目標達成に向けて全力を尽くしたという経験が、今も心の支えに

プロ棋士になるために中学受験を志した
日本が世界に誇る伝統文化にして、頭脳の格闘技とも称される将棋。今年、その最強者の座を争うプロ将棋界の七大タイトル戦のひとつである、王座戦五番勝負に登場し、羽生善治王座と死闘を繰り広げた中村太地氏は、「将棋のプロになるために中学受験を志した」と話します
「プロ棋士になるには、日本将棋連盟の『奨励会』に入会し、そこで研鑽を積んで勝ち上がる必要があります。公立に進学すると、高校や大学の受験勉強に時間を取られ、修業に専念することが難しくなると考え、高校・大学受験の必要がないエスカレーター式の中高一貫校を目指したんです」
当時、タイミングよく自宅近くに早稲田実業学校が移転してきたことから、中村氏は同校への進学を希望。将棋の勉強と受験勉強を両立させるあわただしい毎日を送る中、小6の夏に、"東大入試より難しい"とも評される奨励会試験に合格します
「将棋と受験勉強の両立は大変でしたが、プロ棋士になるという目標をかなえるための受験でしたし、早稲田実業学校のことを調べていくうちに、『ぜひ入学したい』と強く思うようになったので、集中力が途切れることはありませんでした」
入試が終わると、中村氏は順調に昇級・昇段を重ね、早稲田実業学校高等部在学中の2006年に奨励会を突破。晴れてプロ棋士になります。


ライバルがいるから自分も伸びる
中学受験と将棋界には共通点がないように思えますが、「実力次第という意味では同じ」と中村氏は話します。
「将棋界は、完全実力主義の世界。結果だけで評価されますから、よい結果を残すために、地道な努力を毎日コツコツ積み重ねることが必要です。中学受験でも、最初はなかなか志望校の合格ラインに届かず苦しい思いをしましたが、あきらめずに努力を続けました。もちろんすぐには成績に結びつかないのですが、数か月もすると、必ず成果になって表れてきました。振り返ってみると、受験を通して"継続すること""目標に向かってがんばること"の大切さを学べたことが、プロでやっていく上での支えになっていますね」
現在、日本には約160人のプロ棋士がいます。どの棋士も文句なしに将棋が強く、実力が拮抗している中でお互いに切磋琢磨しているため、子どもの頃のように、どれだけ努力を積み重ねても、自分の実力が上向いていることを実感できる瞬間はなかなか訪れないのだとか。
「だからと言って、そこで努力を怠ると、瞬く間に坂道を転げ落ちていってしまいます。それほど厳しい世界ですから、努力は必ず報われるということを信じて今も研鑽を重ねています。そうした強さは、中学受験の経験が土台になっていると感じています」
プロとして結果を残すためには、自分との戦いに勝つことはもちろん、他人との熾烈な競争を勝ち抜いていく必要があります。プロに欠かせないその「競争心」を養う上でも、中村氏にとって中学受験は大きな意味があったようです。
「私が通っていた塾は、生徒数が少なかったこともあって、周囲にライバルと呼べる存在がいませんでした。それを好ましくないと考えた塾の先生のすすめで、難関校を受験する優秀な生徒が集まる特別クラスに参加したんです。周囲は僕よりもはるかに成績のいい生徒ばかりで、最初は自分の実力のなさにショックを受けました」
一度は心が折れかけたものの、「逆にそれが刺激になって競争心が芽生えた」と中村氏。「この人たちに追いつけば必ず合格できる」と発奮し、見事に合格を手にします。
「将棋は、強い人と戦うことで棋力が伸びる。勉強も同じで、優秀な人と同じ場所にいるだけで自分の力が引き上げられるんです。それを実感できることも、中学受験のよい面ですよね」
"挑戦することさえ至難の業"と言われるタイトル戦に2年連続で登場するなど、今や中村氏は将棋界の次代を担うホープ。将来を嘱望されるトップ棋士のひとりになっています。
「結果を残すために努力を重ねる姿勢、ひとつの対局に全力を尽くす執念、強敵に果敢に挑む強い意志など、トッププロに欠かせない態度や心構えの素地は、すべて厳しい中学受験が育んでくれた気がします」


中村氏に一問一答

Q1 どんな小学生だった?

将棋と勉強を両立させる必要があったので、時間管理に長けた子どもでした。今思えば、小学生の頃が一番しっかりしていたかもしれません(笑)。それ以外では、放課後に友だちとサッカーを楽しむごく普通の子どもでした。

Q2 他校にはない母校の魅力は?

新しいことに触れる機会や選択肢をたくさん与えてくれるところですね。ユニークな授業も多く、雑誌の見出しを題材にして、「その見出しをつけた編集者は何を考えていたのか」をみんなで議論する授業なんかもありました。

Q3 母校に向いているのはどんなタイプ?

「自分を成長させたい」と思っている子どもです。成長できる機会や場面をたくさん提供してくれる学校なので、それを吸収して自分のものにできる子どもなら、どんな子どもでも大丈夫だと思います。

Q4 中学受験に挑む子どもにひと言!

中学受験は一生に一度しか経験できません。「受験してよかった」と思えるように、精一杯の努力をしてください。「目標のために全力を尽くした」という経験は、後で必ず生きてきます。それと、ご両親への感謝も忘れずに。

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