不可能とされてきた脳や脊髄の治療に挑む

岡野栄之先生は、脳や脊髄の神経を再生して治療するという最新の研究分野で、世界的に名を知られる研究者。「交通事故の後遺症で身体の一部にマヒが残ったままの人など、脳や脊髄はいったん損傷すると治らないものとされていました。その理由は、脳や脊髄を構成するニューロンという神経細胞に、通常は、分裂して増える性質がないと考えられていたからです」(岡野栄之先生)

現在、岡野先生が注目しているのが、京都大学の山中伸弥教授が作り出したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた、脳や脊髄の治療の研究。「生物は、受精卵から細胞分裂をして身体をつくります。卵の頃の細胞は、身体のいろいろなパーツになれるのに、一度、手足や皮膚、心臓や肝臓などの内臓、目や耳などになってしまった細胞は、もうほかのものになることはできません。しかし山中教授は、ヒトの皮膚から、卵の頃のようにいろいろな部分になれるiPS細胞を生成する技術を開発したのです」(岡野先生)

外国人留学生との研究で次世代のリーダーを育成

iPS細胞からは、もちろんニューロンを作る神経幹細胞という細胞を生み出すこともできます。 「それを脳や脊髄の損傷部位に移植すれば、損傷の治療が可能です。また、アルツハイマー病など原因のよくわからない疾患に関して、患者のiPS細胞から病気の悪いところを作って、発病の過程や原因を探ったり、新しく作った薬の効き目や副作用を調べたりすることもできます」(岡野先生)

臓器移植やがんの治療などへの貢献にも期待がかかるiPS細胞。 「とは言え課題も多く、どうiPS細胞からほしい細胞を作るか、移植したiPS細胞をいかに人体になじませるか、iPS細胞という未知の細胞を人体に入れる際に安全面の問題はないか、など研究の余地はたくさんあります。学生も、世界で初めてマウスでiPS細胞から神経幹細胞を作り出すという成果をあげています」(岡野先生)

先生自身は、大学時代から生命の仕組みを遺伝子から解明する分子生物学を主な研究領域としてきました。 「遺伝子という視点から、がんや免疫系を研究する人は多かったのですが、脳や脊髄など神経系をテーマとする人は少なかったので、やってみることにしました。学生たちにも、自ら新しい研究課題を発見し実証することの大切さを伝えています」(岡野先生)

海外留学や国内外の研究者との共同研究も積極的に奨励しているとのこと。

研究室では月に1回、自分たちの研究報告を英語でプレゼンテーションする時間が設けられています。

「発表を行うグループには、台湾、中国、フランスなどからの留学生もいるので、国際社会でリーダーシップを発揮する訓練にもなるでしょう。次世代のリーダーの育成につながればと考えています」(岡野先生)

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