が開花する妨げとなるような中学受験のすすめ方はどんなものでしょう。
兄弟姉妹間に生まれる競争意識については年齢差も重要なポイントです。
「親の意志の押しつけではいけません。もし受験をしてほしいと強く思っていたとしても、それを表に出さず、あくまで中立という雰囲気でいるべきです。また、いい大学やいい就職先など、今の子どもにとって興味の外にあることをいくら話しても響きません。あくまで子ども主体で話をするべきですね」(菅原氏)
「『だめなら公立行けばいいじゃん』など、初めから子どもの可能性を信用しないような声かけはNGです。親は『応援するから一緒にがんばろう』とはっきり言い切ることが大切です」(福島校舎長)

2 志望校は親の独断で決めつけない
子どもが自ら目標を持つ最大のチャンス 
志望校の決定は、受験生のモチベーションを最も上げやすいシーン。それまで何となく勉強をやっていた子どもも、目標がはっきりすることで一気に変わり、主体性を持って自ら机に向かうようになるケースも多くあります。ここでいかに子どもの心に火をつけられるかで、その後の勉強に対する姿勢が違ってくると言えるでしょう。
志望校の決定で大切なのは、親の意見を押しつけないこと。頭ではわかっていても、無意識にそうなっている可能性もありますから、冷静に自らを振り返る必要がありそうです。
「『自分の出身中学に入れたい』『兄弟揃ってあの学校に通ってほしい』。親にもいろいろな思惑があることでしょう。しかし、いくら強い思いや希望があっても、それを子どもに押しつけてはいけません。たとえ我が子が親の要望をしぶしぶ受け入れたとしても、自ら立てた目標ではありませんから、モチベーションも上がらず、せっかくの主体性を引き出すチャンスが失われてしまいます。自ら勉強するようになるためには、子ども自身による動機づけや目標の設定が不可欠であることを、まずは知ってほしいですね」(小林氏)
「無意識な"高望み"にも注意したい」と小林氏は続けます。
「親が思い描く志望校というのは、子どもの実力よりも概ね高い傾向にあります。上を目指すことは構わないのですが、それはあくまで子どもの思いがあってこそ。親が勝手に上を目指すことを押しつけても、自分の意志が伴っていなければ、苦痛でしかありません。長い目で見たとき、小学生のうちから勉強を苦痛と感じることがいいことかどうか、考えてみてほしいと思います」(小林氏)
せっかくの志望校選びという大事なシーンをマイナスの結果にしないために、親はどのようなことを意識すればいいのでしょうか。
「大前提は、まず子どもの気持ちにしっかりと耳を傾けること。ありきたりですが、それがすべてと言っても過言ではありません。親の希望はもちろんあって然るべきなのですが、ひとまずそれは置いておき、子どもがどう思っているかをきちんと聞いてあげることが大切です。中学に行ったら何をしたいのか。やりたい部活はあるのか。共学がいいのか、男女別学がいいのか。通学時間をどれだけ重視しているのか……。子どもに中学校生活をできるだけ具体的にイメージさせ、それを踏まえた上で、そこに親の意見も加えて志望校を絞り込んでいくといいでしょう」(菅原氏)
では、そうして絞り込んだ志望校に足を運んだのに、子どもが気に入らなかった場合はどうしたらよいのでしょうか。
「学校見学で親が気に入ったところでも、子どもがあまり乗り気ではない様子なら、ちゃんとその意見を聞くこと。その上で、子どもの疑念を払拭できそうならその努力をすべきでしょう。ここで子どもの気持ちを無視してしまうと、不本意な気持ちで走り出してしまうことになり、自らやってやろうというモチベーションも起きずに、不完全燃焼に終わってしまいかねません」(菅原氏)



自ら選んだように子どもをうまく導く 
押しつけず、子どもの意志を尊重することを意識した上で、親は具体的にどんな行動をとればいいのでしょう。子どもが主体となって志望校を選んでいる気持ちにさせつつ、親の希望する学校に興味を向けさせることはできるのでしょうか。
二人の校舎長は、「親が事前にリサーチするかどうかで成否が分かれる」と口を揃えます。
「まず親は親で、志望校をしっかり持っていた方がいいですね。親がブレていては、子どもから意見を求められたときに明確に答えられないからです。そこで必要なのがリサーチです。親世代が中学生だった頃とは、学校の質もランクも大きく変動していますから、ブランドで決めるのではなく、事前に自分が納得いくまで調べて決めなければいけません。そうすれば、その学校に子どもの興味を引くものや好みに合う特徴があるかもわかるはずです。その上で、子どもには『ここならあなたの好きな○○ができるじゃない』などと、ポジティブなイメージを与えてから、学校見学に行くといいでしょう」(福島校舎長)
「『自分で選んだ』と子どもに思わせることが大切ですから、親が行かせたい学校があるなら、子どもがグッとくるポイントをあらかじめリサーチしておくこと。学校見学も、漠然と足を運ぶのではなく、まずは親が一人で行って子どもの興味を引きそうなところをチェックし、実際に連れて行ったとき意識的にそれを見せるようにするといいでしょう。このときに大切なのは、"共感"。子どもが興味を示したところに対しては『良かったよね、お母さんも良かったと思うよ』などとしっかり共感を示すことで、子どもは自然にその学校に好感を持つようになります」(成瀬校舎長)
子どもの興味や好みをしっかり把握した上で、親が希望する学校にその要素を見つけ出すことが、志望校選びのポイントのようです。
では、子どもの反発を招いてしまうNG行動とは、どのようなものなのでしょうか。
「親が、自分の希望する学校以外の悪口を言うようなことは避けるべき。思春期に入りつつある時期ですから、そのような親の意識に対し、子どもはときに反発します。親は感情に流されず、あくまで事実を比較して子どもと話す意識を持ちましょう」(菅原氏)
「兄弟で比較されることを嫌がる子は多いもの。『お姉ちゃんが通っているからここにしたら』などと、軽い気持ちで口にしたとしても、それが子どものプレッシャーになることがあるので注意してください」(成瀬校舎長)
志望校選びはどうしても、学校ありき、学力ありきになってしまい、子どもの将来とどうつながるのかという意識が薄れがちです。
「もちろん合格するために勉強しているわけですが、たとえ第一志望に落ちてもそこで人生が決まるわけではありません。親はどんと構え、思い切って我が子の好きなように選ばせてあげると、子どもは自分が信頼されていることを感じ、自らの目標に向かってさらに強い気持ちでまい進することができるのではないでしょうか」(小林氏)




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