その子なりの"やる気"を見極める
 3つ違いの姉が入学した学校を次女も受験。この春から、姉妹揃って東洋英和女学院に通うことになった青木麻里さん。長女と次女の受験。本人のやる気にも違いはあったのでしょうか。「姉はどちらかと言えば要領が悪いタイプで、私の言うことを割と素直に聞き、コツコツとやるタイプ。次女は要領も良く課題もこなしていたので、『後はやる気さえ出れば』と思っていたのですが、結局、それほど強いやる気も見せないまま受験が終わってしまいました(笑)」(青木さん)

 では、次女のやる気は、6年生の1年間を通じて芽生えることがなかったのでしょうか。「受験期間を振り返ると、一見、やる気を持って取り組んでいたようには見えませんでしたが、やはり本人なりには、とてもがんばっていたんだと思います。淡々とこなしているようで、いい成績を取ったときはすごくうれしそうな表情を見せる。そんなときに『それなら、いつももっとがんばれば?』と言ったのですが、『自分はこのペースで勉強するから』という言葉が返ってきたことが印象深いですね」(青木さん)

 一方、長男が青山学院中等部に入学した清水理恵さん。6年生の6月までサッカーと勉強を両立していたと言います。長男の受験生活はとても多忙で、とにかく清水さんが組み立てたスケジュールに追われる毎日でした。「土日がサッカーの練習で、その上、塾での勉強、宿題、週テスト、模試……という生活だったので、やる気がどうとか言う前に、恐らく何も考える余裕もなく、日々の課題をひたすらこなすだけという毎日だったと思います。自分から能動的に勉強するという感じではありませんでしたが、何とか課題だけはこなしていたので、その上やる気を求めるのは酷かな、という思いもあって。言われたことはまじめにコツコツと取り組んでいたので、それで良しとしました」(清水さん)

 同じく、長男が中学受験に挑戦し、海陽中等教育学校に入学した森島昌代さん。長男はコツコツと勉強を続けるのが苦手なタイプで、森島さんは「"受験をする"という自覚も、いつ芽生えたのかわからない……という感じで受験を終えてしまった気がする」と話します。「受験をすると言い出したのは息子でした。自分の意志で始めたことなので、『最後までやり通しなさい』ということは伝えました。送迎やお弁当づくり、勉強する環境づくりなどの協力はするけれど、勉強するのは自分なのだから、すべては自分次第ということをよく話していましたね」(森島さん)

 しかし、現実はなかなかうまくいかなかったそう。「教科によって取り組み方が全然違うんです。彼は算数が苦手で、社会が得意。社会を勉強している様子を見ていると、『お、やる気が出たな』と思うのですが、算数を前にするとうなだれている感じで……。算数が苦手なら、それを克服する努力を見せてほしかったのですが、そういう意味で、最後まであまりやる気は感じられませんでした」(森島さん)


子どものやる気を"力"に変えるには
 一方で、「やる気はあるのに……」と悩んでいたのは、五味博美さん。実は、当初は中学受験を全く考えていなかったそうですが、次女が低学年のときに通っていた塾で「中学受験に向いている」と言われ、進学塾に通うことに。この春、洗足学園中学校に入学しました。「もともと外遊びが大好きな子で、塾生活はそう続かないだろうと思っていたら、意外や意外、塾が楽しいとやる気満々でした」(五味さん)

 ところが、すべてにおいて"のんびり"な次女。やる気はあるのに、やってもやっても課題が終わらない、そんなジレンマがありました。「無理をすると体調を崩すので、睡眠時間は削れない。かと言って、子どものペースでは塾の宿題もこなせない。問題を解いて間違えると、それを何とかしたいという気持ちが強く、解き直すことでさらに時間がかかる、という状況でした。さすがに困って塾の先生に相談したところ、彼女のペースでできることを、その都度細かくアドバイスしていただきながら勉強を続けることになりました。私も、娘の勉強スピードが上がるよう、いろいろな手を試してみましたが、本人がまず焦っていない(笑)。次第に"焦って間違うくらいだったら、解いたものはきちんとできるようにしたい"という娘の気持ちを大切にしようと思うようになりました」(五味さん)

 また、雙葉中学校に通う姉妹の母である来山麻里子さんは、次女の受験に際し、自覚の芽生えについて、とても悩んでいたそうです。「本人の自覚がなかなか芽生えず、本当に悩んでいました。長女が通っていた塾に通って、何となく勉強していた次女。姉がやっていたからではなく、自分のための勉強なのだということは、受験勉強を始めた当初からずっと言い続けてきました。でも、私がつき添ってやっているせいか、それがなかなか伝わらなくて……」(来山さん)

 そこで、次女が6年生に進級する春休みに、来山さんは思い切った決断をします。「『きっと、もう自分でできると思うよ』と次女に伝えてみたら、本人も『やってみる』とのことだったので、思い切って手を離してみました。取り組む勉強の内容、スケジュールの立て方、テストに向けてどう勉強し、答案が返ってきたらどうするか……。すべて次女に任せました。とても勇気がいることでしたが、実際に手を離してみると、"長女と次女のがんばり方は違う"という、ごく当たり前のことに気がついて……。これまでも彼女なりにがんばってきたんだと、次女を認めてあげることができました。次女にしてみても、テストの結果に対する責任感が強くなりましたね。私が手を離したことで、結果はあくまでも自身が勉強した結果であり、誰のせいでもないという自覚が芽生えたのだと思います」(来山さん)


受験のプロはどう答える?  
子どものやる気の前に自身の言動を振り返る
 やる気が出ない原因の一つに、実は親自身が子どものやる気を失わせている場合があります。勉強しない子どもの様子を見て、「受験なんてやめてしまいなさい!」などと言っていないでしょうか。まずは自身を振り返り、その上で「なぜ勉強するのか」「本当はどうしたいのか」など、子どもと向き合い、対話をしながら前向きに励ましの言葉をかけていくことが大切です。(四谷大塚町田校舎福島校舎長)
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