半数以上の回答が「うれしくない」

合格を目指す上で避けては通れない、苦手教科の克服。受験生にとっては大変な作業ですが、コツコツと勉強を続けるしかありません。

我が子が頭を抱えながら、長い時間考え込んでいる様子を目にすると、思わず声をかけたくなる母親も多いことでしょう。実際に母親が「この問題はこう解いたら?」と言うように、具体的なアドバイスをした場合、子どもはうれしいのでしょうか?

結論から言うと、6人中4人が「×あまりうれしくない」と回答。その理由も、4人の中で共通した部分が多く見られます。

「×」を選んだ4人のうち、まずは太田さんの理由から。「私は、難しい問題の解き方を自分の頭で何度も考えて、答えを導き出すのが好きです。だから、自分が悩んでいる途中で、母がテキストの解説を見ながら、“ここはこう解いたら?”とか言われるのは嫌だなあ。“せっかくいいところなのに、先に解き方を教えてもらったら、達成感がなくっちゃう!”って、私は思います」

そして、「本当に正解がわからないときは、自分から親に質問する」と話します。

理科の化学分野が好きな太田さんにとっては、問題の解き方に頭を悩ませるのも楽しみのひとつ。子どもが理科や算数を得意とする場合は、自分から質問に来るまで口を出さないほうが、子どものやる気は持続しそうです。算数が好きな川崎くんも、問題の解き方に言及しながら、受験生の気持ちを代弁します。

「小6になると、自分なりの解き方ができ上がっている人が多いと思います。僕も、塾で教わった内容を踏まえながら、自分なりの解き方で算数の問題に取り組んでいました。だから、小6の後半の時期に、親から問題の解き方を教えてもらうのは、正直うれしくありません。それに、親が教えてくれる解き方が、塾の授業で教わった内容や自分のやり方と異なると、混乱してしまいます」

「今まで教わってきた内容と異なる解き方」に対する警戒心は、渡邉さんと出村くんも持っていました。

「うちは、父が私の学習内容をよく理解してくれていました。そのため、父に質問にすると、的確な解き方を教してくれることが多かったです。でも、それはあくまでも、私が質問に行った場合です。問題を考えているときに、横から口を出されるのは嫌だし、それが塾の教え方と違っていたら、どうしていいかわからなくなります」(渡邉さん)

「母が、問題の内容と塾の教え方をしっかり把握しているなら、アドバイスを聞くことで、理解できるかもしれません。でも、母の理解が中途半端だと、自分としてはかえって悩んじゃうと思います」(出村くん) 

否定派にとって、このシチュエーションが受け入れられるのは「塾と同じような教え方ができるなら」という限定的な場合のみ。ただ、それはあまり現実的なサポートとは言えません。

親はまず、大人の知識を使って問題を解くことと、塾で習った解き方を使って問題に取り組むことは、大きく異なるという点を十分に理解しておく必要があります。

親の解説は長い?塾に任せるのが効率的

一方、親のアドバイスに肯定的な意見を述べたのが、榎本くんと市川くんです。

特に、榎本くんは最高評価の「◎とてもうれしい」を選びました。その理由について、次のように話します。

「うちの場合、母は勉強にあまり口を出さなかったので、厳密にはこのケースに当てはまりません。でも父が、僕の苦手とする化学や電流、天体の問題について教えてくれました。そのサポートに助けられましたね。もし、問題が解けないまま放っておいたら、後ですごく苦労したと思います。父が問題の解き方を教えてくれるときは、塾の先生より解説時間が長くなりがちでしたが(笑)、それでも僕としてはうれしかったです」(榎本くん)

市川くんも「◎」ではないにしろ、「○うれしい」と回答。

「答えがわからないときに、救いの手があるのは、自分にとってうれしいことです。母がアドバイスをくれた場合、その内容がわかりやすいかどうかよりも、〝もしかしたら、お母さんの説明でわかるかもしれない!?と、自分の気持ちが前向きになるのが大きいです」(市川くん)

ただ、それでも市川くんが「◎」を選ばなかったのは、やはり親の教え方に、一抹の不安を覚えるからです。

「もし、母の説明を聞いても理解できなかったとき、"これじゃあ、どんなアドバイスを聞いても解けないかも……"と、不安になりそうです。そして、やる気がもっとダウンするかもしれません」

そして、「自分は負けず嫌いな性格なので、"親に教わりたくない""自分でやりとげたい"という気持ちがあった」(市川くん)と語るように、負けん気の強い子どもの場合、本人のやる気をできるだけ尊重してあげたほうが、プラスに働きそうです。

受験期間中の学習面のアドバイスについては、渡邉さんと榎本くんが「父が担当だった」と回答。しかも、そのサポートに対して、ふたりとも「感謝している」と話します。

家庭によって夫婦の役割分担はさまざまですが、一歩離れた視点から冷静な判断ができる父親のほうが、学習面のアドバイザーに向いているのかもしれません。

そして、榎本くんから挙がった「親に教わると、塾の先生より解説時間が長くなることが多かった」というコメントも、親が直前期のサポートを考える上で、心に留めておきたい貴重な意見です。

入試本番に向けて、学習スケジュールは、ますます厳しいものになっていきます。その中で、親がひとつの問題について何十分も解説していては、学習が効率的に進みません。それならば、学習面のサポートは、極力塾に任せたほうが学力アップに近づきます。

もし、子どもから質問を受けた場合でも、自分の理解力に自信がなければ、ひとまず保留にして、「次の授業のときに、塾の先生に質問してみたら?」と声をかけたほうが、勉強はスムーズに進む可能性が高いでしょう。

それぞれの経験からおおむね好意的

「学力アップに役立つ本やテレビ番組に、興味を持ってほしい」と親ならば、誰しもが願うもの。 

このようなものを親から勧められると、受験生はどう感じるのでしょうか。中学生たちの回答は6人中ひとりが「◎すごくうれしい」を選び、3人が「○うれしい」を選択し、おおむね高評価です。

「◎」を選んだ市川くんは、受験期間中に母親から本やテレビ番組を勧められたそうです。

「僕は、理科が苦手でした。だから、母はコンパクトなサイズの参考書などを買い与えてくれました。それは気楽に読めて、持ち運びにも便利だったので、とても役立ちました。そのほかにも、NHKの歴史番組『タイムスクープハンター』を教えてもらい、見ていました。勉強にはそれほど役には立たなかったけど(笑)、歴史の興味アップにはつながったと思います」

「○うれしい」を選んだ榎本くん、川崎くん、渡邉さんも、同じようなサポートを受けました。

「僕の母は、理科の実験内容が載っている本を買ってくれました。高校で習うような内容も紹介されているレベルの高い本で、今でも役立っています。6千円くらいする高価な本ですが、母が新品を買ってくれたので、うれしかったです」(榎本くん)

「自分の学力アップに役立ちそうなものを勧めてくれるのは、素直にうれしいです」(川崎くん)

「私の母は、理科や歴史の学習内容に関連するテレビ番組を勧めてくれました。それは勉強に役立ったし、息抜きにもなりました」(渡邉さん)

ただ、川崎くんと渡邉さんからは、「親から"読みなさい""観なさい"って言われるのは嫌だな。オススメの本がある場合、学習机にそっと置いてくれるとかなら、うれしいかな」(川崎くん)、「母から、あまり強く勧められると、逆に興味が湧かないかも」(渡邉さん)という意見も挙がりました。

この部分は、「△どちらとも言えない」を選んだ太田さんの考えとも通じるところがあります。「"この本は勉強にとても役立つよ"とか言われると、ちょっと興ざめします。仮にそう思っていても、口には出さないでほしい。私は、"この本はおもしろいよ"と、ストレートに勧めてくれるほうが、興味が湧きます」(太田さん)

そして、「×あまりうれしくない」を選んだ出村くんからは、こんな意見も。
「僕は、塾のテキストをしっかり復習したかったので、新しいやり方に手を出すことはしたくなかったです」

本やテレビ番組がやる気アップに役立つのは確かですが、押しつけがましくなると、多くの子どもは興味を失ってしまいます。また、塾のテキストに満足している子どもにとっては、効果が薄い場合も。親は「学力アップのために!」と構えて考えず、自分が「おもしろい」と感じる番組や本を勧めてみるのが、よいのではないでしょうか。

疲れているときは話しかけないでほしい

親は、我が子が塾でどんな様子なのか、日々気になるものです。しかし、このサポートに対して、6人中3人が「× あまりうれしくない」と回答しました。

「家に帰ってすぐのタイミングや、塾に迎えに来てすぐのタイミングで、塾のことを聞かれたら、正直疲れちゃう。それに、私は塾で本当に楽しいことがあったら、自分から話します」(太田さん)

「毎日質問されたら、結構しんどいかも。塾の授業が休みで、あまり疲れていないときならいいけど、普段はあまり詮索しないでほしいです」(川崎くん)

「塾は基本的に楽しかったけど、それでも授業中はちょっと緊張しています。だから、塾が終わった後は、ちょっとリラックスしたい。特に家に帰ったときは、そう感じました。それなのに、塾や勉強のことを思い出すような質問疲れているときは話しかけないでほしいをされるのは、あまりうれしくないです。母と話すこと自体は楽しいけど、受験とは別の話題を選んでくれるとうれしいな」(渡邉さん)

「△どちらとも言えない」を選んだ市川くんも、「疲れて帰った時は、あまり話しかけられたくない」と言います。

「でも、社会の先生が授業中におもしろい話をしてくれたときや、それほど疲れていないときは、自分から母に話すこともありました。そのとき、母が笑って聞いてくれたのはうれしかったです。だから、その時の状況によると思います」

一方、出村くんと榎本くんは、このサポートの肯定派。出村くんは、その理由を次のように話します。「帰りの車の中で、塾で聞いた内容を母に話していると、気分が上がりました。母は運転中だったけど、僕の話をきちんと聞いてくれていたと思います。うちは、家から少し離れた場所に車を駐車していたのですが、そこに車を止めて家に向かう間、母と会話をする時間も楽しかったです」

榎本くんも、「母との会話が楽しかった」と振り返ります。

「塾の友だちについて母から質問され、僕が話すと、母は笑いながら聞いていました。僕は小6のとき、塾のテストがなかなか正解できず、帰宅する時間が遅くなった日がありました。そういうときは、自分から"今日は何度も問題を間違えてしまって、ダメだった"と母に言いました。でも、母は"あ、そうなの"とさっぱりした口調で返してくれたので、気持ちが軽くなりました」

子どもの話に耳を傾ける、受験とは直接関係ないことを話題にする、子どもができなかったことを蒸し返さない……。

榎本くんと出村くんのコメントの中に、このサポートのコツがありそうです。また、「笑いながら話を聞いてくれたのが、うれしかった!」というコメントが複数挙がったように、会話中の母の笑顔は、受験生の心を癒してくれるようです。

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