エゴグラムで自分のココロのクセに気づき、問題点を見つめなおし、悶々と悩む日に決別。
TAの基本的な考え方から、子育てに役立つわかりやすいアプローチの方法までを紹介します。

大切なのは言葉と行動を一致させること

あるお父さんが子育てに悩んでいました。子どもは小学生。休みの日に一緒に遊ぶこともありますが、ケータイに仕事の電話がかかってきて、途中で出かけなければならないこともしばしば。しかし子どもは、駄々をこねたりすることもない、聞き分けのよい子でした。ところが、最近元気がなく、子どもらしく騒ぐことも少なくなってきました……。 

その後、TAを学んだお父さんは、ある休日、子どもの前で携帯電話をポーンと放り投げて、「今日はお休み!一緒に遊ぼう」と言いました。すると、子どもはみるみる元気になり、あっという間に活発さを取り戻したのです。

「TAでは言葉と行動を同じにすることが大事なのですが、このお父さんは違っていました。子どもに『お前が大事だ』と口に出していたかもしれませんが、一方で、携帯電話一本で仕事に出かけてしまっていた。つまり、無意識のうちに『お前よりも仕事が大事だよ』というメッセージを発していたんですね。子どもはすぐに感情でそれを察知します。だけど、お父さんがTAを学び、そのことに気づいて、子どもの前で携帯電話を投げるという、今までとは違う行動をした。そうすることで、『仕事よりお前のほうが大事なんだ』というメッセージを伝えることができました。子どもは柔軟性がありますから、それをすぐに感じ取って元気になったのです。こうしたことから、子育てにTAを生かすのは非常に大切ですし、意義のあることだと思います」 

そう語るのはチーム医療代表取締役の梅本和比己さん。自らの子育て中にTA と出会って感銘を受け、現在は、TAネットワークの事務局長を務めて、TAを広めるためにセミナーを主催するなどさまざまな活動をしています。TAはもともと心理療法のひとつで、主に治療に使われていましたが、一般の人の人間関係の改善に役立つということで、あらゆる場面に応用されています。「TAによって、何が問題で、何を改善したほうがいいか、お互いに気づくことができます。また、対人関係における自分と相手の自発性を引き出し、お互いに親密になることを目指して作られたものですので、親子関係の改善にも十分応用することが可能なのです」(梅本さん)。

点数の低い部分を伸ばす努力をしてみる

では、子育てに役立つTAとはどのようなものなのでしょうか。 

TAでは、人は誰でも自分の心に、P、A、Cという"3つの私"を持っているとしています。Pはさらに父親的で批判的な自我の状態(CriticalParentの"CP")と母親的で養護的な自我状態(NurturingParentの"NP")に分けられ、Cは自由奔放な子どもの自我状態(FreeChildの"FC")と、順応した子どもの自我状態(AdaptedChild の"AC")に分けられます(図1参照)。 

誰でも心の中に、この5つの状態――CP、NP、A、FC、ACを持っているのですが、人によってそのバランスが違い、考えるときのクセになっています。その傾向がわかるのが、エゴグラムなのです。 

エゴグラムは、すべての数字が高ければよいというものではありません。見方としては(図2参照)、まず、5つの心の中で最もポイントの高いところを見ます。これが、何か出来事が起きたときに、最初に反応する心です。たとえば、いじめにあっている子どもを見ている場合、CPが一番高い人は「弱いものいじめするとは何事だ!」と批判的なことを考えがちです。一方、NPが一番高い人は「かわいそう、助けてあげなくちゃ」と思いがちです。 次に最もポイントの低いところを見ます。TAでは、この低いところを高くしていくことで、全体のバランスが変わり、気づきのきっかけや問題の改善につながるとしています。 

もうひとつは、同じくらいのポイントのところを見ます。たとえば、CPとNPが同じくらい高いとすると、父親的な気持ちと母親的な気持ちが同時に出てきてしまうので、心の葛藤が生まれやすくなります。 

5つの心のそれぞれに長所、短所があり、点数が低い部分を伸ばすことで問題の解決につながることもあります(P19以降で詳しく解説します)。しかし、高すぎる部分を抑えようとしすぎてもいけません。なぜなら、高い部分を低くすることはうまくいかないからです。

状況に合わせて自分の心をコントロール

「TAを学び、少しずつ子育ての仕方が変わってきました」と語るのは、チーム医療のスタッフで小学生の2人の子どもを持つ中島啓子さん。家族問題に悩んでいたときにTAと出会って学ぶようになり、今ではTAとNLP(神経言語プログラミング)を合わせたBCBプログラムの講師、BCBファシリテータの資格も取得しています。 

以前だったら、すぐにカーッとなって対応してしまうようなことも、TAを使うことで冷静に対応できるようになったと言います。「少し前のことになりますが、小学生の娘が、『先生にひどいことを言われた』と言って帰宅してきたことがありました。内容を聞いた途端、すぐに『そんなことを言うなんてひどい。学校に行って先生に抗議しなくては』というCPの気持ちが出てきたのですが、自分の中でCPが強く出すぎだなと思って、『ちょっと待てよ。もう少し子どもに状況などを詳しく聞いてみよう』と、大人の心であるAの気持ちを出して思いとどまりました。そんなふうにして結局は、冷静に先生に話をしに行くことができ、先生にも理解してもらって、翌日先生が子どもに謝ってくれて、丸く収めることができました」 常に自分の心の状態を見つめることで、自分の気持ちや行動をコントロールできた好例です。 

「TAを学んだからと言ってすぐに自分が変わることができる訳ではありません。ただ、親が少しでも変わると、子どもはすぐに変化を見せます。小学生ともなれば、自分というものがどんどん出てくる年頃であり、このまま甘え続けるか、大人になるかを決める大事な時期です。以前は銭湯など、交流する地域の場があり、子どもはたくさんの人から影響を受けて育ちました。しかし、そういった環境や関係が希薄になり、親がさまざまな役割を担わなければならなくなっています。そうした中で、子どもとコミュニケーションをとるひとつの方法として、ぜひ、TAを使ってほしいですね。エゴグラムを用いて自分の心の状態を知ることはTAの基本ですから、さらに深く学ぶことによって、よりよい親子関係を育むことができると思いますよ」(梅本さん) 

>一番上に戻る
サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。