中高一貫校では、6年間という期間を活かしたカリキュラムや中学生と高校生が一緒に行う取り組みなどが行われています。
今回は4つの学校の取り組みを紹介します。

東邦大学付属東邦中学校・高等学校
千葉県習志野市泉町2-1-37

松本琢司先生
東邦大学付属東邦中学校・高等学校入試広報室長









視野が広がる「読書マラソン」

休日には「文学散歩」にも参加できる

近年、理系大学への進学で大きな実績を残している東邦大学付属東邦中学校・高等学校は、生徒一人ひとりの可能性を広げる「自分探し学習」を実践しています。「中・高6年間の学校生活を生徒が主体的に過ごせるようなプログラムを用意しています。

「中・高6年間の学校生活を生徒が主体的に過ごせるようなプログラムを用意しています。その中には中高を通して発展させていく取り組みもあり、そ休日には「文学散歩」にも参加できるのひとつとして『読書マラソン』が挙げられます。これは生徒が読んだ本のあらすじと感想、さらに印象に残った表現を読書マラソンノートに書いていくものです」(松本先生)

読書マラソンは中1から高2まで続けられ、高校からは内容もステップアップします。

中学までは1冊の本のコメントを1ページに書きますが、高校からは見開きページ(2ページ)に1冊の本のコメントを書きます。本の冊数に関して特にノルマは設けていませんが、1冊目のノートをすべて書き終えて、2冊目のノートをもらいにくる生徒もいます。多くの本を読むことで読解力は確実に磨かれていると思いますし、気に入った表現を書き留めることが文章力や語彙力のアップにひと役買っていることでしょう」

さらに休日には、希望者を対象にして校外の学習にも取り組んでいます。

「中学生を対象とした『千葉文学散歩』という取り組みでは、千葉県内にある文学の舞台や作家ゆかりの地を訪ねていきます。そして、高校生になると『東京物語散歩』に参加することができます。この取り組みでは文学に加えて、民間伝承に関わる場所にも足を運んだりするので、生徒たちの想像力はさらに広がると思います」

ほかにもこんな取り組みも

学年の枠を越えたクラシックコンクール
中3と高1の時期に英語と数学の成績上位者を集めて選抜クラスが作られるため、「中だるみ」の防止になっている。

加入率が高い部活動
中・高校生が一緒に活動するため、学年を越えた強い絆が生まれるそう。同校では高3でも約7割の生徒が部活動をしている。

浅野中学校・高等学校
神奈川県横浜市神奈川区子安台1-3-1

山田啓太先生
浅野中学校・高等学校入試広報部長









オリジナルテキストでやる気アップ

数学と歴史の独自教材が知識欲を刺激する

浅野中学校・高等学校は、中高の6年間を2年ごとに「形成期」「発展期」「完成期」に分けて教育を行っている男子校です。

「この中でも入学してから最初の2年間に当たる『形成期』は特に重要な時期だと考えています。そのため、一定量の宿題を出して基本知識を身につけてもらうように指導しています」(山田先生)

しかし、基本部分の学習はともすれば退屈に感じてしまう部分。そんな時に生徒たちの学習意欲をアップさせる教材が「オリジナルテキスト」です。「これは当校が独自に作成した数学の教材で、使われ始めたのは30年以上も前になります。その後、毎年改訂を加えながら今日まで活用されています。オリジナルテキストでは教科書に書かれている内容をよりコンパクトにまとめ、その分、練習問題などを充実させています。当校では、理数系の教科を得意とする子どもが多く入学してくるのですが、そんな生徒たちが退屈せずに基本問題に取り組む上でとても役立っています。数学のオリジナルテキストを使うのは中学までですが、基本知識を楽しみながら学ぶことで、高校から応用問題に取り組むために必要な基礎学力が身につきます」

2009年度からは歴史のオリジナルテキストも登場しました。

「教科書には紹介されていないような詳しい知識も載っており、その充実度はむしろ資料集に近いです。中学と高校が別々の場合、中学の授業の中で高いレベルを学習しても、高校受験が終わると覚えた知識がリセットされてしまう傾向にあります。しかし、当校では歴史のオリジナルテキストを中1から高1まで使っていきます。そのため、継続的に歴史の学習に取り組むことができ、高校レベルの知識を中学の時に学んでも無駄にならず、効率的だと思います」

ほかにもこんな取り組みも

英語と数学の選抜クラス
文化祭で予選を突破した中学生と高校生が楽器の演奏を競う。年によっては中学生が優勝することもあり、毎年白熱するそう。

中・高・大連携の学問体験講座
東邦大学の理学部・薬学部の施設を使って実験などを行う。中学生が参加できる講座もあり、高校生が手助けする場面も見られる。

海陽中等教育学校
愛知県蒲郡市海陽3-12-1

須藤厚先生
海陽中等教育学校
広報担当、ハウスマスター







寮生活を充実させる夜間学習

集中して勉強する先輩が後輩の手本となる

 海陽中等教育学校ではハウスと呼ばれる寮で全生徒が生活する全寮制の男子校です。

「当校の場合、寮での過ごし方が生徒の日常生活のペースとなります。そのため、通常の授業や部活動が終わる夕方以降の時間をいかに充実させるかが大切です。現在では、夜8時頃から就寝するまでの2,3時間を夜間学習に当てています。」(須藤先生)

夜間学習は生徒の要望に応えながら行う天文教室や国語の演習講座など、その内容は多岐にわたります。

「前期生(中学生)を対象とした天文教室では当校の中島校長が直接指導に当たり、校内にある天文台で季節ごとに変化する星の動きなどを観察しています。後期生(高校生)が参加する機会はそれ程多くありませんが、今の前期生たちがこれから進級することにより前期生と後期生の連携も生まれてくるでしょう。また、渡辺副校長が指導する国語の演習講座は5年生(高校2年生)を対象としており、文章の表現力を磨いています。どちらの取り組みも生徒が自主的に参加するものであり、イメージとしては大学のゼミ活動に近いと思います」

この他にも開放された教室を使って、多くの生徒が自習や補習に取り組んでいます。

「6年間の学校生活を通して、毎日夜間に自学自習をする習慣が身につくことは大学受験もちろん、その先にある大学生や社会人の生活にとっても大きなプラスとなるでしょう。また、夜間学習は前期生と後期生が隣り合わせの教室となることもあります。入学して間もない頃の前期生は、夜間の自習になかなか集中できない場面も見受けられます。しかし、隣の教室で後期生が集中して勉強している姿を見て、よい緊張感と刺激を受けているようです。この4月からは、前期生が自習している教室に後期生が相談役として入り、前期生をサポートしていくような取り組みも考えています」

「中学までは1冊の本のコメントを1ページに書きますが、高校からは見開きページ(2ページ)に1冊の本のコメントを書きます。本の冊数に関して特にノルマは設けていませんが、1冊目のノートをすべて書き終えて、2冊目のノートをもらいにくる生徒もいます。多くの本を読むことで読解力は確実に磨かれていると思いますし、気に入った表現を書き留めることが文章力や語彙力のアップにひと役買っていることでしょう」

さらに休日には、希望者を対象にして校外の学習にも取り組んでいます。

「中学生を対象とした『千葉文学散歩』という取り組みでは、千葉県内にある文学の舞台や作家ゆかりの地を訪ねていきます。そして、高校生になると『東京物語散歩』に参加することができます。この取り組みでは文学に加えて、民間伝承に関わる場所にも足を運んだりするので、生徒たちの想像力はさらに広がると思います」

ほかにもこんな取り組みも

ハウスでの共同生活
ハウス(寮)での6年間の共同生活を通してさまざまなタイプの人と出会い、協力していくため、協調性が磨かれる。

一体性が増すスポーツフェスタ
ハウスごとに競い合うスポーツフェスタ(体育祭)は全学年合同で行う。後期生は実力を発揮し、前期生は団結力を強める。

浦和明の星女子中学・高等学校
埼玉県さいたま市緑区東浦和6-4-19

島村新先生
浦和明の星女子中学・高等学校副校長









生徒の成長に合わせた「心の教育」

修養会のわかちあいが思いやりの心を育てる

カトリックのミッションスクールである浦和明の星女子中学・高等学校では、「自分が大切にされていることを実感してもらう」という点を重視したカトリック教育を行っています。

「6年間を同じ環境で学べる中高一貫校の最大のメリットは、生徒の心の成長を学校側が見続けられるところにあると私は考えています。『人にどれだけやさしくできるか』『相手の気持ちを理解して物事を判断できるか』などのテーマを考える『心の教育』が思春期だからこそ大切になってくるのです」(島村先生)

その精神を体現している取り組みのひとつが修養会です。学年ごとに開かれる時期は異なりますが、全生徒が毎年1回は修養会を体験します。

「この取り組みでは教会などに足を運び、神父様の話を聞きます。その後に生徒たちは小さなグループに分かれて、聞いた話の内容についてわかちあい(話し合い)を行います。それにより理解が深まりますし、友だちの考えや想いを聞くことで刺激も受けるでしょう。修養会で聞く話の内容は学年ごとに変わるので、生徒たちは毎年新鮮な気持ちで話を聞いています。そして、話し合いの内容からも生徒たちの成長を感じることができます」

「心の教育」は教科の教育とは違い、その成果が目に見えにくいものです。しかし、同校の場合、その成果は着実に表れているようです。

「2011年2月にニュージーランドで震災が起きた時も、生徒たちの間から『私たちになにかできることはありませんか』という声が自然と挙がりました。そして、自分たちで募金活動を始めたのです。苦しい人の力になりたいと思うその気持ちこそ、当校が大切にしてきた部分なのでとても誇らしく感じました。このような心の教育に時間をかけて取り組めることは中高一貫校の大きな魅力と言えるでしょう」
※浦和明の星女子中学・高等学校への取材は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震が発生する前に行われています。

ほかにもこんな取り組みも

全校で祝うクリスマス行事
クラスごとに計画したボランティア活動を行ったり、社会奉仕委員会が中心となって児童養護施設などに贈り物を届けたりする。

6年間行われる放送朝礼
各クラスで校長先生の話や聖書朗読を聞き、聖歌を歌う。6年間続く朝礼で聞く話の内容が学校生活を過ごす上で、大切な指針となる。

サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。