適切に褒めたり叱ったりすることは、子どものやる気アップに欠かせないもの。では、具体的にやる気につながる接し方とは、どのようなものなのでしょう。パート1に引き続き、内田伸子先生と諸富祥彦先生にお聞きします。


「褒める」から「ともに喜ぶ」へ
「叱る」から「勇気づけ」へ。

「できる」と思える自己イメージを育む

 褒めること、叱ることが裏目に出てしまうとき。それは子ども自身を見ていないときだと、内田先生は言います。

「親が褒めたり叱ったりするときは、絶対に兄弟姉妹や他人と比較しないことが大切。目の前にいる子どもだけを見て、以前より進歩したところを認めて褒めることで、子どもは自信を持てるのです。テストでいい点を取ったからだとか、ほかの子に勝ったからという理由で褒め続けると、いい結果を出さないと褒めてもらえないと考え、結果が全てという考え方をするようになってしまいます。
叱るときも同じこと。他人と比較されれば、子どもは“どうせ自分は、あの子よりもできないダメな人間なんだ”と劣等感を持ってしまうだけです」(内田先生)

 そして、小学校高学年にもなれば、褒めたり叱ったりすることから一歩進んだ段階に入ってもいい、と言うのは諸富先生です。

「子どもを褒めたり叱ったりすることで伸ばしていこうとするのは、実は親の“上から目線”の表れです。それは、いつまでもわが子を子ども扱いすることにほかならない。小学校3.4年生までは“親の期待に応えるためにがんばる”でいいでしょう。しかしそれ以降は、“自分でがんばる”子に育てていきましょう」(諸富先生) 

上から目線の褒め方、叱り方では、子どもは褒められるため、あるいは叱られないためと言った、他律的な動機でがんばろうとします。しかし、いつかは「自分がやりたいからがんばるんだ」という内発的な動機で行動できる子どもに育ってほしいもの。そのために大切なのは、子どもが肯定的な自己イメージ、つまり「自分はやればできる子なんだ」という自己肯定感を持てるかどうかです。 
そのためには、「褒める」というより「ともに喜ぶ」気持ちで、叱るというより「勇気づける」気持ちで、いわば子どもと同じ目線で接することが大事だと、諸富先生は続けます。

「子どもががんばったときは“お母さんもうれしい”、うまく行かずに落ち込んでいるときは“次はきっとうまくできるよ”など、子どもの気持ちに共感し、希望を与えるような接し方をすること。すると子どもは、親が自分をしっかり見てくれていることを実感し、安心して次のステップに挑戦することができます」(諸富先生)

学習面でも、子どもには「自分はやればできるんだ」という肯定的な自己イメージを持って、苦手科目を克服してほしいものです。しかし苦手科目について「勉強しないからできないのよ。もっと勉強しなさい!」と叱ったところで、子どものやる気は起きません。むしろ苦手意識に引っ張られ、得意な教科までできなくなることも。
まずは得意な教科や分野について、学習理解が十分であることを褒め、自己イメージを高めるとともに、「ここはだれにも負けない」という自信を持たせるほうが効果的です。その後、“算数の文章題ができるということは、あなたには論理力があるから、国語だってきっとできるよ。一緒に読んでみよう”など、スモールステップで少しずつ、できることを増やしていくとよいのです。

褒め方

褒め方は男女共通結果よりもプロセスを

「小学校高学年になるに従い、喜びを共有するような育て方にシフトしていくことが大切です。しかし子どもには、がんばったから褒めてほしいというときもありますから、そのときは上手に褒めてあげてください」(諸富先生) 

ポイントは左の3つです。「子どもの思い入れのあるところを見つけて、すかさず褒める」のがコツだそう。 また、褒めるべきところは、結果ではなくプロセスです。

「たいして勉強もしていないのに、なんだかいい点がとれた」ときと、「しっかり勉強して臨んだのに、思うように点がとれなかった」ときでは、褒めるべきは後者なのです。前者を褒めると「結果だけよければいいんだ」「お母さんはがんばってるところを見てくれていない」と子どもは感じ、うれしい気持ちや、やる気は薄れてしまいます。
 たとえば、漢字のテストでいつも字が汚いために減点されていた子どもが満点をとったら、「満点」という結果以上に「字を丁寧に書いたこと」という努力を強調して褒めてあげましょう。

「がんばったところがわからなければ、子どもに直接聞いても構いません。“自分ではできると思っていたけど、塾での成績は下位だった”というように、厳しい現実に直面し、自分の実力を知るときもあるでしょう。そんなときこそ、子どもが自信をなくさないように褒め、励まして前を向かせるのが親の役目です」(内田先生)


男の子・女の子 効果的な褒めポイント

1、具体的に褒める
「この前よりずっと字がきれいになったよ。丁寧に書けてるね」
(何がと言わず)「すごいね」「えらいね」

2、プロセスを褒める
「 30分早く起きて勉強してたもんね、がんばったね」
「100点取ったの? すごいね」

3、すぐに褒める

叱り方

ガミガミ叱るのは一番意味がないこと

小学校高学年から思春期にかけて、子どもは精神的にとても不安定になります。親は「子どものためを思って叱る」つもりでも、子どもにはその思いはまず通じないもの。内田先生、諸富先生ともに、「叱る」という姿勢からの方向転換を推奨しています。

「叱る必要はありません。できないことを指摘して怒るのではなく、できるようになってほしいと“お願い”したり、提案したりするやり方にすればいいのです」(内田先生)

「叱ることは、ともすると子どもに“自分を否定された”という気持ちを残してしまうもの。“そうしてくれるとお母さんうれしい”など、主語を親自身にすることで、子どもにもすんなり届きます」(諸富先生) 

たとえば、テレビをダラダラ見ている子に「いい加減にしなさい!」と感情的に怒るより、「テレビは2時間の約束だよね。守ってもらえるとお母さんうれしいんだけどな……」と言う方が、ずっと効果的なのです。 基本的には「感情的にならず、お願い口調で諭す」のが叱り方の原則ですが、男の子と女の子で効果的な叱り方のポイントは異なります。

「男の子には、とにかくガミガミ怒鳴るのは厳禁です。怖く言わなければ言うことを聞かない、と言うのは親の思いこみ。根気強く言い聞かせるよりも怒鳴る方が簡単だから、親はガミガミ言ってしまうのです。男の子はプライドが高いですし、親が一方的に決めつけるような言葉は、やる気を一気にダウンさせてしまいます」(諸富先生)

 また、次回はどうしたらいいか具体的な改善策も同時に伝えると、叱ったこともぐっと改善されやすくなります。

「できないことを何度指摘しても、“自分はできない子”という意識を植えつけるだけ。どうせ繰り返すのなら、“あなたなら次はできるよ”という肯定的な声かけをしましょう」(諸富先生) 

では、女の子はどうでしょうか? 親の顔色を見て行動できる女の子は、器用にこなせることが多いため、母親も要求する水準が高くなるパターンが多いのだとか。

「特に母親は、同性だからこそ娘にちゃんとやらせなければという思いが強いもの。先回りして事細かに口や手を出したり、娘の行動を簡単に否定したりしてしまう傾向があります。すると、自分から進んで物事に取り組もうとする意欲は失われます」(諸富先生) 

あれこれ細かい注文を出し過ぎず、子どもが失敗したとしてもそれまでのがんばりを認めるような言葉がけをすること。そうすることで、次もがんばろうとする意欲を持続させるのが、女の子が伸びる近道なのです。 
また、男女ともにどうしても叱らなければならないときは、強い口調は避け、いつもより少し低めの落ちついた声で、子どもの目を見て、ゆっくり話しかけるようにしましょう。子どもに「自分はいけないことをしてしまった」という緊張感が生まれ、親の言っていることが伝わりやすくなります。

男の子 効果的な叱りポイント

1、ガミガミ怒鳴らない
夕飯前に宿題するって約束したよね。そろそろひとりでできるようになってくれると、お母さんうれしいな」
「なんでできないの!」「やるって言ったでしょ!」

2、人格を否定する言い方をしない
「……するのはダメよ。それはね……」
「また……して! なんてダメな子なの!」

3、具体的な改善案を教える
「次からは、帰ってきたらまずお母さんにプリント渡してね」
「プリント出しなさいって言ってるでしょ!」

女の子 効果的な叱りポイント

1、細かな注文をしすぎない
基本的には叱らない
やることなすことに注文を加える

2、先回りして手や口を出さない
子どもの判断・行動を見守る
自分から進んでしないことを責める

3、がんばりを認める言葉がけ
(テストの点が悪くても)「がんばってたの知ってるよ。努力はいつか実を結ぶから!」
「うわっ、点数悪かったねえ。なかなか上がらないね」

“反抗期”への対応の仕方は?

女の子は小学校高学年くらいから、反抗期に入る子が増えてきます。急に態度が変わるわが子に、どう対応すればいいのでしょうか。

「子どもが自分で出口を見つけるのを見守ることだけが親にできること。親が子どもに代わって出口を見つけてあげることはできません」とは内田先生。

「反抗期は子どもの“自分探し”の時間。葛藤の中にいる子どもは、自力でこの試練を乗り越えるしかありません。親は一定の距離を保って見守り、苦しんでいる子どもに“いつでも受け止めてあげるよ”という姿勢を示すだけで十分です。親の側面からの支えがあって子どもは先に進む勇気がわくのです」

小学生にホンネを聞きました


サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。