活発な男の子 大人びた女の子

「うちは男の子だから落ち着きがなくて……」「女の子のせいか、娘は何かと神経質で……」など、子育てをしていると「この子は男の子(女の子)だから、〇〇なのかしら?」と考えることが多々あります。そもそも、男の子と女の子には、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。 

まず男の子の特徴について、日本子育て学会常任理事の勝浦範子氏は次のように話します。

「多くの男の子は女の子に比べて活発で、小学校高学年の頃はいたずら盛りです。学校の池のコイを勝手に釣ったり、友だちと取っ組み合いのけんかをするなど、母親からするととんでもない、あるいは困った事件を起こすことが珍しくありません」 

教育ジャーナリストの清水克彦氏も、「小学生の間は総じて男の子よりも女の子のほうが、心も体も成長が早い」と指摘します。

「そのため、相対的に男の子を幼く感じる親が多いのではないでしょうか。私がこれまで取材した多くの家庭でも、"息子は活発で、じっとしていられない""飽きっぽくて興味が長続きしない"といった声を聞きました」 

一方、女の子については「しっかりしている」「落ち着いている」などの特徴を挙げる親が多いそうです。

「ただ、女の子は感情を心にため込む傾向が見られ、受験のストレスを上手く発散できない子どもが男の子よりも多いように感じます。娘の変化に気づいたら、会話の中でさりげなく今の心境について尋ねてみるなどの工夫が必要でしょう」(清水氏)

「らしさ」を求めすぎず広い視野で考えよう

男の子と女の子では、友だちとの付き合い方にも、さまざまな相違点が見られます。

「多くの男の子は、集団の中で自分の位置が気になります。そのため、序列を作りたがる傾向が目立ちます。これは、"競い合って切磋琢磨しよう!"という前向きな気持ちです。けれど、勉強やスポーツなどの競争で遅れを取ることが続くと、劣等感を覚えることもあります」(清水) 

一方、女の子の友人関係について、四谷大塚高田馬場校舎の菊地忠明校舎長は「グループ内でのつながりが強い」と話します。「女の子が、グループで一緒に勉強する場面をよく見かけます。また、塾の休み時間に、好きなアイドルの話で盛り上がったりして、お互いの信頼関係を確認しながら、"一緒に受験を乗り越えよう!"とする姿勢が見られます」(菊地校舎長) 

このように、さまざまな場面で垣間見える「男の子らしさ」と「女の子らしさ」。 

親は、それぞれの特徴に対して、どう向き合えばよいのでしょうか。勝浦氏は「"男の子らしさ""女の子らしさ"は、あくまでも平均値として捉えてほしい」とアドバイスします。「"らしさ"にこだわるよりも、まずは子どもの個性を尊重してほしいですね。親が、"男の子だから(女の子だから)、こうあるべき"という理想像を押しつけると、子どもの可能性を狭めてしまう恐れがあります」 

子どもの趣味に関しても、男女のくくりを設けずに認めてあげることがカギを握ります。「たとえば、"編み物は女性の趣味"というイメージを持つ親が多いと思います。けれど、もともとは船乗りの男性が暇なときに取り組んでいた作業でもあります。親は子どもが興味を持っていることを広い視野で捉えて、好きなことや得意なことを、どんどん伸ばしてほしいと思います」(勝浦氏)

男女ともに同性の親をモデルとして捉える

男の子と女の子を育てるにあたり、父親と母親に求められる役割に違いがあるのでしょうか。勝浦氏は、「基本的に大きな差はない」と前置きした上で、次のように解説します。「男の子は父親を、女の子は母親を"生き方のモデル"として同一視する傾向があります。そのため、同性の子どもがいない親の場合、モデルとしての役割を強く求められることが少ないとも言えるでしょう。ただ、女の子の場合、父親が社会で活躍する姿を見て、"自分も父のようになりたい!"と考えるケースがあります」 

中学受験に挑戦する多くの家庭を取材した清水氏も、この点に同意します。「受験生をサポートする母親の中には"自分はそれほど高学歴ではないから、娘のお手本にはなれないかも……""娘には私の分までがんばってほしい"と考える方が少なくありません。ですが、母親として家族を一生懸命サポートする姿は、立派なお手本になると思います。母親が毎日、家事や育児に取り組む姿を、子どもはしっかり見ているものです。そして、ときには母親が自分の人生観を語ることで、多くの女の子が母親を"人生のモデル"として、尊敬するようになるのではないでしょうか」 

また、菊地校舎長は「女の子と同性ならではの付き合い方ができるのが、母親の強み」と話します。「たとえば、テストの点数が振るわず娘が落ち込んでいたとします。そんなにときに、一緒に買い物などに行って女の子の気持ちをリフレッシュさせるのは、母親のほうが上手いように感じます。受験期間中は男女ともに、さまざまなストレスを抱えるので、感情の変化などに気を配り、子どもをサポートしてほしいと思います」

「ここぞ」というとき父親に諭してもらう

勝浦氏は、両親の役割について「父親には厳しさとともにいざというときに頼れる力強さが、母親にはいつでも受け入れてくれる包容力が求められる」と話します。「しかし、この役割は固定的なものではありません。父親と母親で、役割が逆転しても構わないのです」 

一方、清水氏は女の子に対しては、父親と母親で少し違う接し方をしてみることを勧めます。「多くの女の子は男の子よりも早熟で、人の気持ちを読むのが得意です。その長所を生かして、父親が仕事の悩みなどを話してはどうでしょうか。私も娘が小学生の頃に、"今日、会社でほかの人と意見が対立しちゃったんだ。それがすごく悲しかったんだよ"と、話したことがあります。そうすると、娘も"私は頼られている"と感じるようで、真剣にアドバイスを考えてくれました。父親によっては、"娘との会話の糸口を見つけるのが難しい"と思う方もいるでしょう。そんなときは、共通の趣味をひとつでも作っておくと、随分話しやすくなります」 

ただ、女の子の場合、思春期を迎えると、父親と距離を取ろうとするケースも。これに関して、菊地校舎長は次のようにアドバイスします。「父親が褒めても、かえって娘の気持ちが離れる場合があります。そんなときは、勉強や生活面のサポートを母親に任せましょう。そして、母親のサポート役に徹することで、受験の協力体制が整います」一方、男の子に対する父親の役割について菊地校舎長は、「父親と息子は同性同士で距離が近いので、お互いに話しやすい」と指摘します。「母親の言うことに反発する男の子でも、父親の言うことは素直に受け入れる傾向が見られます。息子の感情が高まって父親に反抗的な言葉を発しても、父と息子の間でマイナスな感情を持ち続けることは少ないようです。だからこそ、父親は息子の気持ちを切り替える役割を担ってほしい。勉強へのやる気が見られなかったら厳しく注意する、テストの点数がダウンして落ち込んでいるときは前向きな言葉をかけて奮起させるなどのサポートを意識してほしいですね」 

清水氏も「父親は息子に対して友だちのような感覚を90%くらい持ち、あとの10%は参謀役として接してほしい」とアドバイスします。「多くの母親にとって、男の子は"未知"な部分があります。そのため、父親が息子の友だちのように接することは、とても重要だと私は考えます。ただ、"ここぞ"というときはしっかり面と向かって話し合う。この本気の対話を心がけることで、息子は父の存在感を強く意識していきます」 岩室校舎長も「ここぞ」というときの、父親の役割の大切さを指摘します。「男の子が反抗的な態度を見せたり、乱暴なことをして母親の手に負えないときこそ、父親の出番です。普段は物静かな父親でも、子どもの問題点を指摘して、ビシっと修正するのが理想です。このような役目を父親が担ってくれることで、男の子を育てる母親の負担が減るのではないでしょうか」

多くの男の子が算数を得意とする

男の子と女の子では学習面に関して、どのような違いがあるのでしょうか。岩室校舎長は全体的な傾向として、次のように説明します。「やはり算数は男の子、国語は女の子に得意な子が多いです。よく言われる"男の子の空間把握能力が高い"という特徴についても、算数講師としてうなずける部分があります。女の子の中にも立体図形の問題を得意とする子どもはいますが、男の子と比べると少数ではないでしょうか」 

算数に関しては、こんな違いも。「女の子は、流水算や旅人算のような"動くもの"や"速さ"に関連する問題を苦手とする傾向が見られます。反対に、文章題の計算問題について、男女差はそれほど見られません。これらの分野は練習問題を繰り返しこなすことが学力アップの近道なので、コツコツ取り組む傾向がある女の子が高い成績を出す可能性は十分にあるでしょう」(岩室校舎長) 

算数以外にも男女の違いは見られ、菊地校舎長は理科の学習について、こう話します。「男の子は総じて実験が好きです。また、写真やイラストなど視覚に訴える資料に飛びつくので、図鑑やサイエンス番組などを見せることが興味をアップさせるひとつの方法でしょう」 一方、国語は多くの女の子が得意とする教科です。「女の子は総じて、男の子よりたくさん本を読みます。そのため、語彙力も想像力も豊か。物語文の問題については、女の子の正答率の高さが目立つことがよくあります」(菊地校舎長) 

このように、男の子と女の子はそれぞれ、得意分野と苦手分野を持っています。ただ、岩室校舎長と菊地校舎長は口を揃えて「上位クラスは、4教科のバランスがよい」と話します。「苦手教科を引きずったまま、子どもの学力をアップさせるのは難しいでしょう。親は"男の子だから、国語の文章読解が苦手でも仕方ない""女の子は立体図形が解けない"と決めつけず、塾の先生に相談しながら解決方法を考えていきましょう」(岩室校舎長)

女の子には将来の目標を見つけてあげよう

男女の差は、学習への取り組み方にも表れます。「多くの男の子は、興味を持つと一気に集中力がアップし、学力が飛躍的に伸びることがあります。また、塾のクラスでの順位やライバルとの差を意識して、やる気を出す子どもが目立ちます」(岩室校舎長)

反対に、女の子は途中であきらめず、コツコツと努力を続けられる子が多いようです。「全体的な傾向として、女の子は真面目に宿題や授業に取り組み、ノートを丁寧にまとめています。ただ、女の子の中には、文字を丁寧に書きすぎるため、決められた時間内に解答をまとめられないケースも。このような特徴は、小4、小5の頃から直すようにサポートしていきましょう」(岩室校舎長)

得意・不得意や学習態度など、さまざまな違いが見られる男の子と女の子。子どもの学習意欲をアップさせるためには、どんな働きかけが効果的なのでしょうか。「男の子の場合、勉強にゲーム性を持たせる方法がおすすめです。計算問題を解き終えるまでのタイムを親が計ってあげるなどすると、集中力が増します。また、塾のクラスが上がったときに、手製の賞状やメダルを与えるなどでも競争心が刺激され、やる気が増すのではないでしょうか」(清水氏)

岩室校舎長も、男の子の競争心を刺激するような言葉をかけることがあるそうです。「たとえば以前、私が担当する生徒たちに算数の問題を解かせたとき、数人の女の子は正解できたものの、男の子はひとりも解けませんでした。そのときに、"このクラスには、男子がいないのかな?"と、少し挑発するような言葉をかけたんです。すると、多くの男の子が目の色を変えて勉強に取り組むようになりました」

ただ、「逆の状況になっても、女の子に同じような言葉をかけることは少ない」と話します。「女の子の場合、以前と比べてできるようになった点を具体的、かつストレートに伝えたほうがやる気を高めてくれます」(岩室校舎長)

清水氏も「女の子に対しては日頃の努力を認めることが大切」と話します。「たとえば、"この問題が解けるようになったのは、先週までの努力の結果だね""このまましっかりやれば、大丈夫だよ"と安心させる言葉がけが効果的だと思います」

さらに「女の子の中には早い時期から自分の将来を見つめている子が多い」と続けます。「そのため、親が娘の目標となるような存在を見つけてあげると、学習意欲がアップします。たとえば、娘の志望校に通う先輩や、近所で頭のいい年上のお姉さんなどが挙げられます。もし、そういう人が近くにいなければ、フィギュアスケートの浅田真央さんやAKB48のメンバーなどに目を向けさせるのもいいと思います。彼女たちが表舞台で活躍するまでの経緯を子どもに教えることで、多くの女の子が努力の大切さに気づくのではないでしょうか」(清水氏)

自尊心をくすぐるのが男の子のポイント

子どもが持つ可能性を広げるには、親が必要に応じて褒めたり、叱ったりすることが必要です。そのとき、どんな点に注意すればよいのでしょうか。

まず褒め方について、4人の識者は「子どもの性別に関係なく、その子自身のがんばりを褒めるのが基本」と口を揃えます。「男の子を育てる親の中には、"息子を褒めるとすぐ調子に乗るから"と心配される方がいます。けれど、小学生のうちは、子どもをどんどん褒めたほうが才能は伸びていきます。また、男女共通の褒め方として、結果よりもプロセスに目を向けて、具体的に褒めることが肝心です」(清水氏)

さらに、ほかの子どもと比べるのを控えることも、男女共通のアドバイスとして挙げられました。「ただ、男の子を褒める場合、ほかの子どもを引き合いに出すことで心に響くケースがあると私は思います。男の子は競争するのが好きな半面、劣等感も抱きやすいものです。そのため、"算数はお兄ちゃんよりもできるんじゃない?"などの言葉をかけて、自信を持たせるのもひとつの方法です。ただし、兄弟を比べる場合、もう一方の兄弟の長所を口に出すことも意識してほしいです」(清水氏)

親が子どもを褒めるためには、普段から子どもの学習態度や言動に目を向ける必要があります。「子どもの小さな変化を見逃さないように、よく観察してほしいです。そして、子どもの成長を感じたら、"自分で決めたスケジュール通りにがんばり続けたから、できるようになったんだよ""計算を丁寧に書くことで、ケアレスミスを減らせたんだね"など、具体的なプロセスまで褒めてあげましょう。そうすることで、子どもは親のサポートを実感し、自信と安心感が育まれます」(菊地校舎長)

一方、岩室校舎長からは男の子の褒め方について、こんなアドバイスも。「私は、男の子が調子に乗ることも見越した上で、思いっきり褒めます。その後に、"でも、調子に乗ったらダメだぞ"と、ひと言添えます。そうすると特別感を覚えるのか、喜ぶ男の子が多いです。以前、ある男の子が難しい問題を解けたときも、私は"先生が褒めると調子に乗る子がいるから、今日は褒めないと決めていた。だけど、これだけできたら褒めるしかないな"と声をかけました。そのとき、男の子がすごくうれしそうな表情をしていたのを覚えています」

女の子には自分の言葉で話させてみよう

一方、叱るときの注意点もいくつかあります。「男女に関わらず、褒めるときは人格も含めて褒めて問題ありません。しかし、子どもを叱るときは人格を否定するような言い方をしないことが大原則。あくまでも、注意すべき行動だけを取り上げましょう」(勝浦氏)

さらに、勝浦氏は「”男の子のくせに""女の子なんだから"といった言い方も控えてほしい」と続けます。「親からこう言われて、奮起する子どもはほとんどいないのではないでしょうか。男の子の中にも繊細な子はいますし、女の子だからと言って細やかだとは限りません。その個性を受け入れた上で、言葉をかけてほしいですね。親が娘に"女の子らしさ"を求める傾向は目立たなくなっていますが、息子に"男の子らしさ"を求める風潮は昔とあまり変わっていません。特に父親にその傾向が見られるので、母親は注意して見守ってほしいと思います」 

岩室校舎長も、叱り方の基本的な姿勢は男女共通であるものの、多少工夫している部分があるそうです。「男の子は甘えん坊なところがあるので、少し突き放した言い方することがあります」

一方、清水氏は男の子の叱り方について「プライドを損ねないことも大切」とアドバイスします。「子どもを叱った後に褒め言葉をひとつ言うだけでも、怒られたショックは和らぐでしょう。また、男の子のプライドをくすぐる言い方も効果的です。たとえば、"昆虫博士とも言われるあなたなら、理科のテストはもっとできるんじゃない?"などと言ってはどうでしょうか。こういう言い方ならば、モチベーションがアップする男の子は多いように感じます」

一方、女の子の叱り方については、「大きな声で怒鳴らない」「人前で叱らない」などがポイントとして挙げられました。「多く女の子は、友だちの前で叱られるという恥ずかしさに耐えられません。女の子を注意する場合は、一対一で静かに諭すようにしたほうが、素直に聞いてくれますね」(菊地校舎長)

「多くの女の子は、自分の気持ちを言葉にすることに長けています。そのため、親が"どこを直せばいいと思う?"と投げかけ、子どもに今の心境や今後の目標を話させるのも効果があるでしょう」(岩室校舎長)

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