確かな計算力と図形に親しむ習慣を

4教科のうち、小学校の学習内容とのギャップが最も大きく、難しいのが算数。4年生から力を入れて勉強しなくてはならない、と語る山田先生。

「基本的に、中学受験の算数は計算力の優れた子が強いです。たとえば、おうぎ形の面積は『半径×半径×3・14×360分のいくつ』という計算になるので、考え方を理解したと思っても、計算を間違えて正解が出せず、自信がなくなり、やる気もなくなるといったケースがあります。なので、まず計算力の養成を3・4年生の学習の柱にするべき。ある程度のレベルの計算は暗算でできるようにしておきましょう」

計算力以外では、ものごとの原理に着目する姿勢を養うことも重要。
 「三角形の面積なら、『底辺×高さ÷2』という公式だけでなく、なぜそうなるのかをしっかり理解しなければいけません。その土台として、3・4年生の段階で必要なのは、図形に親しむ習慣をつけておくことです」

円の学習として、コンパスで模様を描く遊びを行ってもいいでしょう。「コンパスで描いた複数の円をつなげて、連続した六角形を描き、サッカーボールの模型をつくるなど、楽しみながら図形を描くことです。親子でいろいろな図形を描いて、見せ合ってみましょう。4年生なら、塾やテキストで学習した図形問題をフリーハンドで描いてみるのもおすすめです」

伝記を読む3年生は志望校に合格する!?

思春期を迎えるにあたって、子どもたちは、自分の思いを自分の言葉で人に伝えて、自己決定を行っていかなければならない、と阿部先生は語ります。「その基礎となる力を養う時期が3・4年生だと思います。会話する能力を育てるために、活字に触れさせることが大切です」

5年生の時点で、週に2〜3冊文庫本を読む習慣のある子どもは、ほとんどが御三家クラスに合格すると言います。「このような生徒は、3年生の頃、だいたい偉人の伝記を読んでいます。伝記を読むことは、物語文の読解力の養成につながります。物語が読める子は説明文も読めるもの。説明文は非常に論理的な文章で、ロジックを追うだけで内容は把握できます。一方、論理性が弱い感のする物語文ですが、実は読解にあたり、情景描写や心理描写が重要な布石となっていて、それらを論理的に検証せねばならず、説明文より読み取りが難しい傾向にあるのです」

いきなりわが子に伝記を読ませるのが難しい場合は、親子で書店に行き、子どもが何に興味を持っているのかを考えながら、いっしょに読む本を選ぶという方法も。「子どもの好みに合わせて本を選んで、親子で同じ本を読むといいでしょう。その際有効なのは、途中で“これからどうなると思う?”などと、話の先を子どもに考えさせることです。これまでの話の確認でもよいでしょう。物語の感想を聞くと、子どもは“すごいと思った”程度のことしか言えないもの。先の展開ならば自由に発想して話すことができるでしょう」

共働きで子どもと会話する時間が思うようにとれないご家庭には、次のようなアドバイスがありました。「親が不在の時間にやっておいてほしいことを伝え、子どもに親とつながっているという感覚を持たせましょう。たとえば、“この本をここまで読んでおいて。お母さんは、夜に同じところを読んでおくね”と伝えるのです」

漢字は、小学校1年生からでも書く習慣をつけるべきとのこと。 「漢字の学習には個人差があります。短期間で集中して字を見て覚えられる子がいれば、コツコツ書かないとダメな子もいます。ただ〝覚えなさい〟ではなく、その子流の覚え方を見極めて助言しましょう」

台所は小さな実験室 まずは失敗から学ぼう

この3・4年生という時期は、植物や動物、気象、天体など、さまざまな理科の分野について興味対象が出てくる頃、と村上先生は語ります。「“なぜ? どうして?”という問いをいかに子どもから引き出し、理科的なものに興味を持たせていくかという段階です。受験向けの勉強は、まだ意識しなくてもいいでしょう」

塾でも4年生の理科は、磁石、光、虫めがねでの観察など、身近なものに関心を持たせることから始まります。「大切なのは、自分で手を動かすこと。小学校や塾の授業でやった実験を、家庭でもぜひ再現してもらいたいです。たとえば、水の沸騰の実験でしたら、家庭でも簡単に行えると思います。フタをする・しないで沸点に達する早さが違うことを、時間を計って実感させるといった工夫をすると、なおよいです」

台所は小さな実験室。子どもを積極的に出入りさせてあげましょう。「台所と実験室の違いは、専用の実験器具の有無。家庭での代用品を考えることも、とても勉強になります」

たとえば、豆電球を点灯させる電流の実験では、実験室には業者が理科実験用に作った、電流を流したり止めたりするためのスイッチが用意されていますが、家庭にはありません。これは、アルミホイルで簡単なスイッチを作ることで対応できます。

実験を再現する際、保護者が気をつけるべきは、次のポイントです。「誘導はするけれど、アイデアを出し、実験を実行するのはすべて子ども、というスタンスを守りましょう。失敗するとわかっていても、まずはやらせてみることが重要です。よくある失敗は、準備が不十分なのに実験を始めてしまうこと。水溶液の加熱の実験は、段取りが悪いと水がふきこぼれてしまうようなこともあります。それでも、“これも先にやっておかないと、水がふきこぼれちゃうよ”と、事前に口出しはしないようにしてください」

 肝心なのは、なぜ失敗したのかを子ども自身に考えさせることです。「失敗した原因を考えることで、“この実験には、あれをやっておく必要があるな”と、逆算して考えられるようになります。失敗は決してムダではない、間違いを恐れることはない、ということも実感できるはずです」

買い物やTV番組から社会化の基礎を育む

社会は、受験のための勉強が4年生から始まります。まずは、沖縄や北海道といった特色ある地域の気候、産業、台風や降雪への昔と現代の対策などを学びます、と語る遠藤先生。「なぜ北海道は寒いのか」「寒いとどのような現象が発生するのか」「人々はその現象にどう対応してきたのか」といった発想を展開するとともに、山脈や平野などの地形についても並行して学習していきます。

このような学習の基礎力を養うために、3年生から日常生活の中でアンテナを張る習慣をつけておくべきです。「スーパーでの買い物に、定期的に子どもといっしょに行くことは、とてもよい勉強になります。旬の野菜がわかり、一方でキャベツなど年中置かれるものもあり、それを可能にした農法について考えてもいいでしょう。各地の特産品も把握できます。今年の春先は、寒い時期が続き野菜が高騰しました。オーストラリア産の牛肉や中国産の農産物が安いのは一目瞭然。以上のような事象がなぜ起こるのか、一方的に教えるのではなく、親子で考えるクセをつけましょう」

親が社会科的にものを考え、それを楽しんでいる姿を見せるのも重要です。「たとえ子どもが中学受験をしないとしても、趣味・娯楽として博物館に行くような夫婦のお子さんは、やはり伸びます。博物館などについては、一時代前の無味乾燥なものを見せられて、つまらないものと思いこんでいる親もいますが、現代の博物館は、大人が行っても楽しめるものがたくさんできているので、足を運んでみては」

もちろん、テレビのニュースなどにも関心を持ちたいところです。「NHKの朝のトップニュースは、ぜひ子どもにも観せてあげてください。ニュースが簡潔に、重要度を選んで編集されています。また、同じくNHKで毎週日曜朝放映の『週刊こどもニュース』は、録画してでも観ていただきたいです。同様に時事問題を、池上彰さんが大人向けに解説する番組もありますが、子どもが興味を持っている場合は、無理強いをしない程度に見せてあげましょう。子どもは、興味のないことを押しつけられると、苦手意識を抱いてしまうものです。会話の中から、何に興味を持っているか探ってみましょう」

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