学習習慣と並び、低学年のうちに身につけたいのが読書習慣。読書が将来の学力向上に繋がっていくのはもちろんですが、何よりも読書自体の楽しさを子どもに知ってほしいものです。そのために親ができることは何か。3 人の先生に聞きました。

親子で感想を話し合う声がけは具体的に

低学年から読書習慣を身につけると、どのような効果が期待できるでしょうか。学力向上にどう役立つのかは、とても気になるところです。

しかし内田氏は「読書に対して“効果”という言葉は禁句。文字や言葉を覚えさせるための単なる教材として子どもに本を与えていると、読書好きには育ちません」と、とかく即効性を求めがちな親の態度に警鐘を鳴らします。

「読書習慣を身につけることは人生の楽しみをひとつ増やすこと。読書から得た語彙力は、結果的にすべての学力の基盤になりますが、それを目的とせずに読書自体を楽しんで」(内田氏)

さらに清水氏は「子どもが一人前に歩き出した地点が子育てのゴール」として、次のようにアドバイスします。

「社会に出ると、必ずさまざまなピンチの局面にぶつかります。それを乗り越えるためには決断力や集中力など、自分の持ついろいろな力を結合させなければなりません。その土台となるのが、思考力と表現力。読書は自分の頭で考え、表現する力を育むものです」

では、子どもに読書習慣をつけるために親ができることは何でしょうか。よく言われることですが、まず「親自身が読書を楽しむ」ことが前提です。

「親自身が読書を楽しむ姿勢を見せ、『こんなおもしろい本を読んだんだよ』と子どもに話しかけること。忙しくて読む時間がないなら、せめて読んだフリをしてください。家庭の中で本の話をしましょう」(清水氏)

ただし、声をかける場合は注意が必要と土屋氏は指摘します。

「漠然と『どうだった?』とだけ聞かれても、子どもは『おもしろかった』としか答えられません。まずは子どもと同じ本を読み、『お母さんは、あの場面でこのひと言がなければよかったんじゃないのかなと思うんだけれど、○○ちゃんはどう思う?』など具体的に話しかけてあげてください。すると、『えっ. そんなふうに読んでもいいの?』と子どもの思考の枠を広げる場合もあるかもしれません。読書が嫌いな子はただ字面を追っているだけで、読み方を知らないというケースも多いんですよ。どこに着目すればいいのか、自分で物語を膨らませたらどうなるか。そんな楽しみ方のヒントを与えてあげましょう」(土屋氏)

読んでいる最中に「この先、どうなるかな?」と物語の伏線に気づくように導いてあげるのもひとつの方法。物語の構造を理解させるには、教訓的な昔話を読ませることも有効だそうです。

「また、本を読むことを褒めすぎない方がいいと思いますね。読書“が”大切なのではなく、たくさんの興味深い体験のうちのひとつとして、読書“も”大切なのです。親に褒められるために読書をするのでは、いつまでたっても自分の好きな本を選べない。読書感想文に書けない読書はいけないものと思い込んでいる子も多いんですよ。『つまらない』だってひとつの感想、そういう読み方もありなんだと気づかせてあげてほしいですね」(土屋氏)

語彙力は学力の基盤になる
即効性を求めず楽しんで
――内田氏

先生方が推薦!
本が好きになる読書習慣

『スーホの白い馬』
大塚勇三【著】、赤羽末吉【絵】 67年刊/福音館書店/ 1,365円
モンゴルの伝統的な楽器、馬頭琴の由来を語る民話。少年と馬の哀切なストーリーが胸を打つ絵本。「私も子どもによく読みました。物語を巡って会話してみては」(内田氏)

『ミサコの被爆ピアノ』
松谷みよ子【著】、木内達朗【絵】07年刊/講談社/ 1,200円
今も現存する、爆心地から1.8キロの地点被爆したピアノ。戦争の苦しみと平和への願いを奏で続ける。「易しい内容の本で、低学年から平和教育をしたい」(内田氏)

子どもの関心に沿って読み聞かせを楽しもう

子どもが読書好きになる大きなきっかけのひとつが、親による読み聞かせの実践です。各氏も揃って読み聞かせを奨励しています。

「文字を読めるようになっても、字を追いながら話の内容をくみ取ることは、実は子どもにとって大変な作業です。物語の場面が思い浮かぶように、抑揚をつけ、感情のこもった声で読んであげてください」(内田氏)

その際の本選びは迷うところですが、子どもの関心に添うことが基本です。

「物語に関心を示さないなら図鑑を一緒に眺めるなど、子どもに合う本を探すことから始めてみては」(土屋氏)

また、親が多くの本に触れさせようと新しい本を用意しても、気に入った1冊を何度でも繰り返し読んで欲しがる子どもも。その場合、リクエストに応えることが大切と清水氏は言います。

「『またこれ?』と思わずに、その本がいいと言う間は何十回でも読んであげてください。同じ本でも、読む度に子どもは感じ方が変わっていきます。1回目では見落としていた部分を数回目で発見するなど、その作品を深く吟味することにもなります」

何年生まで続けるべき? という声もよく聞かれますが「上限はなし」というのが答え。ただ、中学受験を予定しているなら、低学年の今の時期にこそ読み聞かせに力を入れたいものです。

「高学年になったら勉強が忙しくなって、どんどん親子の時間は減っていきます。今のうちだと思って、読み聞かせを通した“親子水入らずライフ”を楽しんでほしいですね」(清水氏)

「子どもにとって、読み聞かせはとても楽しいもの。親子が手を取り合って楽しめる世界を体験してきた子は必ず本が好きになるはずです。」(内田氏)

「読書”が”大切」なのではなく
「読書”も”大切」だと知ろう
――土屋氏

『100万回生きたねこ』
佐野洋子【著】77年刊/講談社/1,470円
100万回死んで100万回生まれ変わったねこ。自分しか愛せなかった彼が初めて愛したのは……。「生きること、死ぬことの意味にふれられる絵本」(清水氏)

『なく虫ずかん』
大野正男【著】、松岡達英、佐藤聡明、篠原栄太【絵】91年刊/福音館書店/1,365円
色とりどりの鳴き声のページをめくると、その正体の虫が次々に登場する絵本。「パラパラと眺める読書もあっていい。虫嫌いな子にも楽しめます」(土屋氏)

『せいかつの図鑑』
流田直【著、編集】10年刊/小学館/2,940円
リボン結びやお箸のマナーなど、“生きるための力”に直結する衣食住の基本を楽しく教える図鑑。「子どもと一緒に“へーっ”と感心しながら読んでほしい」(土屋氏)

同じ本を何度読んでもいい
毎回感じ方が変わっていく
――清水氏

サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。