海外の現場で対応力を磨いた

大学院で地震の研究をしていた私は、安全なインフラづくりに関わりたいと思い、建設会社に入社しました。スリランカは私にとって初の海外勤務地。担当したのはスリランカ国内で初となる高速道路の建設で、国家プロジェクトと言える大規模な工事でしたから、非常にやり甲斐がありました。
具体的な仕事は、現場のマネージメントで、計画を立てることや、資材や人の管理、作業の安全確認など多岐にわたりました。現地の言葉はわかりませんでしたが、英語を話せる人が多かったので、仕事をする上で言葉の不自由はあまり感じませんでした。
ただ、現地の人は日本人に比べると良くも悪くも大らかで、最初のうちは仕事の納期や品質が守られないこともよくあり、苦労しました。でも、そこで感情的に怒っても仕方がないので、基本的には「郷に入っては郷に従え」の精神で、その国の人たちの考え方や国民性を尊重しつつ、粘り強く交渉したり、技術指導などを行いました。道路や橋、鉄道などのインフラは、その国に長く残るものです。現地の人が安心して快適に利用できるよう、安全や品質に関しては決して妥協をしないようにしました。
海外は日本のように便利ではないし、予想外のことも起きるので、それを前提として、常にさまざまな事態に備えて計画や準備をしておくことが重要です。そういう現場で働いたことで、少々のことでは動じなくなりましたし、対応力が磨かれたと思います。

異文化の中で働くことで自分の強みに気づいた

私は、スイスにあるローザンヌ大学のケラー教授のもとで、約2年間、研究員として働きました。私の研究テーマは、アリの社会性行動。スイスでは主に、群れから孤立したアリの行動解析を行いました。
ローザンヌ大学には、ヨーロッパだけではなく、アメリカやアジアなど、さまざまな国の人が集まります。研究室では英語を使っていましたが、ローザンヌはフランス語圏のため、日常生活にはフランス語が必要でした。不安もありましたが、フランス語を学ぶ良い機会と捉え、現地で語学教室などに参加して学びました。
海外では、自立することが強く求められます。研究も、誰かがやることを用意してくれることはなく、自分でテーマを決め、自分なりに工夫して進めていきます。最初は戸惑いましたし、自分のテーマがなかなか決まらなくて焦ることもありましたが、段々とそういう環境を居心地良く感じるようになりました。同僚は、それぞれ異なる文化を持ち、これまでに取り組んできた研究もさまざまなので、ともに実験に取り組むことで、新しい発見がたくさんありました。同時に、自分自身についての新たな気づきもありました。たとえば、作業の細かさや精密さなどは、日本人の私ならではの強みだと感じましたね。
スイス滞在中は、何事も積極的に取り組むことを心がけました。言葉に不安があると殻に閉じこもってしまいそうになりますが、勇気を出して、遊びの誘いなどがあれば、積極的に参加しました。その結果、日本ではできない多くの体験ができましたし、生活を楽しめるようになりました。
これから海外に行く人にアドバイスするなら、日本の文化をしっかり学んでおくことですね。スイスには日本に興味を持っている人も多く、「味噌ってどうやってつくるの?」「漢字と平仮名はどう使い分けるの?」など、かなり突っ込んだ質問をしてくることも(笑)。交流のきっかけにもなります。

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