取材・文/西田知子、東雄介、船木麻里 写真/アーク・フォト・ワークス(清水亮一)、石井和宏 イラスト/近藤達弥

両親を気遣う娘のやさしさに気づく

市川宏美さんは、入試直前の1月に夫が入院、手術という大きなアクシデントを乗り越えての受験でした。手術自体は10月に決まったものの、「それをいつ娘に伝えたらいいか悩んだ」と振り返ります。「入試直前に伝えるほうがショックが大きくなると思い、夫と相談して12月の初めに伝えました」

娘は具合が悪い父の様子を近くで見てきたせいか、手術のことを聞かされても、特に落ち込んだ様子を見せなかったそう。「夫の病気が気がかりだったと思いますが、表情には出さず勉強をがんばっていました。親に気を遣っているのがわかり、娘に対して以前よりもやさしい気持ちを持てるようになりました」

と言うのもそれまで、娘の生活態度が目につき、親子でぶつかることがしばしばあったのです。「女の子なのに『?かよ!』などと乱暴な言葉を使うので、私もついカッとなって叱ってしまいました。また、使った物を置きっ放しにする、脱いだ服をたたまないといった生活態度を注意しても聞く耳を持たなかったので、イライラさせられました」 

ただ、入試までの日数が減るにつれて、「毎日怒っている状態が自分でも嫌になった」と語ります。「娘は受験だけでなく父親の病気もあって、心の中では葛藤を続けていたのだと思います。そんなときに私が強く叱ったら、余計に反発を招くだけ。もっと娘の気持ちに寄り添うことを考えるようになりました」

「手術を控えた夫からも「君が穏やかに言えばきっと伝わるから」と言われ、厳しい口調で注意することを控えるように努力しました。「娘も、夫の看病で疲れている私に、『塾のお弁当はお店で買うからいいよ』と言ってくれて。そんな言葉をかけられると、娘が脱いだパジャマをベッドに置いたままにしていても、〝まあ、しょうがないか"と思いましたね」

子どもの底力を信じて前向きな言葉かけを

直前期は娘が塾にいる時間が増え、母娘の会話が少なくなっていました。「そんなときこそ、塾の送り迎えの車内で学校や塾の話をして、娘が孤独感を感じないようにサポートしました。車内では、娘が大好きな嵐のDVDを見せることもあり、それがリフレッシュになっていたと思います」

一方、市川さんの息抜きは、同じ塾の母親たちとおしゃべりすること。「主に女の子のお母さんたちと塾や受験のこと、子育てについて、いろいろと話しました。そうすると、たわいもない会話でも気持ちが楽になりました。我が家の中学受験は特殊なケースだとは思いますが、直前期にアクシデントが起きる可能性はゼロではありません。もしそうなったとしても、子どもが積み上げてきた努力と、入試を乗り越える底力を信じて、ぜひ前向きな言葉をかけてほしいですね」


 ◆Episode1 一向に伸びない成績にハラハラ! 
 ◆Episode2 泣き出す息子を何とかなだめる
 ◆Episode3 夫が入院、一人で娘をサポート
 ◆Episode4 1月校の受験で思わぬ結果が…
 ◆Episode5 ムラッ気のある息子に振り回される
 ◆Episode6 左手を負傷!受験勉強にも支障が
 ◆Episode7 自信家の娘と不安いっぱいの私
 ◆Episode8 息子の成績が秋から下がり続け…
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