何をすればいいのか子どもはわからない

子どものやる気を引き出し、勉強の習慣をつけるには、何をするのかを具体的にしてあげる必要があります。

アメリカで、人間の行動を科学的に分析しマネジメントに役立てる「行動科学マネジメント」を学び、企業の人材育成や子どもの受験に大きな成果をあげている石田淳氏は、次のように語ります。 「“しっかり勉強しなさい”、“きちんと勉強する習慣をつけよう”と言っても効果はありません。なぜなら、“しっかり”や“きちんと”という言葉には、人によって解釈の違いが大きすぎるから。すると子どもは、何をどこまで勉強したらいいかがわからず、結果として勉強に意欲がわかなくなってしまいます」

これは仕事でも同じです。上司の指示が曖昧で、頼まれた業務への対応がおろそかになる、といった経験のある人も多いのではないでしょうか。「ですから、子どもを家庭で勉強させるためには、“朝ご飯を食べる前に、10分間本を読む”、“計算ドリルを1日1ページやる”などと課題を明確にすることが重要です。それを習慣になるまで繰り返す環境を整えるのが、保護者の役割と考えましょう」

具体的に設定する課題の量ですが、初めのうちはハードルを低めに設定することを意識した方がよいそうです。 「漢字ドリルを1日1ページやるのがつらそうで、実際なかなかやらないという場合は、“ドリル1ページの最初の2文字だけやる”などとハードルを下げましょう。簡単すぎるかな? と感じるぐらい、思い切ってハードルを下げて大丈夫です。最初は、3週間続けられるかどうかを目安にして、そこから少しずつハードルを上げてきます。そしてそれが3か月続けられれば、あとはお母さんがうるさいことを言わずとも自然に習慣となり、子ども自身で、やり方ややる分量を工夫することでしょう。行動科学の世界では、3か月続いた行動は6〜7割が習慣として定着するというデータもあります」

逆に言えば、3か月続いたにも関わらず、その後習慣として根づかない場合は、「この学習内容はこの子には合わない」と割り切るべき。決して怒ったりしてはいけません。「焦って多くのことを求めすぎないように。3か月かけてじっくりと、小さな習慣を植えつける実験をしているぐらいのスタンスでいましょう。また、ハードルの高い低いとは別に、2ページ相談3でも述べたように、学習への意欲がないのではなく、やり方がわからないだけということもあります」

たとえば「算数の復習を毎日20分やる」と決めたとして、20分ですら集中できず、ただ漫然と時の過ぎるのを待っているというケースがあります。そうした場合は、算数の復習とは具体的に何をやることなのかを、まず時間をかけて教えましょう。その際、塾の先生の力を借りるのもひとつの手です。

ごほうびは 習慣化の環境づくり

絶対に避けたいのは、感情的になって、子どもの人格を否定するような言葉を投げかけてしまうこと。 「“本当にダメだなあ”とか、“あの子はできるのに、どうしてあなたはできないの?”といった言葉がそれにあてはまります。こうした言葉を日常的に使っていると、子どもは無気力になり、行動する意欲を失ってしまうものです。“どうしてできないの?”と感情的になって叱るのは、ただ子どもを相手にうっ憤を晴らしているだけです。どうすればできるのか、何ならばできるのか、解決策を考えましょう」

そうは言っても、我が子相手だとなかなか冷静になれず、ついつい感情的になってしまうものです。「心に余裕を持てないという事情や、“うちの子は、本当はもっとできるはずなのに……”という気持ちはわかります。しかし子どもは、なかなか勉強を継続できないものだし、勉強のやり方もわからない。そういうものと割り切って、最初から過度の期待をしないことです」

効果的なのは、勉強の達成度を目に見える形にしてやること。「上の図のように、グラフにしたり、カレンダーやシールを使ったりと、工夫の仕方はいろいろあります。ポイントカードについては、ある程度ポイントがたまったら、お菓子などのごほうびをやることにしてもかまいません」

ごほうびをもらうためだけに勉強をする子になってしまう、という危惧もありますが、心配はいらないとのことです。「初めはごほうびほしさに勉強をするかもしれません。しかし、次第に勉強を習慣化することと、それを計測することから生じる快感を求めるようになります。冒頭でも述べましたが、3か月もすれば、ポイントをもらわなくても勉強する習慣がつくでしょう。ごほうびはあくまで、習慣化に向けた環境づくりの手段にすぎないということを覚えておきましょう」

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