11月も後半になると、過去問の練習をはじめとした、実践的な学習がメインとなります。その中で、子どもの学力をアップさせるには、どんな学習方法を心がければよいのでしょうか。各教科の重要ポイントについて、四谷大塚の4教科の講師陣に話を聞きました。

算数 蛭田 栄治先生
四谷大塚豊洲校舎専任講師。
豊洲校舎の校舎長も務める。

国語 高須 大先生
四谷大塚豊洲校舎専任講師。
桜蔭などの学校別対策コースを担当。

理科 大川 正明先生
四谷大塚豊洲校舎専任講師。
桜蔭などの学校別対策コースを担当。

社会 永野 太朗先生
四谷大塚巣鴨校舎専任講師。
武蔵、桜蔭などの学校別対策コースを担当。

子どもに重圧をかけないことが大切

中学受験の直前期を迎えると、塾の雰囲気や子どもの様子は、どう変化するのでしょうか。四谷大塚の講師たちは、「やはり、真剣に学習する子どもが増える」と、口を揃えて話します。

「塾の授業に対して、子どもの気合いが増してくるように感じます。入試本番が近づいてくると、『親のための学習』ではなく、『自分のための学習』になってくるという印象です(蛭田先生)」

「社会担当としての立場から言うと、 合不合判定テストなどの模試の結果が出て、多くの子どもが、ようやく『社会が、この点数だとまずい!』と、危機感を持ち始める時期ですね(笑)

この特徴は、理科の学習にも当てはまるようです。

「特に男の子は、その傾向が顕著です。生物の単元などは、学習すれば、確実に得点アップにつながるのに、秋までの時期は、どうしても疎かにしてしまう。しかし、さすがに直前期を迎えると、植物の問題などにも取り組み始めます」(大川先生)

「国語でも、慣用句などの知識問題を疎かにしていた子どもが、本気で取り組む姿勢が見られます」(高須先生)

直前期から学力が伸びる子どもには、いくつかの共通点が見られるそうです。

「直前期における子どもの変化としては、先生への質問が増える点が挙げられます。そして、質問する内容が具体的な子どもは、やるべきことが明確になっているため、伸びる可能性を感じます。学習の目的がクリアになることで、時間の使い方が上手くなるメリットもあるでしょう」(蛭田先生)

ただ、中には注意しなくてはいけないケースも。

「先生に質問をするだけで安心してしまい、わからない問題の解き直しをしない子どもは心配です。自分がどの学習に力を入れればよいのか、わかっていない恐れがあります」(大川先生)

国語や社会でも、問題にしっかり向きあう姿勢が、鍵を握るようです。

「国語の場合、解答の理由をしっかり考える子が伸びますね。たとえば選択式の問題でも、なぜこの答えなのか、その理由を深く考えられる子どもは、伸びると思います」(高須先生)

「社会でも、自分の学力をごまかさず、問題に取り組む子どもは、伸びるでしょう。逆に、正解を見て、その内容を写しているような子どもは、要注意です。親が解答を見ても、判断がつきにくいケースがあると思うので、『問題を解いたら、先生に見せよう』と、声を掛けてほしいですね」(永野先生)

子どもが答えを見るのは、「『もっと、よい得点をとらなくちゃいけない』というプレッシャーを感じているのも、原因のひとつ」と、大川先生は指摘します。

「直前期の学習では、志望校の過去問にも取り組みますが、そこで思うように得点が取れないと、さらにプレッシャーが増します。家庭で、過去問の練習に取り組ませるときは、親も得点に一喜一憂しないように心がけてください。そのほうが、子どもの負担は軽くなるはずです」(大川先生)

各教科の学習配分は算数・理科・社会が均等

入試まで残された時間が少なくなる直前期には、4教科の学習バランスも変化します。

「大前提として、学習は量より質が大切であり、その点は直前期でも変わりません。また、子どもによって苦手教科も違うので、4教科のバランスについて、一概には言いにくい部分があります。ただ、直前期は子どもの集中力が増し、知識を吸収する力もアップする傾向が見られます。そのため、覚える内容が多い社会と理科に、今までよりも比重をかけると、成績が伸びやすいかもしれません」(永野先生)

「イメージとしては、算数、理科、社会の配分が、同じくらいといったところでしょうか。社会と理科の学習が増える分、算数の割合は、夏の時期などに比べると、減る場合もあるでしょう」(蛭田先生)

しかし、算数は問題練習を1週間やらないと、得意な子どもでも、得点がダウンします。

「そのため、定期的に新しい問題へ取り組んで、問題を解く感覚を保ってほしいですね」(蛭田先生)

「文章を書く訓練を怠ると、記述式問題などが解けなくなります。国語は、すぐには成績アップが期待しにくい教科なため、直前期は後回しにされがちです。しかし、1週間の中で、文章問題に取り組む時間を確保してほしいですね」(高須先生)

苦手分野があっても逃げない姿勢を持つ

限られた時間の中で、学力を伸ばすためには、効率的に学習を進めることも肝心です。

「理科の学習では、とにかく子どもの弱点をつぶしていくことが、カギを握ります。過去問を解きながら弱点を見つけ、しっかり復習する。これに尽きると思います」(大川先生)

ただし、難しい問題まで、完璧に理解する必要は、それ程ないようです。

「それよりも、ベーシックな知識が問われる問題を、取りこぼさない意識を持たせましょう。学習の進め方としては、12月までに総合的な見直しをして、1月は問題演習を中心に学習する。そして、入試の直前には、少しレベルを落とした問題を解いて、子どもに自信をつけさせる、という流れです」(大川先生)

「直前期の学習の進め方は、算数も理科に似ています。基礎問題をこなしてから、少し難しい問題にチャレンジさせ、本番直前には、少し簡単な問題に取り組むのが、効果的だと考えます」(蛭田先生)

算数の過去問を解いていると、親も子どもも、どうしても難しい問題に目が行きがちです。

「しかし、直前期の学習では、基礎をもう一度見直すことが重要です。間違った問題があれば解き直し、苦手単元がある場合は、すぐに塾の先生に相談させましょう」(蛭田先生)

直前期の社会の学習では、覚える作業が多くなります。そのときも、親がチェックすべき点があります。

「机に座ってテキストを眺めているだけで、学習している気になる子どもがいるので、注意が必要です。知識を覚えるときも、とにかく手を動かすこと。理解があやふやな部分は、テキストで調べることを徹底させてください。また、テキストの索引は、調べるだけでなく、用語の理解度をチェックするときにも使えるので、活用してみてください」(永野先生)

社会の学習では、時事問題対策にも、本腰を入れなくてはいけません。

「重要なニュースをまとめたテキストが、最も効率的に学習できるでしょう。ほかの学習の合間でもよいので、進めておきましょう」(永野先生)

一方、算数、理科、社会に比べて、国語は直前期でも、学習内容が大きく変わることはありません。

「まずは、言葉の知識など、基本部分を押さえること。長文の記述式問題にチャレンジさせるときは、時間を有効に使うことも心がけましょう。完璧な解答を目指すよりも、ポイントを把握して、80%くらいの完成度まで持っていく、などの工夫も、直前期の学習では必要となってきます」(高須先生)

直前期の学習は理科と社会が鍵を握る!
直前期の学習では、4教科の学習バランスも変わります。夏休み頃までは算数の学習が中心でしたが、直前期からは知識を覚えることで得点が伸びやすい理科や社会の比率を高める必要があります。一方、算数や国語の学習も継続させて、問題を解く「感覚」が鈍らないように注意しましょう。

受験の直前期は親にとっても正念場


直前期を迎えると、今まで以上に不安や緊張が高まり、親にとっても踏ん張りどころです。

「合不合判定テストの最後の結果が出るのは、12月中旬頃ですが、その点数にショックを受けてしまう親が、毎年多くいます。しかし、模試の点数だけで、子どもの学力を判断するのは控えましょう」(蛭田先生)

直前期に入ってからは子どものがんばりを信じる姿勢が欠かせません。ただ、多くの親は、頭では理解していても、どうしても不安になってしまうもの。

「そんな時は、すぐに塾へ相談に来てください。志望校へ合格するために、何が足りないのかを冷静に話し合うことで、親自身も冷静になれるはずです」(大川先生)

「私も、不安を感じることがあったら、塾に相談するのが一番よいと思います。子どもの成績に対する不満は、塾の先生にぶつけてください。一方で、どんなに焦っていても、その感情を子どもには見せないように努力してほしいですね。お母さんなら、女優になったつもりで、自信に溢れた態度を子どもに見せてください」(高須先生)

中学受験において、子どものメンタル面をサポートすることは、親の大切な役割です。そして、直前期には、その重要性がさらに増します。

「学習面は、ほぼ完全に塾へ任せてよいので、親は子どもの心を前向きにさせることに全力を注いでほしいと思います」(蛭田先生)

「家の中では、あまり学習や受験の話をしないことも心がけてください。とにかく、リラックスさせることが、大切ですから」(高須先生)

ただし、時事問題に関しては、家庭でのサポートが、重要となります。

「新聞やテレビのニュース番組に興味を持たせて、時事問題を自然に話し合う雰囲気を作れるとよいですね」(永野先生)

直前期には、親がさまざまなリスクを想定しておくことも肝心です。

「第1志望以外の学校の魅力を取り上げて、『どの学校に入学しても、楽しそう』と、子どもに感じさせることも必要だと思います。子どもを信じることは大前提ですが、どんな結果になっても、子どもが深く傷つかないよう、予防線を張っておくことも考えましょう」(高須先生)

今までの努力を認めて子どもを信じる


直前期には、クリスマスや正月など、楽しいイベントが多くあります。これらのイベントをどのように過ごすかは、子どもの様子を見て判断したほうが、賢明のようです。

「私は、個人的にはイベントを楽しむことに賛成です。やはり、メリハリがあったほうが、子どものモチベーションも上がるはず。でも、直前期の子どもを見ていると、そもそもクリスマスや正月に、あまり興味を感じていないように思います」(蛭田先生)

「昔は、『クリスマスプレゼントとお年玉は、2月にまとめてもらう』などと言う子どもがいましたね(笑)。最近は、そういう風潮が、あまり見られなくなりました。クリスマスなどのイベントは、子どもが望めば、やってもよいといったところでしょうか」(大川先生)

「逆に、子どもが望まなければ、学習今までの努力を認めて子どもを信じるさせてもOKです。家族で話し合い、子どもの意志を尊重しましょう」(高須先生)

年が明け、入試へのカウントダウンが始まると、子どもの心をいかに落ち着かせるかが、鍵を握ります。

「自信がない子どもには、志望校の合格を具体的にイメージさせてください。電車に乗り、試験を受けて、合格発表で喜んでいるシーンまでを、何度もイメージさせるのです。そうすると、不安や緊張が和らぎます」(大川先生)

試験へのプレッシャーを少なくするために、子どもにかける言葉にも気を配りましょう。

「親はどうしても『合格してこい!』などと言いたくなりますが、普段通りの態度を取ってほしいと思います。そして、できれば試験の前日に『がんばったね』と、声をかけてください。試験の結果はどうであれ、長い間がんばってきたこと自体が人生の大きな糧になるのですから」(永野先生)

「直前期の子どもは、本当にみんなよくがんばっています。親は、そのがんばりに目を向けることで、自然と子どもを信じることができるはずです。そして、合格を信じる親の態度が、子どものやる気をさらにアップさせることでしょう」(蛭田先生)

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